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美味しいって何だろう?

私は、子供の頃からなんか考え過ぎるタチで、本を読むのが好きで、他人は謎だらけで、宇宙とか、心理とか、日常のよくわかんないことを考え抜きたいということで哲学科を選んだ。 

さらに、自分なりの思考や表現方法や人との関わり方の手段?仕事?として、料理がしっくりきたので料理人になった。

ゆえに、美味しいってなんぞや?とよく思う。哲学的に、分析したくなる。


↑このふわふわの泡の下から、プリプリのアワビが!このコントラストにびっくり!!違う食感が口の中で調和する妙。

そして、考え過ぎて自信なくす。料理だけならず、身体感覚って、考えるな、感じろ、の部分もあるし。美味しいって、人それぞれの感じ方なので。

何をもって美味しいなのか、美味しいの哲学についてはまた今度。


☆地産地消の贅沢さについて

郷土料理と日本酒のお店、と謳っているので、旅先のごはん、郷土料理は勉強になる。たとえば旅先で、シンプルに出される、鮮度の良い地のものに、感服するばかり。

結局は、美味しいものを、最高の鮮度で、余計な小手先の技や味付けを足さず、ただただその素材のポテンシャルを引き出し、発揮させるシンプルな調理法で、てのが最高なんだなぁって。

その土地の鮮度には勝てない、どんなに小手先の技を使って料理に仕立てても、地のものの素朴な美味しさの前では無力だなぁと思う。食材の前ではおこがましくて、ドヤ!なんて出来ない。
美味さを引き出すことが料理人の腕の見せどころなのだけど。

そんな地産地消の贅沢さ、有り難さが、いま、脅かされている。

担い手不足、食生活や食文化の変化、野菜などの生育状況の変化、法改正、海温上昇や天災など自然や環境の問題等々、食材を取り巻く状況は深刻だ。

美味しいものを美味しく食べたいでしょ?って思うけど、食材の生産現場の問題だけではなく、美味しいの定義も感覚も多様化している。完全栄養食品をちゃちゃっと食べてそれで十分だという人もいる。

だから、私のはただの思い込み、偏見、押し付けになるんじゃないかと、怖くなる。

美味しいって、なんぞや??

でも、、、やっぱり美味しいものを食べるって、幸せだ。それは、それだけは、わかる。伝わると信じている。

だから、自分なりに真っ直ぐに食財と、食を取り巻く問題と向き合っていきたいと思う。


なので、うちでつくるのは、旅先で出会ったものを岩手や東北食材、私なりの感性で空想して仕立てる、ネオ・郷土料理だ。

空想の多い郷土料理店

とでも言いたい。


☆美味しい想い出をおすそ分け


先日、酒蔵さんの周年パーティのお誘いを受け、ついでに福井、石川を旅してきた。お刺身に昆布シートを使って昆布締め風にしたり、お醤油が独特だったり、凝った野菜のソースに出会ったりと、今回も実りの多い旅だった。

張り切って撮った料理写真を見ると、味が蘇るよう。私は記憶に残せないタチなので、記録に残さないとたちまち忘れてしまう。旦那にほら、あの時のアレ、あの味、言われても全く思い出せなかったりする。その場を楽しんで、忘れてしまうのだ。料理人なのに。

だって、人の作ってくれた料理って、美味しいんだもの。

ただ、この気持ちを独り占めしないで、今度はお客さんが同じように喜ぶように、還元しないと、だ。

※つぶ貝の宗玄酒粕茎わさびあえ

①つぶ貝は水管と内臓を掃除して、ぬめりを塩もみして洗い、1分くらい、さっと茹でる。

②酒粕は、酒少々、みりん、塩、茎わさび漬けを混ぜ、好みの塩加減に調味する。

③水気を拭いたつぶ貝をあえる。お好みでさらにわさびと醤油をちょっとつけて食べても美味。

(冷凍保存も可能。)


おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。