オペラトルペの青空

オペラトルペという名の5人のアイドルグループ。その初披露公演の衝撃は忘れられない。

「リセット~僕らの青~」と題された公演。クオリティの高い綺麗な音楽。演劇的なダンスパフォーマンス。そこで演じられるのは、「自殺」という重いテーマ。それが、エンタテインメントとして昇華されている。とんでもないものを見せられている、と思った。

特に心に残ったのが、その公演の最後の曲、「青空」。青空の下、落ちてゆく「僕」。落ちてゆく「僕」に手を伸ばす「君」。「君」に手を伸ばす「僕」。青空。絶望の中の希望の色。有り得ない光景なのに、はっきりとその青が見えた。心が震えた。

約一年間「リセット」の演目のみでライブを続けた後、新しい公演が発表される。「メランコリックショウガール」。エンタテインメントショウとして更にパワーアップ。しかし題材は「承認欲求」という、また重いもの。華やかな世界に生きるショウガールの内面の苦悩が描かれる。

あくまでもグループアイドルというフォーマットに則りながら、今という時代を鋭く見据えた物語を描く。この時代を生きる者の心を突き刺してくる。唯一無二の存在、オペラトルペ。これはより多くの人たちに届けられるものでなければならない、と思わずにはいられなかった。

しかし。

あまりにも厳しい時代の流れの中での、悲しいお知らせ。(だけど、こうやって真摯な言葉で私たちに伝えていただけたこと、感謝しています。)


そして、最後の公演の日。

過去の公演から再構成された(幻となってしまった3rd公演の曲も…!)演目。メンバーは3人になってしまったけれど、それでも、物凄い熱量のステージは楽しく、格好良く、可愛く、本当に素敵なものだった。いつまでも続いて欲しい…本心でそう思わせられるものだった。

だけど、「青空」のイントロが流れた瞬間に、ああ、オペラトルペはこれで終わりなんだな、と理解した。

自ら幕を引くという道を選んだオペラトルペ。「青空」は、そんな彼女たちの姿を描いた歌だった。

僕たちは、最後の青空の下、手を伸ばし合った。

「たった今気づいたんだ たった今わかったんだ

 ただひとり君だけに サヨナラをいいたかったこと

 たった今気づいたんだ たった今わかったんだ

 この命に意味があったこと」

絶望の中の希望の言葉を僕たちに残して、オペラトルペは。


5人のメンバーの皆様。プロデューサーのマダムギーヌ様。本当にありがとうございました。皆様がこれからの未来を素敵に描いていくことを、心から祈ります。


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