企画展を主催してみる

 グループ企画展を主催してみたい、あるいは主催するには、と考えている人がいるかもしれないので今日はそんな話を書いておこうと思います。
 私の場合は「主催はワンマン」が一番参加していて楽だったので、私自身は「ワンマン主催」主義で居ます。話し合いをしません。その代わり、運営を手伝ってもらうこともほとんどありません。手伝ってもらうならばそれ相応の報酬を用意して手伝ってもらったほうがたぶん都合がいいし、おそらくうまく回るような気がしているからです。
 
「ことのは展」(ポストカードサイズの展覧会)
「乱歩會展」(江戸川乱歩をモチーフにした読み語りライブの「乱歩會」とタイアップした企画)
「字展」(字を中心にした展覧会 現在4回目の準備中)
「とある秘密展」(これは地下之会さんが主催した展覧会(ギャラリー犬養さんを一棟丸ごとお借りしていくつかの展覧会を共催するもの)でした)
 
 これらが私が主催のグループ展。
 他に2人展、4人展はありますが、これは私がワンマン主催ではなく仲間内で話し合ったりなんとなくその場でうまく出来たりというちょっと違うものなのでここは割愛を。

 まず、一番最初に「ことのは展」を主催したときには、ツイッター等で参加者を公募しました。
 このときは会場は詩とパンと珈琲モンクールさんというパン屋さんで、初個展の場所でもありました。
 グループ展のやり方もわからず、勢いで決めて、勢いでやったので、ちょっと大変だった記憶があります。
 会場費やDMなどの代金などを考えたら赤字の展示でした(出展料などもあまり深く考えずにいたので)
 赤字でも面白かったらいい、とは思ってはいたのですが、ここで私は「自分で持ち出ししてもいい展覧会をする」「自分の経費が浮く計算をすることが出来て負担がないようにする」などの計算や計画が立てられなかったことをちょっと後悔しました。
 
 ちょっと話の腰を折りまして。
 私は学生の頃、同人誌即売会を主催していたことがあります。自分ひとりであったり、友人たちと一緒に共同主催であったりしましたが、そのときには考え方としては「一つの企業のような気持ちで」っていう共通認識がありました。
 手伝ってくれる人に小額でもお礼を渡すことも、自分たちが赤字にならないことも(交通費・食費・人件費・会場費など運営に関わるお金という意味で)すごく考えて行動していたように思います。
 入場料を頂く代わりに、パンフレットを発行したり、パンフレットの代金も出展される方々から預かった出展料でちゃんとまかなえるように幾度も計算したし、また、他の会場の料金と比べて高いか安いかも検討したし、夜中まで電話をして打ち合わせもしたし、考えてみたら学生の頃のほうがまじめに運営していたな、と思いました。
 
 そんな反省もあって、しばらくグループ展は運営しないようにしていました。
 すると、乱歩會で江戸川乱歩(の作品など)をモチーフにした展覧会をタイアップでしないか、という話が持ち上がりました。
 2019年2月9日(土)にその乱歩會のファイナル?なのか?というイベントが詩とパンと珈琲さんで行われるのですが、その主催の一人からの連絡でした。
 現在は私もその共催グループの一人にも入っているのですが。
 
 これについては私は公募にせずに、一人ひとり作家さんにお声がけして参加していただきました。
 運営について、作家さんからは参加費を頂かない(その代わり送料や搬入出の費用などは負担して頂いたのですが)形で運営をしました。乱歩會のほうで展覧会のための費用(会場費等)を負担してもらうことになっていましたので、それでまかなえるように設定をしたからです。
 こちらにしてもやっぱり、運営に関わる費用などを今後のためにきちんとしておこうと覚えてメモしてもいました。

 さて、字展についてですが、札幌のギャラリーneccoのオーナーに「前に裕樹さんが言ってた字ばかりの展覧会、グループ展でやらないか?」と話を持ちかけられました。
 ここで、運営に関わるもろもろの計算をやっぱりすることになりました。
 何度も打ち合わせを重ねて、金額を設定し、どのぐらい自分たちが負担を減らすことが出来るか、なども含めて。

 そして「とある秘密展」はお声がけ+声をかけてくださった人で私も一緒に頭割りをして会場費とDM代を捻出しました。こちらは私の持ち出しとしてはプラスマイナスゼロ。他にも会期中の朗読などのイベントなどもありましたが、大体がみんなが負担していただいて、それぞれのあまり大小なくスペースへの飾り付けが出来たように思います。いや、私がちょっと大きくスペースとったか(笑)
 それでも、自分の交通費や会場での飲食代以外は会場費に自分の持ち出しがなくうまく計画通り運営できた展覧会でした。

 ここまで書いたら大体わかると思いますが、グループ展を開く場合、こういうことを考えて動くといいのではないかと思います。

1)企画書を作る
 
 計画を立てる、ということです。
 
 あ)趣旨 どういうグループ展をどういう目的で開きたいのかをわかりやすく箇条書きでもいいからメモしておく。
 
 か)規模 会場がまだ決まっていないときでも、大体の規模御を考えておく(会場の下見などをしておくのもいいと思います)
 参加の人数もここで考えておきます。
 
 とりあえず最低限ここまでを考えておきます。
 
2)会期・在廊出来る出来ないを考える
 
 基本的に「在廊しなくてはいけない」場所か、「在廊が必要ない場所か」を考えて主催することを考えるのがいいと思います。
 在廊必須の場所でも、主催者一人が在廊は辛いときがあります。そういう場合、募集の中に「在廊は出来る限り交代制で」などを盛り込むことを頭に入れるといいと思います。
 その場合、自分以外が在廊のときのお金の管理をどうするか(物販など)をちゃんと下調べしておくといいとおもいます。
 会場によって、在廊はしてもらうけど売上げなどは会場で管理できますよというところもあると思いますし、そういうのは管理できませんよ、というところもあるかと思います。そういうのも下調べを。
 やりたいことに見合う開場かどうかを下調べするにはどうするか。一番手っ取り早いのは足を運ぶことです。
 レンタルギャラリーなのか、喫茶などのギャラリースペースなのか、そういうのもあわせて自分に見合う場所を探すのが一番ベストだと思います。
 
3)大体決まってきたら予算を考える
 
 希望する参加人数から参加費を割り出します。
 a)会場のレンタル代金 
 b)DMなどの費用(何枚するか)
 c)そのほか細かな雑費(物販用の袋など)
 d)場合によっては自分の交通費(私は算入してません)
 e)入場料を検討する(無料にするか有料にするか)
 
 これらを最低参加人数を考えて費用を捻出します。
 自分も会費を払うようにするか、自分の分は運営費用としてちょっと払わずにすむようにするか、などはこの辺は自分の考えでいいと思います。少なくとも「無償でみんなのために展示をさせる」などをずっと続けていたら運営が空回りします。
 また、仕事として展覧会を運営するつもりであれば、なおさらちょっと自分のお仕事の代金を考えて動くのがいいと思います。

4)募集の方法を考える
 
 公募にするのか、自分がこれと思った人に声をかけるのか。また募集の方法はどうするのか、など考えます。
 あらかじめ「そろそろやるよ!」といろんな人に声をかけておくのもベストだと思います。
 公募でも依頼でも募集要項をまとめておくのは必要です。
 何の展覧会か。
 いくらぐらいの費用がかかるのか、かからないのか。
 送料はどちらがもつのか。
 など、そういう細かいことをきちんとわかるようにしておくのも大事だと思います。
 基本的にこの4つを守れば運営は可能だと思います。
 
 ところで、私が運営にまったく完璧に出来たかというとそうではない場合もあります。
 会場にいらした方の導線の確保、作家さんへの作品配置の案内の不手際、荷物をどうするか、などなど。ふたを開けてみたらいろいろありました。
 私もいつもにこやかにいられなくて、不機嫌になったこともあったし、修行が足りないと帰宅してから涙したことも幾度も。
 それでもやめないのは、自分が思い描いた展覧会以上のものが、いろんな作家さんのおかげで出来上がる瞬間の喜びは何にも勝るものだからです。
 目に見えない準備のほうが多いです。
 連絡の多さ、当日キャンセルされたらどうしよう、作家さんに不便かけたらどうしよう、お客様に不便かけたらどうしようなどもそうですし、DMの準備や打ち合わせ、会場の規模に見合うかどうかの検討を何度も重ね、これでいいのかと悩み、これでいいのだと自分を励まし。当たり前だといわれたら当たり前なのですが、そういうことをひっくるめて乗り越えていろんな主催の方々ががんばっているわけです。
 
 私は主催はワンマン主義ですが、その代わり、私の代わりになってもらうことは誰にも出来ません。
 主催はワンマンもいいですけど、規模によっては運営の委員会を立ち上げてもいいし、相方を得て作り上げるのもありだと思います。
 
 まずははじめての人は小規模からはじめてみてはどうでしょう。
 主催の方法も自分ならではのやり方でいいと思うのです。「出来ない」ではなくて「やってみる」それで駄目だったら次にまた生かせばいいのです。
 なんでもそうだと思うので。 
 
 そんな私が主催をするときのお話でした。


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