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ぎんがぎんがの夏。

ああ、森の中ですきとおった風に吹かれたい!!

ずたーっと猛暑日が続いている。ぎんがぎがの太陽。

この時期、店のランチの日替わりメニュー、季節にピッタリなものをと思いつつ、暑い厨房でボーっと茹だった頭でいつも悩んでしまう。

何が食べたいべか?何が喜ばれるんだえんか?


栄養たっぷりで、スタミナがついて、さらっと食べられる、そんな、料理、定食ってなんだろう?って。

(和食らしくお刺身メニューはすでに定番に組み込まれている。)

自分に聞いてみても、今の季節は冷たい麺が好きなので、自分の好みだけではダメだなぁと思う。

(ちなみに写真の盛岡冷麺は岩手人のソウルフード、春夏秋冬問わずいつでも食べれちゃう。)

夏のランチねぇ…蒸し鶏?蒸し豚?冷しゃぶ?ローストビーフ?

いつもいつも思うのは、他の料理人の方々のキラキラした珠玉の、絶品の、素晴らしい発想はどのように生まれているのだろう。ということ。


本を読み、ネットで調べ、Instagramの写真にため息。隣の芝生は青い。人の料理はどれもとても美味しそう。


農家出身で哲学科卒の食いしん坊、素朴で美味しい食材や郷土料理を守りつたえたくて始めた料理人の道。

もたくたずい(もたもたしてる)ので、さらっとスマートに、洗練された料理を作れないもどかしさ。何年やっても、気をつけていても、勉強してもしても、だいたい、ランチはドタバタ。


料理には人柄が現れるっていうし、こんな暑い日に、もったりと重たいものなんて喉越しが悪いので、せめて料理に向き合う気持ちは爽やかに軽やかに自然体でいなきゃいけないなぁ、と思う。


郷里の詩人、宮沢賢治は、『注文の多い料理店』の序文でこんなことを書いている。

ー わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃ももいろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
 …中略…
 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
*宮沢賢治『注文の多い料理店』序文 青空文庫より

子供の頃から身近だった宮沢賢治。

“すきとおった風”という表現がよく出てくる。

田舎には時たま、すきとおった風が吹く。うだる暑さもモヤモヤした心も部活で疲れた体も、一瞬.ふっと何ミリか浮いて昇華するような、さっぱりする瞬間。

すきとおった風を食べても空腹は解消されないけど、宮沢賢治の物語はすきとおった食べものとなって心の栄養として身体に染み渡る。

そんなすきとおった風の吹く土地から来た大事な食べもの(食材)も、同じように、食べた人の心に身体にスーッと染み込んで、血となり肉となり、明日への希望や活力、糧になればいいなぁと願っている。

それを仕立てるのは料理人の仕事であり、腕の見せ所。

ということで、現実、いつももたくた、バタバタしてるけれども、来てくれた方々が、

つかのま、休息の時間を過ごし、心も身体も元気になれるようなランチを作り続けたい

とささやかに願う。

〜〜〜〜〜おまけレシピ〜〜〜〜〜

お刺身アカモク和え🌊

栄養たっぷり、注目のアカモクと和えて、買ってきたお刺身も絶品に!!

1.お刺身は、美味しい醤油にさっと漬けて、軽いヅケにする。
2.アカモクをだし醤油であえ、お刺身の上からかける。

ご飯にかけて、ズルズル〜〜っと。もちろん、納豆とかと合わせて、豆腐や麺類に乗せても美味しい。

茹で豚と野菜のトマトぽん酢🍅

茹で豚は、中華のウンパイロー(雲白肉)の作り方。もやしなどの温野菜でも、きゅうりなどの香味野菜でも、野菜をたっぷり添えて。トマトぽん酢にも大葉とか入れると美味しい。

1.豚バラは柵どりして、鍋にネギの頭、しょうが、とともにひたひたの水、酒、塩(1柵に対し大さじ1.5くらい)をいれて火にかけ、沸騰したら、アクを引いて弱火で1時間くらい茹でる。そのまま冷ます。
2.冷ました豚を薄くスライスする。(軽く温め直しても。) 好みの野菜とともに盛り、 トマトピューレとポン酢を1:1で合わせたタレにトマトを切って入れ、混ぜたタレをかける。

ポン酢をめんつゆに変え、好みで希釈したら、冷やしそうめんのタレにもなる。ごま油で風味づけして、トマト冷やし中華のタレとか。






おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。