それでも、僕は銭湯に行く

銭湯に行き、サウナにも行き、仕事をやって、気がついたら、20代も後半になっていた。
今年で28歳になる。ついこの間まで大学生だったはずの自分が随分と遠く感じるようになった。大学生の時に思い描いていた社会人生活は正直、送れていない。当時本気で好きだった彼女と、結婚とか考えていたりもしたが、大学院修了と共に別れた。社会人スタートの時点で思い描いていたものからズレてしまった。
しかし、更に過去を振り返ってみるとそもそも子供の頃に思い描いていた20代後半にはかすりもしていない。自分がこんなに銭湯に行くようになるなんて思ってもみなかった。そもそも小学生の時の僕はどんな大人になると思ってたんだろう。

子供の頃、自分が将来どうなっているのかを考えた時の事を思い出してみるととても恥ずかしくなる。当時小学生の僕は大学生が何歳くらいになるのかも分かっていなかったけれども、20歳の時には好きな人がいて、23歳くらいに結婚すると思っていた。バリバリ働いて、いつしか子供も出来て……ってそんなありきたりな事を子供の時の僕は考えていた。
現実は理想とは大きくかけ離れ、子供の僕が今の僕を見たら驚きと失望でひっくり返ると思う。
でも、なんだかんだ今、僕は幸せなんだと思う。子供の頃の理想とは違えど仕事もあるし友達もいる。SNSで友達の幅が広くなったおかげでとても楽しい。もちろん、ふっとした時にこのままで良いのかな……婚活パーティや合コンにガンガン行って早く彼女作って結婚しなきゃいけないのかなって思うときもある。けれども、未来なんて何が起こるかわからないし、理想通り進む人生なんて存在しないってことがよくわかっている。もっとあれもやらないとこれもやらないとってきっと誰かにいつか言われるかもしれないし、自分でも思う時が来るかもしれない。悩みはつきないし、毎日たいへんだけど、だからこそ僕は好きな銭湯に今日も行く。

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