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これであなたもZone Schemeマスター!?

※注意※
自分のチームのZone Runとこんがらがりたくない人は今すぐこのnoteを閉じてください。

皆さま
こんにちは、がわにです。

今回はZone Scheme Runについて具体的に見ていきます。
今回ご紹介するのはInside ZoneOutside Zoneになります。

早速見ていきましょう。


おさらい

3つのRun Scheme

前回、前々回とRun Schemeの種類について言及してきましたが覚えていますでしょうか。
膨大な数のRun Playsが存在するが、原則3種類に分けられるんでしたね。
その三つが
・Zone Scheme
・Gap Scheme
・Duo
でしたね。
今回のnoteではZone Schemeの具体的なPlaysについて触れてきます。

Zone Schemeとは

前回のnoteでZone Schemeについて概要を説明しましたが覚えていますでしょうか。
まず、Zone SchemeのConcept「複数DayLight発生させる」ことでしたね。
続いてBlocking Ruleは何だったでしょうか。そうですね、Zone Blockingが用いられるんでしたね。

ここまでの前提知識が入っていないと、このnoteの理解度は半減します。
なので、「忘れてしまっていたな~」という方は以下のnoteでしっかり復習したうえで次に進むようにしましょう!

・・・・さて、ここまで来てくれたあなたはZone Schemeについて理解してくれてますね。素晴らしいです。
それでは具体的なZone Scheme Runを覗いていきましょう!

Inside Zone

Concept

最初はInside ZoneのConceptから見ていきましょう。
「ん?Inside ZoneにもConceptあるの?」と思われたそこのあなた。もちろんInside ZoneにもConceptは存在します。
「覚えることばっかりでしんどいわ!」と思われたかもしれませんが、そこはご安心ください。
Zone SchemeのConceptは何だったでしょうか?そうです。
「複数DayLight発生させる」ことでしたね。これはInside Zoneでも同じです。問題は「どこ」「複数DayLight」発生させるかです。
ズバリ、「T-Box内で複数DayLightを発生させる」のがInside ZoneのConceptになります。
頭の中が「???」になっているそこのあなた。分かります。
順を追って説明していくので一つずつ見ていきましょう。
Boxについてすでに分かっている方はここは飛ばしていただいて問題ありません。

Boxとは

T-Boxとは何ぞや、というお話なのですが、これは「タックルボックス」のことを指します。実はこのような表記、呼び方自体は一般的ではないです。何なら僕以外で使っている人はいないのではないかと思っています。
ではなぜこのような呼び方、表記の仕方をしているかご説明します。
と、その前に「そもそもBoxって何やねん。。。」って話なので、そこからお話しします。
Boxとは「RTとLTの間を横とし、LOSから5ydsを縦としたArea」のことを指します。
「は?」という声が聞こえてきそうなので以下の画像をご確認ください。

BOXと呼ばれるエリア

このようにオレンジ色のエリアがBoxと呼ばれるエリアになります。
それではどうしてわざわざ「Box」という概念が存在しているのか見ていきましょう。

Boxの重要性

前の項でBoxは何かについて見てきましたが、どうしてわざわざ「Box」という概念が存在しているのか。それは、「ほとんどのRun Playsが行われるエリア」だからです。
なので、この「Box」の取り扱い方は、Defenseにとってとても重要なものになります。
細かい説明は省略しますが、Defense側でこのBox内の人数をしっかり充てないと、人数が足りなくなりRun Playsが止まらなくなります。
なので、シチュエーションごとにDefenseはBox内の人数をコントロールしたりします。
(RunがCallされる可能性が高ければBox内の人数を増やし、PassがCallされる可能性が高ければBox外の人数を増やす、といった感じです。)
よって、このBoxという概念は、アメリカンフットボールにおいて非常に重要なものになっていると言えます。
では、T-Boxとわざわざ表記している理由を次に説明します。

T-Boxについて

T-Boxは「タックルボックス」であることは前述の通りですが、私がどうしてわざわざこの言い方をしているのかというと、エリアを明確化したいからです。
どういうことかというと、LINEの人数が増えるとBoxのエリアが曖昧になるということです。
例えば、TEがOLの隣にSetしていた場合、Boxはどこになるかというのは人によって定義が分かれてきます。
面白いですよね、TEがいるかいないかだけで定義が急に曖昧になるんです。
ただ、Offenseをやる上で、そこの定義が人によってばらつきがあると再現性が下がるので、私は「RTとLTの間」をT-Box「TEとTEの間」をTE-Boxと表記しています。
ここを認識していただいたうえでこれからの説明を聞いていただくと分かりやすいかなと思います。

Inside Zoneを実現させるために必要な要素

さて、前置きは長くなりましたが、Inside Zoneの説明に戻ります。
Conceptは「T-Box内で複数DayLightを発生させる」でしたね。
では、どのようにT-Box内で複数DayLightを発生させるのか。
それは以下の通りになります。
・両EdgeをKick Outする
・Kick Outしない人間は積極的にDouble Teamを作る
実際の絵を見てみましょう。

Inside Zone Split

このように両DEをBoxからInside Outし、Kick Outしない人間は積極的にDouble Teamを作るAssignmentになっていますね。
こうすることで、T-Box内で複数のDayLightを発生させているわけです。
重要なのは、あくまでZone Blockingなので、誰を取るか、どうCombinationを組むかをPre Snap時に目星を付けておくものの、自分の割り当てられたGapから大きく外れていくDefenderに関しては付いていかないことです。あくまで、自分のGapに入ってくるDefenderをBlockするというのは変わりません。
おや?NG(ノーズガード)の取り扱い方が自分のチームと違うと思ったそこのあなた。
鋭いですね。
そうなんです。ここはTeamによって解釈が分かれるところなんです。そこを次の項で見ていきましょう。

NGの取り扱い方

NGは1テクと一般的には呼称されているので、以降1テクと表記します。Inside ZoneでのBlocking Assignmentの一つのキーポイントとなるのは、1テクの取り扱いです。
どうキーポイントになるかというと
・LGに1テクをソロでブロックさせ、RBにReadさせる
・DLで一番強い1テクにしっかりDouble Teamを作ってBlockする
という取り扱い方の差によって、Blocking Assignmentが変わってくるということです。
一つ目のBlocking Assignmentだと以下のようになります。

Inside Zone Splitの別バージョン

このBlocking Assignmentだと、
・両EdgeをKick Outする
というところは変わらないのですが、
1テクとLGが1対1、3テク(DT、上の絵で言うとT表記)はCとRGでCombinationを組みますが、Cは3テクがインチャージしない限りLBへClimbしてしまうので、実質RGと3テクの1対1が作られます。
上の絵だと1対1が2つ作られてしまうので、個人的な好みの話になりますが、私はしっかりDouble Teamを作る以下のAssignmentの方がPlay成功の確率が上がると考えているので好きです。

Inside Zone Split

これに関しては完全な好みですし、1テクと1対1を作る方のAssignmentも1テクが好き勝手できなくなるメリットもあるので、自分のTeamにはどちらの方が合っているか、しっかり検討して導入してみるといいと思います。
続いてInside ZoneのVariationsについて見ていきましょう。

Inside Zone Variations

Inside Zoneには様々なVariationsが存在します。
そのVariationはどこから生まれているかというとBackside EdgeのControlをどのように実施するかによって決まっています。
実は、Inside Zoneにおいて一番難しいのはBackside EdgeのControlになります。なぜかというと、右のInside Zoneを実施した際に唯一逆方向、左にBlockをする必要があるからです。そうなることで、Zone BlockingとKick Outとの歪みが発生します。そこの歪みが難易度を上げている要因になります。
要するに、Zone Blockingによって右にReadしているEdgeを左に押さないといけない、そこの歪みが難しいということですね。
さて、Variationに関しては以下の通り大きく三つに分かれます。
①FBにKick Outさせる
②OTにBlockさせる
③Option化する

①に関してはこれまで見せてきたFBがEdgeをKick OutするInside Zone Splitになります。

Inside Zone Split

②に関しては、LTとFBの役割チェンジをさせたInside Zone Iso、LTにDEをBlockさせ、Backside LBをOption化したRPOがあります。
まずはInside Zone Isoから見ていきましょう。

Inside Zone Iso

以下、参考映像です。

このように、Inside Zone Splitと見比べてもらうとわかる通り、LTがDEをBlockし、FBがBackside LBをBlockして役割チェンジしていることが見て取れると思います。
続いて、Inside ZoneRPOを見てみましょう。

Inside Zone RPO(Bubble)

このようにLTにDEをBlockさせ、Backside LBのAlignmentによってBubbleに投げるかInside Zoneを実施するかを決めるRPOも②のVariationになります。
以下、Bubbleとは違いますが、RPO化したInside Zoneの例になります。

続いて③に関しては、DEをOption化するInsideZone Read、Lead Blocker付き、Inside Zone Arcがあります。
まずはZone Readから見てみましょう。

Inside Zone Read

このようにBacksideのDEをあえてBlockせず、どのようにリアクションするかによってRBに渡すかQBがKeepするかを決めるOption化することによってEdgeをControlしています。
以下、Inside Zone Readの例です。

続いて、InsideZone Read Arcを見てみましょう。

Inside Zone Arc

このように同じOptionでもLead Blocker付きのPlayになります。
以下、イメージです。

・・・察しの良いあなたなら気づいたかも知れませんね。
そうです、このPlayはInside Zone Splitの裏としても使えます。なので、このFBはいかにKick Out に見せながらDEをスルーするのかが大事になります。最初から膨らんでいるとバレバレなので、DEが良いリアクションしてくれません。しっかりKick Outに見えるレーンで上がっていきましょう。
さて、ここまでがInside Zoneの説明でした。続いてOutside Zoneになります。

Outside Zone

Concept

さて、Inside Zone編が終わり、Outside Zone編に入りました。
Outside ZoneにももちろんConceptは存在しますし、Zone Schemeに属するので大元のConceptは同じです。
さて復習です。Zone SchemeのConceptは何だったでしょうか。
そうです。
「複数DayLight発生させる」ことでしたね。これはOutside Zoneでも同じです。Outside Zoneは「どこ」「複数DayLight」発生させるのでしょうか。
ズバリ、「PlaysideからBox外を含めて複数DayLightを発生させる」のがOutside ZoneのConceptになります。

Outside Zone Image

Inside Zoneの説明を見てきたあなたなら、何となくイメージできるようになっているのではないでしょうか?フットボールにおいて、絵を見て頭の中でPlayがイメージできるようになればものすごく強いです。そういった感覚はぜひ大事にしましょう。
では、「PlaysideからBox外を含めて複数DayLightを発生させる」ためにはどのような要素が必要になるのでしょうか。
早速見ていきましょう。

Outside Zoneを実現するために必要な要素

「PlaysideからBox外を含めて複数DayLightを発生させる」ために必要な要素は
・Backside Cut Offの徹底
・Playside BlockerのStretch

になります。
どういうことかというと、PlaysideのBlockerはどんどんGapを広げて行くようなBlockingをする一方で、BacksideのBlockerはBacksideのDefenderがPlaysideに行かないようにしっかりと楔を打つ、この二つが重要であるということです。
そうすると取り残される側と流される側の2分化が起きて、複数のDayLightが発生するというカラクリとなっています。
これだけ聞くとものすごく有効なように聞こえますが、そうは甘くはないです。
どうしてかというと、Box外も含めてDayLightを発生させるので、最初のRBの狙うエイミングは外になります。
そうなると、エイミングに到達するまでの距離が遠いため、時間がかかります。時間がかかるということは、その分長い時間Blockingをしている必要があるため難易度は上がります。
とはいっても、PlaysideのBlockerは基本的にDefenderをPlayside側、そして外に流すので、そこまで難易度は高くありません。
問題は、Backside、Cut Offを実施して楔を打つBlockerです。
長い間楔を打ち続けないといけないので、難易度は非常に高いです。PlaysideにDefenderを行かせないというのは相手の妨害をし続けるということなので、時間が長なればなるほど成功の確率が下がって行くのは想像するのは難しくないと思います。
そうです、Cut Offをやり切れるかどうかがOutside Zoneのポイントになります。
なので、Cut Offの成功率を高めるために、Outside Zoneには様々なVariationsが存在するのです。
次はそんなOutside ZoneのVariationsについて見ていきましょう。

Outside Zone Variations

さて、Cut Offの成功率を高めるためにOutside Zoneの様々なVariationsがあるというのは前述の通りですが、具体的には以下のVariationsがあります。
Backside Edge Control
②Back On Back
③RPO

まずはBackside Edge Controlから見ていきましょう。
Backside Edge Controlに関しては、基本的に以下の二つの方法があります。
・FBにKick Outさせる
・TEにCut Offさせる
まずはFBにKick OutさせるOutside Zoneから見ていきましょう。

Outside Zone Split

Backside Edge Controlの代表例の一つがこのOutside Zone Splitになります。
FBにDEをKick OutさせることによってCut Offの人数を増やし、Cut Offの成功確率を上げているPlayになります。
実際のイメージは以下の通りです。

続いて、TEにCut OffさせるOutside Zoneを見ていきましょう。

Outside Zone

これはBacksideのTE(U表記のWing Back)にBackside EdgeをCut Offさせています。このようにCut Offの人数を増やすことでCut Offの成功率を高めています。
このPlayは「Split」のような一般的な名称が無く、無冠で表記しています。
個人的には、BlockingのVariationの一つなので差別化するために各々のチームで特有の名前を付けてあげるといいと思います。
このPlayのイメージは以下の通りです。

ちょっとFormationは異なりますが、Backsideのイメージはこんな感じです。
それでは次にBack On Backを見ていきましょう。
そもそもBack On Backって何やねん!って声が聞こえてきそうなのでそこからご説明します。
Back On Backとは、BackにBackをあてる事を指します。
「??????」という声が聞こえてきたのでもっと嚙み砕いて説明します。
「RBにLBをあてる」事をBack On Backと言います。
つまり、「RBにLBをBlockさせる」事を(Running)Back On (Line)Back(er)と言います。
一般的にこのBack On BackはBOBと呼ばれることが多いです。以下、BOBと記載します。
BOBでは基本的にPlaysideのBox内にいるOLBをBlockさせることが多いです。
では、そうするとどうしてCut Offの確率が高まるのでしょうか。
それは、Backsideに割ける人数が増えるからです。
つまり、Playsideに人数を増やしている分、BacksideをBlockするOLの人数を増やすことが出来るのです。

Outside Zone BOB

このようにPlaysideの人数が増えることによってBacksideをBlockするOLの人数が増えていることが分かります。
(この絵だとDefenseの人数が足りてないことが見て取れますね。)
このPlayの具体的なイメージは以下の通りです。

このようにRB(FB)にBOXの端にいるLBをBlockさせるのがBOBのイメージになります。
さて、最後にRPOを見てみましょう。
RPOに関しては、色んなPass Routesと組み合わせられることが多いですが、基本的な考え方は同じです。
それは、BacksideのOLBをOption化することによって、Blockerの人数とBlock対象のDefenderの人数を合わせることによって、Cut Offの成功率を上げています。
具体的なプレーは以下の通りです。

Outside Zone RPO(Slant)

このように、Backside OLBをRPOの対象としてOption化することによって、Cut OffするBlockerと対象のDefenderの数を合わせています。
そうすることによってCut Offの確率を高めているということが言えますね。
具体的なPlayのイメージは以下の通りです。

上記の通り、Backside OLBでOptionをかけているのが分かりますね。
以上がOutside Zone Variationsでした。

おわりに

Playの組み立て方について

さて、8000字以上にわたってInside ZoneとOutside Zoneの説明をしてきました。
正直、Variationsについて言及はしていますが、どちらもまだまだ派生系はたくさんあり、このnoteで言及しているのはほんのごく一部です。
このnoteで私が本当に伝えたかったのは、Variationsに目を向け過ぎないで欲しいということです。
Playがどのような原理原則で成り立っているのか、そこをぜひ押さえて欲しいなと思います。
そうすると、本質を見失うことなくVariationsを自分で生み出すことができますし、海外含む他のチームのPlaysを参考にしたとしても筋の通った組み立てをすることができるようになります。
ぜひ、ただ単にAssignmentsを覚えるのではなく、そのPlaysがどのような原理原則で成り立っているのか、そこを意識してFootballと向き合って欲しいです。
それだけでFootball観に深みが出てきて、更にFootballが面白くなります。
次回のnoteはGap SchemeのRun Playsの代表的なものを取り上げます。
Gap Schemeがどのようなものであったか事前に押さえてもらってnoteを読んでもらえると理解が深まると思います。
今回のnoteで疑問に思ったことがあればいつでも以下の連絡先にご連絡ください。
質問も受け付けているので、いつでも投げてきてくださいね。
それでは次のnoteでまたお会いしましょう!

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