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Lord knows

晴れた秋の日 あなたを運ぶ
ひどく晴れた空は やけにまぶしくて

まるで夏が帰ってきたような陽気の下
あなたが箱の中で ことこと揺れる

見上げるほどに高かった背中も
大きてごつごつした手も 長かった足も

日に焼けた笑顔も 目じりの皺も
今は小さな箱の中

石段を踏んでお堂に上がる
ここであなたとお別れ いや

かつてあなただったものが
火となり土となり水となって

またこの世界を巡る ただそれだけ
誰も そしていつか 僕も


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 Les êtres que j'aime sont des créatures.  Ils sont nés du hasard.  Ma rencontre avec eux est aussi un hasard.  Ils mourront.  Ce qu'ils pensent, ce qu'ils sentent et ce qu'ils font est limité et mélangé de bien et de mal.

  Savoir cela de toute son âme et ne pas les aimer moins.

 Imiter Dieu qui aime infiniment les choses finies en tant que choses finies.

  わたしの愛する存在は神に造られたものであり、偶然生まれたにすぎない。しかしそうした存在との出会いもまた偶然の産物なのだ。存在するものはいずれ死ぬ。考えることや感じること、なすことも有限であり、善と悪が入り混じっている。

 このことを心の底から知らねばならないのであって、このためにいささかでも愛しないということがあってはいけない。

 有限のものを有限のままに、限りなく愛してくださる神のようであらねばならない。

(Simone Weil  'La pesanteur et la grace'  拙訳)


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