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【せかくま#2】なぜIT企業がぬいぐるみを作ったのか

前回のせかくま
#1 企業、作り手が集う「くみぐま」誕生の背景

くみぐまを生んだボノ株式会社は、2008年に設立された「IT企業」だ。なぜIT企業がぬいぐるみを作ったのだろうか。

「僕は20代の頃からずっとITの世界で生きてきた。これまで作ってきたものは、形のないデジタルの作品ばかりで、例えばホームページの制作をしたところで、ほとんどが2〜3年でデザインごと更新されてしまう。子どもに『お父さん何屋さんなの?』と聞かれたとき、それまでは『IT屋だよ』と答えていたんですけど、『じゃあ何作っているの?』と突っ込まれたときに答えに詰まってしまった。答えられなかったんですね」

立ち上げたのはIT企業だったが、理念に掲げる通り「百年後も愛される 面白き価値をつくる」ことを目指した。

最初からぬいぐるみだった訳ではない。まず始めたのは、「我楽田工房」と名付けたコミュニティスペースだ。今、会社がある文京区関口の印刷工場を自らDIYでリノベーションし、2014年7月に「人と地域をつなぐ」場としてオープンした。

「地域ってほんとに100年、200年と変わらずそこにあるもので。そう考えたとき、自分の作品もせめて孫の代までは残したいなと。それで『100年続く価値』を作りたいと考えるようになった。それで始めたのが、我楽田工房なんです」
《我楽田工房について》http://garakuta.tokyo/

我楽田工房では、毎晩のように全国の市町村や団体、面白い経歴をもった人とイベントを開き、人のつながりを紡いでいった。時には市町村の首長が参加したり、地域を支えるコミュニティナースを育成するプロジェクトを立ち上げたりと、側から見ると「成功」に見える。しかし、横山の中には焦りが生じていたという。

「人脈とか、地域とのつながりとか、材料はたくさん集まったんです。けどイベントや実証実験事業ばかり、継続する形がつくれていなかった。40歳にもなって、会社も10周年を迎えて。それでも何もできていない。何をすればいいんだと。去年は人生のなかでも一番悩んだ時期でした」

世界中で愛されているクマで、人と地域をつないでいく話
#1 企業、作り手が集う「くみぐま」誕生の背景
#2 なぜIT企業がぬいぐるみを作ったのか
【次】#3 「場づくり」から着想したぬいぐるみ
#4 プラットフォームとして「誰もが参加できる仕組み」を
#5 事業化のきっかけとなった長野遠征
#6 「くみぐま」誕生
#7 「くみぐま」流行でなく定番に

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