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【ティール組織検証#1】「昭和の価値観が揺れ動いた」組織改革リアルストーリー 〈前編〉

こんにちは!編集部のしのぶんです。

昨今、「働き方改革」や「ティール組織」「ホラクラシー組織」などの働き方、組織のあり方について、世間で関心度が高まっているように感じます。

かくいうgCストーリーでも2016年頃から組織のあり方についての議論が役員の間でスタートし、2018年2月にヒエラルキー型組織からフラット型組織へと移行しました。それと同時に社内コミュニケーションのあり方も一新され、メンバー各自の自律性が徐々に育ち、今ではほとんどの仕事はプロジェクト化され、マネージャー不在のなか業務が回っています(売上も上がりました)。

そして、この取り組みが昨年末、Work Story Award 2018で「W学長賞」を受賞しました。

「働き方改革」や「ティール組織」「ホラクラシー組織」などが流行するなか、実行する会社はまだまだ少なく、実践事例が少ないのが現状です。また若手社長によるIT業界での起業と共に創業時から「新しい組織形態」を運用する会社がほとんど。

建築業界で、もともとどっぷりとヒエラルキーだった組織をフラット型に組織変革をした実践事例として、決して一筋縄ではいかなかったリアルなストーリーを、変化を体験した当事者たちにインタビューをしながら、Work Story Awardで受賞したストーリーをより詳しく、より立体的に、より生々しく、全7回の特集記事で明らかにしていきます。

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【目次】
〈前編〉←ココ
・売上が下がる中、何をしてもうまくいかなかった
・昭和型の価値観が崩れた瞬間
 
〈後編〉
・gCのこれまでの組織のあり方「アメーバ経営」
・その時社長の西坂が考えていたこととは?
・組織コンサルティング専門家より一言
 (Enflow株式会社代表、一般社団法人自然経営研究会代表理事 山田 裕嗣さん)

売上が下がる中、何をしてもうまくいかなかった

組織変革へと方向転換する最初のきっかけは、経営陣自身による、現行マネジメントへの疑問。2016年、3ヶ月に1度の経営合宿で口火を切ったのは、常務取締役の萩原でした。

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〈萩原 典子〉
常務取締役。2005年リクルート時代、代表西坂に声を掛けられ創業メンバーとして参画。創業初期は経営管理全般を支えつつ、主要な顧客を獲得し、プロジェクトマネジメント事業の基盤を構築。現在は事業推進部(管理部門)責任者として、社員が幸せに働くための環境作りに尽力している。

萩原:
もともとgCはクライアント1社に売上を依存する形になってしまっていたので、「このままではいけない」という危機感がありました。そんな中、2015年にそのクライアントの売上が一気に落ちはじめてしまった。経営的には「ここから経営基盤を改善していこう」と前向きにとらえてはいたものの、その時期、正直社内は大変だったんだよね。

なぜなら、実はその前の年に社内でちょっとした事件があって、離職率が30%を超えてしまっていたんです。その状態で売り上げが下がってしまい、経費削減や新規事業立ち上げもなかなかうまくいかず、結局その年は赤字になってしまった。

蓮池:
そのあたりは本当に大変な時代で、社員一丸となって頑張って乗り越えた、といろいろな方から伺いました。当時はどのような経営をされていたのですか?

萩原:
当時gCでは「アメーバ経営※1」という経営スタイルを取っていて、いわば「昭和型」のマネジメント。アメーバ経営のメリットはたくさんあるけど、組織形態は強いヒエラルキー、「ティール組織」の組織発達段階※2でいうとオレンジでした。

※1 アメーバ経営:
フィロソフィ(理念)の浸透と独自の会計管理手法で経営する方法。現京セラ名誉会長・稲盛和夫が考案。企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、アメーバごとに「時間当たり採算=(売り上げ-経費)÷労働時間」を算出し、時間当たり採算の最大化を図る。(参考: https://bit.ly/2FLdgG7)
※2 組織発達段階:
フレデリック・ラルー著「ティール組織」の中で紹介されている。発達段階ごとに色付けされており、レッド=衝動型組織、アンバー=順応型組織、オレンジ=達成型組織、グリーン=多元型組織、ティール=進化型組織とされている。(参考:https://bizhint.jp/keyword/113325

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(画像はhttps://globalleaderlab.com/teal_organizationよりお借りしました)

萩原:
経営会議には各アメーバのリーダーが参加するんだけど、経営陣がリーダーを詰めるハードなスタイルだった(笑)。「なんで数字を達成できないんだ」とか、「その失敗の原因は何なんだ」とかね。

〈昭和型の価値観が崩れた瞬間〉

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蓮池:
えっ、gCでもそんな時代があったんですか?

萩原:
そう。リーダーは経営会議に出るのが嫌だったみたい。

蓮池:
今では想像がつきませんね。誰かが「詰められる」光景なんて社内で見たことがないです。

萩原:
でも、その辛そうなリーダー達を見て経営陣が「あれ?このやり方だとしんどいの?もしかして、時代が変わってきたのかな?」となんとなく気づき始めたのよね。

経営陣は30~40代で、上下関係があって、叱られながら頑張るという価値観。でも、gCで大半を占める新卒入社の20代の若い世代は、どうやらそうではないらしい。ちょうどそんなころ、自分達の価値観だけで経営していくのは難しいんじゃないかと改めて認識する出来事が役員合宿で起こりました。

蓮池:
どんなことがあったのですか?

萩原:
人事担当者との繋がりから、新卒採用の施策について学生で起業している子が提案資料を提出してくれたんです。それがもう、役員一同、全然良さが分からなかった(笑) この内容で本当にうまくいくの?受け入れられるの?って(笑)でも彼は結果をどんどん出していってくれた。自分達の価値観ではどうにもならない、正しいと思ってきた自分の価値観が大きく揺らいだ瞬間だったなと思います。

そこから、「社員全員の幸せを願うのであれば、今までとは違うやり方、あり方を模索していく必要がある。」そう強く思うようになって、2016年末の経営合宿でそのように経営陣に問いかけました。

▼後編へつづく▼

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取材・文・構成・編集/蓮池 しのぶ 撮影/熊谷 怜史、大野 拓、遊佐 裕

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