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郷酒 厨房 日記

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東京九段下/神保町にある小さな居酒屋『郷土料理と日本酒のお店 郷酒』 食べること飲むこと大好き!な料理人でもある女将が、季節の食材のストーリーと、こだわりのお酒、旬のおつまみレシ… もっと読む
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2019年6月の記事一覧

Return to innocence〜しあわせの牛乳〜

Return to innocence〜しあわせの牛乳〜

『やっぱり、美味しいモノには理由がある!』時々、生産者さんに会いに行くと実感する。

私の実家は農家で、米と野菜を作り、牛を飼っている家だったから、農作業の手伝いをしながら、わらの山でゴロゴロしたり、野山を駆け回ったり、心が疲れたら、こっそり牛小屋に行って、牛に聞いてもらったりして育った。

牛小屋には鶏がいて、卵を産んだのをみつけたらいただいたり。

春の息吹と雪解け水、朝靄の中で湯気をあげる畑

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美味しいって何だろう?

美味しいって何だろう?

私は、子供の頃からなんか考え過ぎるタチで、本を読むのが好きで、他人は謎だらけで、宇宙とか、心理とか、日常のよくわかんないことを考え抜きたいということで哲学科を選んだ。

さらに、自分なりの思考や表現方法や人との関わり方の手段?仕事?として、料理がしっくりきたので料理人になった。

ゆえに、美味しいってなんぞや?とよく思う。哲学的に、分析したくなる。

↑このふわふわの泡の下から、プリプリのアワビ

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さよならだけが人生ならば

さよならだけが人生ならば

悪い予感が当たってしまった。

noteを始めて少し経ち、とりあえずのんびり継続して書いてみようと思っていた矢先、一緒に働いてきた料理人が辞めることになって、メニューやオペレーションの練り直しに追われることとなり、呑気に構えていられなくなった。

うすうす、そんな気がしていたけど。

幸い、替わりに入ってくれる子が見つかり、一安心。私一人じゃ何も出来ないから。

人の入れ替わりの多い仕事だ。出逢い

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おばあちゃんの手 〜山菜の話〜

おばあちゃんの手 〜山菜の話〜

山菜の季節なので、張り切って山菜を故郷から取り寄せてはせっせと料理している。

山菜は、買うと結構いい値段するけど、田舎ではそこら辺に生えているご馳走だ。旬の時期に小一時間も沢や山、林の中を歩くとカゴ何個分も取れたりする。

さらには、各地区に山菜採り名人がいて、いただくことも結構ある。もらってばかりでは悪いので、代わりに畑でとれた野菜や、これもいただきものなんだけどの食べもの、沢山作った郷土菓子

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顔が見えるということ。

顔が見えるということ。

誰が作ったか分かると料理はより美味しくなる気がする。安心感のおかげかな。

生産者さんあっての飲食店だから、真心込めて作った食材が届くとこっちも気が引き締まるし、どう活かして美味しく仕立てようかワクワクする。

ブランドとか、宣伝文句に躍らされて、美味しいと思い込んで食べていることもあるかもしれないけど、漁師さんや農家さんなど、生産者さんの顔が見える食材を使った料理はなんだか美味しい気がする。

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その一瞬を大切に...鮎の話

その一瞬を大切に...鮎の話

毎年、一年のうちに、何か新しいことを始めたり、成し遂げようと思っている。自分が前に進んでいるような気がするから。

料理教室やキッチンカー、レシピ開発&提供、他には踊りをやってみたり(パレードでたり)、語学や文章の勉強、一人フェス、有り難くご依頼頂くものなど、とりあえず自己満足でしかないが、毎年モチャモチャ何かしらかチャレンジしてみる。同じような一年は、飽き性の自分には退屈でつまらない。

今年も

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大地讃頌 〜酒呑みの譜〜

大地讃頌 〜酒呑みの譜〜

おらほは代々酒呑みでった。爺様もひい爺様もひいひい爺様も農家で酒呑みだ。一日汗を流して働いて、晩酌には日本酒を飲む。農作業ができない冬の間、杜氏として出稼ぎに行っていた先祖もいた。

ビールも少しは飲むけど、基本的に酒っこ呑みといったら日本酒の人達だった。米どころの爺様達はみんな日本酒を好んで飲む。

郷酒は日本酒のお店といっているように、日本酒にもこだわっている。コンセプトとしては、“日本のお酒

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結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

今年も就活の時期が来た。4年生の子は早々と内定が決まり、一安心。3年生の子はインターンが始まるので、何がしたいのか、どういう働き方がしたいのかなど大いに悩んでいる。

そうだよね、迷うよね、わからないよね。

郷酒のアルバイトちゃん達は大学生が多いので、毎年、卒業と共に送り出すことになる。長く続けてくれるのはありがたいけど、毎年恒例のお別れはちょっと寂しい。そして、おかげ様で毎年初心を思い出させて

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