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【せかくま#4】プラットフォームとして「誰もが参加できる仕組み」を

前回のせかくま
#3 「場づくり」から着想したぬいぐるみ

なにか魅力的なモノがあって、そこに人が集まってくれば、モノを中心としたコミュニティが生まれる。人が集まってくれば、自然と市場も生まれる。そんなプラットフォームの中心に「ぬいぐるみ」を据えた。かなり奇抜な発想と見えなくもないが、横山は「参加性」さえ確保できれば成功できるという感触を持っていたという。

「もちろん普通のぬいぐるみじゃダメだと思いました。コミュニティや場をつくると考えたときに、まずは誰もが作れたり、参加できたりするものがいいんじゃないかとなったんです。僕らが作るものは『誰もが参加できる仕組み』を持っている必要があるよね、と」

スタッフとともにイメージを絵に描き起こしたり、いろんな雑談をしたりしているうちに、ふと「ぬいぐるみをバラしてみる?」という話が出た。突拍子もないアイデアにも横山は、「そのとき偶然、目の前に紐もあって、『これって手足をバラしても紐でつなげるよね』と気づいちゃって」と、まるで子どものような無邪気な表情をみせる。

そうして生まれたのが、くみぐまの原型となるウサギ型のイメージ図だった。それから3日後、ある大学の教授が主催するワークショップで偶然、ぬいぐるみメーカーの社員に出会う。思ってもない機会と横山は自身の構想について意見を求めたという。

「OEM部門を担当する女性の方だったんですけど、ぬいぐるみをバラバラにするって言ったらかなり驚かれて。しかも、後日、イメージするぬいぐるみを紙で作って説明したら『イラストはよくあるけど、紙でモックを作ってくる人なんていないよ。いいじゃん!』って、プロジェクトの相談に乗ってくれたんです」

ぬいぐるみ業界からみた専門家の助言は、横山にとって新鮮な発見ばかりだった。例えば、ぬいぐるみをどんな動物にするか。

「イヌとネコは派閥があるからやめたほうがいい。クマのぬいぐるみなら世界中で売れてるし、クマがいいんじゃない?」

まさかぬいぐるみにもイヌとネコの派閥があるとは考えもしなかった。この一言で横山は「クマに決めた」という。

世界に愛されているクマで、人と地域をつないでいく話
#1 企業、作り手が集う「くみぐま」誕生の背景
#2 なぜIT企業がぬいぐるみを作ったのか
#3 「場づくり」から着想したぬいぐるみ
#4 プラットフォームとして「誰もが参加できる仕組み」を
【次】#5 事業化のきっかけとなった長野遠征
#6 「くみぐま」誕生
#7 「くみぐま」流行でなく定番に

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