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小さな太陽〜東北食べる通信レポ〜

今月も東北食べる通信から美味しそうな食材と生産者さんの物語をまとめた冊子が届いた。

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今月は、宮城県に住むブシャン・アケボノさん。

食べる通信が届くと、ワクワクして、すぐに箱を開けたくなる。今月の人はどんな方なのかな?どんな食材が入っているのかな?どうやって食べようかな?と心踊る。

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アケボノさんは、デリー出身のインド人。インド料理屋を営むお父さんや家族と来日して、宮城の農業高校、農業大学校をでて、農業に励む20代の女性だ。

最近は健康志向や自然や環境への関心、農業の存続や食への危機感、などさまざまな理由で新規就農する女性も多いという。それでも、日本の農業人口は減少の一途を辿り、農業従事者の高齢化、農村の限界集落化は止まらない。

農業がなくなつてしまったら、食べるものがなくなってしまう、そんな、当たり前の事を普段あまり深く考えずに生活している。

そんな農業や漁業といった第一次産業の危機的現状を知ってもらい、食の大切さ、食を生み出す現場のありがたさや大変さ、生産者さんの想いやストーリーを伝え、都市生活者が地方と関わり交わることで、食の未来を守ろうと、「食べる通信」は生まれた。この「食べる通信」は東北、岩手花巻から始まり全国に波紋が広がっている

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普段調理場にいて、様々な食材を取り扱っているけれど、生産者さんとお会いしたり、お話したりする機会はあまりない。

それどころか、食材がどのようにして厨房まで来てるのかなんて知らない事も多い。

それでも、私も農家育ちで食の生産現場の大変さは見て育ったつもりだから、チャンスがあれば生産者さんにお会いしたいと思っていた。

「東北食べる通信」はその願いを叶えてくれた。食べる通信で知り合った生産者さんとの出会いや読者さんとの繋がりは地方や業種を超えて多方面に広がっている。

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食べる通信の魅力は取り上げられている生産者さんの丹精込めて育てた、荒波で必死に獲った食材が一緒についてくることだ。さらには生産者さんからの手紙も。

毎月、まるごと一株の茎付きわかめや、ドンコやほやうにといった三陸の海の幸、豚や牛や鶏、泥付きの里芋(土垂)、葉っぱ付きのニンニクなど、畑直送、港直送のそのまんまの姿で届く食材の数々に驚き、興奮している。

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アケボノさんのトマトはまるで小さな太陽だった。

ワクワクしながら見るトマトは真っ赤に熟れてみっちり凝縮していた。溢れんばかりの生命力を感じさせるような。

今回のアケボノさんにもすぐに会いに行きたいような気持ちになった。言葉もわからない慣れない土地で奮闘して大きくなり、信念と愛情を持って農業に向き合い、地域の人たちとの交流もとても大事にしているという姿を読んで、その目の光を見てその言葉を聞いてみたくなった。

調理用トマトということで栽培されているので表面に土に擦れた後がある。何も知らなかったら、キズものだと思って嫌がる人もいるだろう。

私達読者は、その畑のストーリーも一緒に食べているのだ。

調理用トマトは洗って加熱したら、旨味と甘味が出てくるという。さて、とりあえず、焼きトマトにでもしようか?

「食べる通信」には、食材を美味しく使いこなすレシピもついてくる。今回のレシピはトマトチーズトースト、トマトカレー、トマトのおひたし、トマトスープ、トマトケチャップだった。全部試してみたいけど、、と思いながら、今回はカレーを作ることにした。

食材が良いと料理を作るモチベが上がる。美味しそうなレシピを見ると、作って食べたくなる。

食材を無駄にせず丸ごと使い切りたいと思うし、愛おしさすら感じる。大事に、大事にと。

ポケマルで、 遠くの畑が豊穣の海がすぐ近くに。

食べる通信は、

ポケットマルシェ 

という生産者さんから直接買える通販アプリのサービスがある。実際のところなかなか会えない生産者さんと消費者がSNSを通して交流したり、想いを伝えあったりすることができる。

スーパーの産直コーナーに顔写真が貼ってあっても、いまいちピンと来なかったりするけど、生産者さんとの直のやりとりで食べものに対する感謝やありがたさ、興味もでるし、地元の食べ方も聞けるから、扱ったことのない食べものもなんとか調理してみようと思う。

新しい出会いって、日常生活の中の良いスパイスだ。

さらには、おまけをつけてくれる生産者さんもいて、対面式のやりとりであったような、温かいイキイキとした、昔ながらの人と人との交流が現代的な形で広がっている。

食材ロスをなくせば地球環境にもいいし、節約対策にもなる。食べる通信でなくてもいい、何か大切に食べたくなるような食べものを探してみたら、皆んな少しずつ元気になっていくのでは、とひそかに思っている。無心で料理や食材と向き合う時間があってもいいじゃないか。

気持ちのこもった美味しい食べものを食べる幸せって、心を豊かにするから。

おまけレシピ

レシピというには恥ずかしい。

ズボラカレー

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色んな部位の鶏と玉ねぎ、セロリ、白菜などの刻んだのとにんにく、生姜を炒めて、アケボノさんのトマトは ヘタを取って半割でたくさんいれて、塩コショウと水を少しだけ入れて、あとはコトコト煮込んだ。途中、使い残しのカレールーも入れ、カレースパイスもいろいろいれて。トマトの旨味がじわーっと湧き出て深みがある大して何もしてないのに美味しいカレー。

そして、スクランブルエッグ、トマトとハム。

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あとは、車麩とトマトグラタン。やっぱりチーズをかけて焼いてみたくて。

食べる通信 https://taberu.me/post/author/tohoku

ポケマル https://poke-m.com/

おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。