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偉いぞ、カツオ!

『サザエさん』では、わんぱくでおバカでずる賢くて、いたずらしたり、何か企んでは怒られてばかりいるカツオ君。

私も子供の頃、大人の真似をしたり、へりくつを言ってはよく怒られていたから、座敷に呼び出されて、「ちょっとそこに座りなさい」なんて言われて波平さんにお説教されるカツオ君になんだか共感していた。でも、カツオ君はいたずらばかりするので、なんでわざわざ怒られるような事をするんだ、と冷ややかに観ていた。

そんなカツオ君も、時たま良い行いをする。でも、やっぱり悪知恵も働いてしまうので、褒められたあとでも、また何か悪さやヘマして、なかなか「えらい、カツオ君!!」と称賛はされない。愛らしく、しょうがないなぁと苦笑いさせられるキャラだ。

サザエさんでのカツオはそんな扱いだけど、本物のカツオは実にえらい!!役に立つ!!日本人に、和食になくてはならない魚だ。

カツオは美味い!

和食には鰹節を使って引いた鰹出汁もしくは一番出汁が欠かせない。削り節は出汁も取れるし、そのままかけても美味しい。

今の夏の終わりから秋にかけて美味しいのが、なんといっても、戻りガツオ!!春先の初ガツオも美味しいけど、脂の乗った戻りガツオを、塩を振り、皮をパリッと豪快にあぶり、ちょっと良い粗塩やポン酢で食べる。高温の直火で炙ることで、落ちた脂でカツオが軽く燻され、芳しくなる。

わら焼きという手法もあり、わらを焼いた香りで軽い燻製にするというもの。専門店と出来て、大賑わいみたい。

どちらにせよ、出来れば脂の乗った鮮度の良いカツオを使って、炙りたてを冷やしたりせず、分厚く切って食べるのが美味しい。これは、土佐料理の割烹出身の親方の教え。この方法は眼を見張る美味しさで、赤身の魚特有の血合いの生臭さもない。

三陸はカツオの名漁場。

三陸の気仙沼や大船渡には良い戻りガツオが揚がる。

春に初ガツオと呼ばれる九州南部で揚がるカツオ、残りはだんだん太平洋の黒潮を北上し、脂の乗ってきた北海道あたりで冷たい海流に当たると、Uターンして南下し始める。ちょうどそこら辺が三陸にあたり、戻りガツオとして水揚げされる。脂が乗ってるとトロみたいなので、トロカツオと言われることもある。

弱点は、脂の乗りが良いと足が早い(傷みやすい)ので、輸送技術の発達のおかげで新鮮で美味しい戻りガツオが流通している有難さ。

どのカツオがお好き?

カツオは好物の人が多いので、好みは分かれる。赤身のさっぱりした初ガツオの若干の酸味が美味しいと言う人もいれば、戻りガツオの脂の甘みが好きな人もいる。

刺身をわさびでとか、にんにくマヨでとか、叩きを塩でとか、薬味たっぷりポン酢でとか、カツオ好きのこだわる美味しい食べ方はたくさんあるのが面白い。

↑ある日のお通し。ヅケカツオのアカモクがけ

“土佐の一本釣り”カツオは絶品として、土佐料理の皿鉢にはカツオが欠かせないように、釣りカツオカツオは鮮度が素晴らしい。カツオやマグロは身体が擦れると弱ってしまうので、巻き網漁だと鮮度が落ちやすくなってしまう。でも、今、漁師さんの努力によって技術が向上しているから、巻き網でも十分美味しいけど。

カツオの名産地は南は沖縄、鹿児島の枕崎、宮崎の日南、高知の土佐清水、三重、静岡、千葉、そして三陸と太平洋側の色んなところで揚がるので、食べ比べたら美味しいかも。

郷酒でも、カツオが出ている時期はずーっと扱っているので、季節ごとの味の違いが味わえて面白いなぁと思っている。

なぜたたきなの?

カツオの叩きってよく言うけど、何が叩きなんだろうって思っていた。

アジ叩きなら包丁で叩くけど、カツオの叩きは切っただけじゃんと思っていた。

働き始めてわかったのは、炙って、切った後にさらに粗塩をぱらり、と振ると塩の食感と塩気で脂の旨味が引き立つのだけど、漁師さんがさらに叩いて馴染ませたから、というもの。諸説あるみたいだけど。

カツオをわざわざ炙って、薬味をたくさん添えて食べたのも、その方が美味しいとか、鮮度の問題とか、西洋人向けにアレンジしたものとか、土佐藩の贅沢禁止令によって、刺身ではないと誤魔化すためだったとか、由来が色々ある。

何はともあれ、なんの食材でも思うことだけど、この食べ方思いついた人、天才!と思う。

実は子供の頃カツオ苦手だったけど、大人になって、ちゃんと調理するようになって、美味しさに気付けた。

叩きも美味しいけど、ヅケにしたものを乗せた手ごね寿司や、竜田揚げのあんかけ、なまり節を使った煮物、ガーリックステーキも良くて、意外と多様性がある。

鰹節がすごい!

鰹節の手間暇には感服してしまう。実家ではあまり登場しなかったけど、和食にはなくてはならない。昔『料理の鉄人』で道場さんが命の出汁を鰹節たっぷりで引く姿が印象的だったが、たっぷりの鰹節で丁寧に引いた鰹出汁は、香りから豊かさが違う。

鰹節の作り方は、ざっと見ても、カツオをおろして、柵どりして、蒸して、燻して、天日干しして、カビづけして熟成させるという、途方も無い工程があって、それを薄ーくけずっている。

だからちょっとした量でも、高級な鰹節はお値段も高価。

市場の鰹節屋さんで味見をさせてもらうと微妙な芳ばしさや舌に広がる旨味の違いに思わず目がさめる。これで温かいお吸い物を作って飲みたいと思う。少しの塩と醤油で味付けしただけのお吸い物の味の豊かさといったら!お味噌汁も美味しいけど、お出汁のシンプルな美味しさには、“旨味”がわかる日本人でいがったなぁと嬉しくなる。

えらいぞ、カツオ。

〜〜〜おまけレシピ〜〜〜

カツオの叩き

※とにかく炙りたて!スーパーのカツオの叩きだって、炙り直したら香ばしくぐんと美味しくなる。

①カツオに塩を振って皮面からカリッとなるように直火で網に乗せて炙る。

②1.5センチ幅くらいに厚く切る。皿に並べ、美味しい粗塩をぱらり。


③わかめ、オニオンスライス、大葉やみょうがの千切り、小ねぎの小口切りなどを散らし、ポン酢をかける。おろし生姜、にんにくスライスを添えて、好みでつけて食べる。

自家製ポン酢

ポン酢も自家製にすると美味しい。好みの味を探求するのも面白いかも。

醤油:米酢:みりん:柑橘の果汁(柚子やすだち、カボス、橙など) を4:4:1:1の割合で合わせ、昆布と鰹節を入れて、冷蔵庫で3日から1週間くらい寝かす。(昆布によってはトロミがついてしまうものもある)。だいたい冷蔵庫で2週間はもつ。


↓手ごね寿司と松茸のお吸い物








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おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。

じゃじゃじゃ!
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たぬき女将

居酒屋女将で料理人。哲学科卒。 好きなものは料理と酒と音楽と本と鉄道。

郷酒 厨房 日記

東京九段下/神保町にある小さな居酒屋『郷土料理と日本酒のお店 郷酒』 食べること飲むこと大好き!な料理人でもある女将が、季節の食材のストーリーと、こだわりのお酒、旬のおつまみレシピなどをつづります。
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