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中古マンション、「管理を買え」っていうけどね(´・ω・)

マンションを買おうとして新築物件を見るととてもお高くて手が出ない…。
そんな流れで中古マンションを見始める方も多いかと思いますが、中古マンションを調べ始めると必ず出てくるのが、

「マンションは管理を買え」というパワーワード。

では、「マンション管理」って何を見てどう判断すれば良いの?
って話になると、Webサイトではザックリとしたことしか記載されていないんですよね。

(よくある例)
・修繕履歴を見ましょう
・管理規約、総会議事録を確認しましょう
・長期修繕計画通りに積立できているか、滞納状況をチェックしましょう
・重要書類(竣工図面等)が保管されているか確認しましょう

で、私のような素人はどう判断すれば良いのかしらん…??(´・ω・`)

仲介業者も理解が難しい「マンション管理」

「そのために仲介業者(プロ)がいるんでしょ」と思ったそこのアナタ。
(仲介業者の皆様には本当に申し訳ないのですが)仲介業者の方に管理について聞いても、恐らく期待した回答は得られないんじゃないかと思います。

これは、仲介業者が不勉強というわけでもなく、
① マンション管理がKBF(※)として評価されるケースが現時点で皆無
② 管理マニアは自ら判断する知見を有しているため、案内する必要がない
ってな感じで、マンション管理を理解するインセンティブが働かないからだと考えられます。

■補足
① マンション管理がKBF(※)として評価されるケースが現時点で皆無

(※重要購買決定要因:Key Buying Factors )
イメージとしては
「わ~、素敵な景色ね~★」
「ここなら学校や実家も近いね~♪」
「共用施設ステキ💕」
「間取りの使い勝手良さそう☺」
「価格も手ごろよね💰」
が組み合わさると「買おう!」となるかもしれません。

しかし、マンション管理に関する個別の話題…例えば、
「わ~、ここは修繕積立金がxx億円ある!」
とかって刺さる人が限定されてますよね。


② 管理マニアは自ら判断する知見を有しているため、案内する必要がない
私が仲介業者なら、はるぶーさんがりべんさんハルミズムさんのように「マンション管理」に知見と確固たる考えをお持ちの方に説明するなんて自殺行為はしません💦
総会の議案書と議事録をお渡しして、勝手に見ていただくのが最善手だと思います

(管理マニアに囲まれる私のイメージ)

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となると、最終的に「マンション管理」が少しでも気になるような方は、ある程度ご自身で判断できる知識を身につけた方が良さそうな気がするのです。

「良いマンション管理」とは?(がすたまの場合)

人によっていろんな考え方はあるかと思いますが、先に私の考える「良いマンション管理」の定義を以下に記載します。

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それぞれ簡単に記載しますね。

1.快適な住み心地を実感できて、
これは「今」(日常管理)の話です。
築浅の時はとってもきれいで、生活を豊かに楽にしてくれる設備や施設を持っているマンション。そりゃその環境は維持してもらいたいですよね。

これらを支えているのが毎月徴収する「管理費」。

管理費を適切に運用することで、
・共用部分は毎日清掃されて、
・壊れたものがあったら直してくれて、
・定期的にメンテナンスも行われ、
・マナー違反も注意喚起してくれる
というのを誰かが代理でやってくれています。

「共用部分のルーティーンについては、支払った管理費で適切な方にお任せし、快適な住み心地を享受したい」と私は考えているため、この考え方が最初に出てきます。

チェックすべきポイント
・内見:3点チェック(掲示板、駐輪場、ゴミ置き場)
・総会議案書:一般会計の「決算」と「予算算」が赤字でないこと


2.生活を持続できる修繕・資金計画を有し、
これは、「未来」(備え)の話です。

マンションに限りませんが、建築物は定期的に修繕や更新をしてあげないと、その機能は維持できません。

これが戸建なら考えるべきものが自らのお財布だけですから、ボロくなろうがどうしようが勝手です。
しかし、マンションは共同で住んでいるわけですから、「100万円だしてください」といっても、何人かは支払いが困難な方が出てくるかもしれません。
また、本当にお金が足りなければ最悪の場合は銀行からお金を借りるなんてこともあるかもしれません。

こうした考え方で、マンションでは「長期修繕計画」が策定され、その計画に基づいて貯蓄を行うための「修繕積立金」があります。

「住み心地が悪くなりそうだし、仮にマンションで借金なんて背負おうものなら売買や相続に影響しかねないので、出来れば避けたいな」という気持ちが、このメッセージに含まれています。そのような環境では安心して長く住めるイメージが…私にはちょっと持てません。

チェックすべきポイント
・長期修繕計画:更新日が5年以内で、お金が不足していないこと

3.必要な意思決定を迅速に行えること
多くの一般的なマンションでは、「理事会」と「総会」で物事が決められていきます。

ある程度の規模や築年数のマンションになれば、毎月必ず理事会で判断しなければならない案件が出てきます。
しかし、定期的に理事会が開かれていない場合には、
・ 審議案件が放置されて停滞している
・ 理事長判断が多い
のいずれかに陥っている可能性があります。

また、総会の参加状況も重要です(後述)。

いかに日々管理会社が頑張って管理してくれていたり、また管理組合として積立金を確保していたりしたとしても、日常的な意思決定がスムーズにできていなかったり、築年数に応じた改善やグレードアップが出来なかったりすると、中長期的に住んでいて快適さが失われるかもしれず、最後のメッセージに入れているわけです。

チェックすべきポイント
・総会議案書:事業報告(理事会の開催回数)
・総会議事録:出席者数(出席率)

そのような考え方に基づき、私が中古マンションで確認する時のポイントをいくつかご紹介します。

内見:3点チェック(掲示板、駐輪場、ゴミ置き場)

この3点チェックははるぶーさんのスムログの記事に詳しく乗っていますので、興味がある方はそちらをご覧いただき、私の内容は飛ばしても問題ないです(笑)

中古物件管理の良し悪しチェック (その1) l スムログ l はるぶーさん

とはいえ、これだけだとフリーライド感はんぱないので、以下補足しますねす。

A:掲示板:掲示内容から理事会として何を問題視しているかがわかる
主に確認すべきポイントは、「掲示日が古くないか」、「掲示内容の傾向」です。

掲示内容のうち、「騒音」と「喫煙」は多くを占めます。
個人的には一般的に戸数が多ければ掲示数が物理的に多くなりますので、掲示が多いから「ダメ」という判断を下す必要はないように思います。
また、身も蓋もない事を言えば、騒音に悩まされたくなければ最上階を買えばリスクは大幅に減少しますし、喫煙に関しては「隣人・階下ガチャ」的なところがあります。仮に換気扇の下で吸っていても臭いは換気設備から出てしまうので…。

B:駐輪場:整理整頓されているとしっかり管理されてそう
主に確認すべきポイントは、「自転車が区画以外に溢れてないか」と、(2段ラック等の場合)「故障中の区画はどういう扱いか」です。

確認してみた方が良い点としては、2段式ラックが「故障中」になっているケース。
空き区画がそれなりにあると、2段式ラックの修繕はまとめて行うことがあります。まとめてやった方が費用対効果が良いからですね。
そのため、故障中が多いことは「管理できていない」ではなく意図的である可能性もあり、確認しても損はないと思います。

C:ゴミ置き場:整理整頓されているとしっかり管理されてそう(②と同じ)
主に確認すべきポイントは、「ゴミがあふれてないか」と「清潔感はあるか」です。

悩ましいのは粗大ごみの放置です。
これ、大規模マンションなら必ずといって良いほど発生する話ですので、その事実だけで良し悪しの判断は難しく、組合の問題意識を想像した方が建設的じゃないかなと思います。
その想像方法の一つとして、ゴミ置き場の出入口or中に防犯カメラの有無が挙げられます(但し、各階ゴミステーションがあるようなタワマン除く)
防犯カメラって、マンションの外から中への侵入を抑止するために付いているケースはあっても、マンション内を監視する目的で付いていないケースって意外と多いんですよね。
ゴミ庫に関わらず、共用施設等に防犯カメラが設置されている場合は後から管理組合で設置しているケースがありますので、このような点からも管理組合の意識が計れる場合があるのです。

総会資料(初心者編)

マンション管理関係のWebサイトの記事だと「過去3年分の総会資料を見た方が良い」というアドバイス(※)がありますが、私のような文系ちゃららーんな人は蕁麻疹が出かねないので、私がさっくりと流し見するポイントを3つだけ挙げておきますね。
※管理組合の状況を理解する上では正しい事ですよ。

必要なもの:通常総会(定期総会)の「議案書」と「議事録」

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①:事業報告および収支決算報告
私なら以下のポイントを確認します。

理事会は年に何回行われたか?
概ね1~2ヶ月に1回の頻度で開催されていれば標準的と考えます(小規模は除く)。

管理費等改定の議論は含まれていないか?
議論自体は問題なく、そのような議論があった場合は自身が支払いできるかどうかを気にしたほうが良いです。

他に気になるトピックはないか?
こればかりは人によってまちまちなので、ご自身でご確認下さい。

一般会計(管理費口)が赤字になっていないか。
まずは単年度収支を算出してみましょう。
理想は複数年で見ると傾向がつかみやすいのですが、単年度でもある程度見えてくるものがあるはずです。

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上の表は決算報告書をとっても簡略化したものです。
一見すると収支差(赤文字)が「10」とあるので、黒字決算に見えますが、単年度収支を割り出すとあら不思議。

【計算例】
収入合計(B:175)- 前年度繰越金(A:10)-支出合計(C:165)
= 0(これが本当の単年度収支)

この例で言えば、収入側の一部を駐車場使用料(D)でカバーしているのに、予想より収入が少ない(=解約が多い)わけで、この駐車場解約のトレンドが今後も続くようなら管理費の見直しなんて話も想定できるわけです。

②:翌年度の事業計画および収支予算案
予算は予算で未確定要素が多いものの、なんとなく予算編成の仕方で傾向がつかめてきます。

駐車場使用料はどのような予測を立てているか。

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駐車場使用料の予算は、(何かしら独自のロジックでもって作成されているケースもあるかもしれませんが)、基本的には前期末時点での契約状況に基づいて予算編成されるはずです。
前年度の決算から想像しやすいケースですが、当然のように駐車場収入の減少を見込んでいるわけですね(E)。

一般会計予算案が黒字か(黒字でも無理していないか)
さっき決算でも同じように見ていきましたが、来年度予算案でも見ていきましょう。

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なんと、収支差(F)が前期決算と予算案で同じ「10」ではありませんか!
先ほどの収入側で駐車場収入が減っている(先のグラフのE)ことが分かっているので、その分どこかから減らそうとしているわけなのですが、それが修繕費(G)や諸経費消耗品費(H)あたりでちゃっかり調整されているわけですね。
特に修繕費(G)が減少している理由は確認する必要があります。
例えば前期に大きな修繕を予定し実行したため、それが今期は想定されないといった理由もあるかもしれませんが、そのような特別な理由がなければ「今期は物が壊れても直せない可能性がある」という想像ができます。
それが積み重なると、快適な住み心地から離れていくわけなので、とっても注意が必要です。

③総会出席率

総会の出席率は、実際に総会に直接参加している割合ではなく、議決権行使書や委任状(代理人指定書)を含めて意思表示を行っている方の割合を指します。
これは、最低でも80%は欲しいなと思います。

例えば、機械式駐車場。
築1x年も経過すれば、「機械式駐車場の契約者が減ったので、埋めて平置駐車場にしても台数の問題がないよね。そうすると、大きな車求められるし、修繕費用も削減できるから一石二鳥だね!」というシチュエーションも出てくると考えられます。
この時に、一般的なマンションでは総会で承認を得る必要があるわけですが、この時の承認条件が「特別決議」といってかなり厳しいのです(「区分所有者の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成が要件)。

仮に総会で意思表示する人が75%を下回っている状態が常態化している場合は、上の駐車場の事例をそもそも検討することが困難になってしまいます。

長期修繕計画(最低限これだけは)

細かいところはプロや詳しい方に任せるとして…
・5年以内に総会承認を得た「長期修繕計画」が存在していること
・その計画に対してしっかりと赤字にならないよう資金が工面される計画であること

は最低限確認することはしておきましょう。
(本当は「均等積立方式」だとなお良いのですが、それは別の機会に)

余談:実は第三者管理物件でもいいんじゃない?

私の考える「良いマンション管理」って、一部の管理会社が積極的に展開しつつある「第三者管理」でも要件を満たしているのでは…と期待していたりします。

基本的に、日常管理は管理会社が得意としている領域です。
壊れたものを直せていないとかは、概ね理事会で「困っている人少なさそうだし、様子見」とかで否決されて、できないだけでしょうからね。

また、三井レジ社の第三者管理物件は、自動的に修繕積立金の見直しが行われるよう管理規約に組み込まれていて、修繕積立金適正化も理事役員が汗をかく必要がないわけです。

一方で、全てお任せである以上、理事役員が汗をかくより割高になる懸念があること、そしてグレードアップ等の住環境を改善する施策は取られにくいことは想定されます。

それでも、素人理事が素手で戦うよりも、プロ(管理会社)に任せた方がかなりの確率で良好な住環境を享受できるんじゃないかと思えるわけです。

最後は自ら変革を促すという選択肢も…?

ここまでいろいろと書きましたが、多くのマンション管理組合は、
・ 意思決定の中心を担う理事会役員は素人集団
・ 役員は毎年変わってしまい継続性がない
という実態があります。

そのため、私自身が現居(某タワーマンション)を買うときにもいくつか管理面で妥協した部分があります。
例えば、
・ 駐車場の解約傾向はありそう(=管理費見直しの未来があるかも?)
・ 総会出席率は70%超えてない(=共用部分の変更は難しそう?)
というのはパッと総会資料から読み取れて、財務面においてはこの先とても苦しくなりそうな反面、ドラスティックな打ち手は難しそうな印象を抱いていました。

しかし、その後に縁があって理事役員として活動した数年の間に、
・ 総会出席率は90%が見えてきて、共用部分の変更の提案ができるように。
・ 思い切って財務体質を変える方向に舵取りへ(駐車場依存度の抑制)
と、冒頭の私が考える「良いマンション管理」に近づけることはなんだかんだで可能でした。

もちろん楽ではありませんが、「完璧な管理組合なんてないのだから、最後は自分が変革を促すという選択肢もありなのでは?」と思っております。

第三者管理は多くの場合で素人理事集団が頑張るより良い結果が楽に得られる可能性を感じますが、利便性を向上させたり、住まいが快適になる実感が得られるような施策は区分所有者でないとできない部分もあるのかなと思いますので、機会があればぜひ理事会に参画していてください(笑)

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