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風の声

ようやく抜けた空に 風が吹く
まだ湿ったままの空気さえ嬉しくて

地平線に太陽が顔を出す
それより先に 海の見える場所まで

ペダルを蹴って自転車を飛ばす
考えごとは 昨日の夢に置いてきた

風のにおい 潮のにおい
タイヤが削る 草のにおい

どの夏も この夏も
遠くなったようで 何も違わない

思い出したようにまた走る
去年とまるで同じ音楽を聞いて

どこへ行けなくても 一人ぼっちでも
夏は変わらず そこにある


 〇  〇  〇  〇  〇