【ティール組織検証#3】「組織に新しい風。高野山インターン誕生秘話」組織改革リアルストーリー

2018年2月にヒエラルキー型からフラット型組織へと移行するプロセスで生まれた生々しいリアルストーリーを、当事者たちへインタビューしながら全10回で発信しています。(Work Story Award 2018「W学長賞」受賞ストーリー)

こんにちは!編集部のしのぶんです。
前回に引き続き、ヒエラルキー型→フラット型組織に変革したリアルストーリーの第三回をお送りします。

リアルストーリー#1の前編記事で、常務の萩原が「昭和型の価値観が崩れた瞬間」として挙げた、学生起業家による「高野山インターン」の提案。今回はその部分について深掘ってみようと思います。

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〈高野山でインターン?とある学生起業家との出会い〉

学生起業家との出会いやインターンの企画について、gC人事の大嶋と松本に聞いてみました。

〈左:松本 貢治〉
gCストーリー(旧サイベイト)新卒1期生として2008年入社。施工管理部門、営業、デザイン、人事等社内で最も多くの部署を経験している。現在は採用業務を中心に、他社との越境交流プロジェクト「ソトシルPRJ」の中心としても活動中。

〈右:大嶋 かなえ〉
gCストーリー(旧サイベイト)新卒1期生として2008年入社。施工管理部門のマネージャーを経て、人事部門へ。採用、研修、育成等の人事全般を担当。現在はストレングスファインダー認定コーチとしても活躍している。

ーその「学生起業家」とはいったい誰で、どこで知り合ったのでしょうか?

大嶋:
名前は、「清光 陽介(きよみつ ようすけ)」くんと言います。彼自身が学生だった頃から、同じ学生向けにイベント開催やインターンプログラムの提供をしていて、現在はそのまま法人化して起業しています。出会った当時はまだ学生で、「イケてる系の学生さんだな」というのが第一印象です。活動にかける想いが素敵で、応援したくなるような雰囲気でした。

松本:
僕が清光くんと出会ったのは2018卒の採用イベントでした。当時彼は関西で大きなイベント開催を企画したりしていて、話してみると活動にかける想いや理念がgCと重なる部分が大きく、そのまま交流を続けていました。

ある時、清光くんが「gCさん、打ち出し方もったいないですよね。僕がインターン企画しますよ」と話を持ちかけてきてくれたんです。世の中は「インターンの時代だ!」っていう空気だったけど、gCは業務上学生さんに任せられる部分が少なく、諦めていたところがありました。なので、面白いなと思って企画をお願いしてみたんです。

ーそこで提案されたのが、「高野山インターン」だったんですね。

大嶋:
そう。「高野山の宿坊で、2泊3日で“幸せ”や“愛”について一緒に考えようよ」という内容の企画でした。私たちからしたら、まさに固定概念の外。「インターン=一部の業務を体験してもらうこと」だったので、とにかく驚きました。もともとgCは創業時から「幸せ」「愛」などの抽象度の高い文化を大事にしてきたものの、創業当時はまだそういった取り組みはメジャーではなく、宗教くさいと誤解されることも多かったんです。なので「幸せ」という概念で差別化するこの企画は、本当にびっくりしました(笑)

ー企画の手応えってどんな感じでしたか?

松本:
それが大反響だったんです。「いったん試しにイベントブースでプレゼンしてみよう」となって、「まぁ今回のブースの席数も30だし、その中から多くて5〜10人くらい応募してくれたら開催しようか」という感じで臨んだら、その場ですぐに20人の応募があり、満員御礼で募集を締め切ることになったんです。

〈ボード唖然...良さが全然わからないので任せることに〉

「高野山インターン」の提案があった頃、ボードメンバーはどんなことを感じていたのか、聞いてみました。

〈左:羽根 剛〉
大規模ECサイトのプロジェクトマネージャー、フリーランスでのアーキテクトエンジニアを経て、2013年gCストーリー入社。CTOとして、看板マッチングサービス「ミルイタ」の監修、事業に関連する業務システムや会計、勤怠といった社内システムまでを統括している。

〈右:柴田 昌志〉
金融関連の事業会社を経営後、2006年創業期のgCストーリー(旧サイベイト)に参画。初期の大規模プロジェクトのプロジェクトマネージャーとして活躍。現在は、施工事業部門の統括として、様々なお客様との関係構築を行なっている。

ー実際、提案をもらった時にどう思いましたか?

柴田:
あんまり覚えてないんだけど、「全然分からない」「清光くんの言うことを聞いてればOK」の2つを感じていたことは覚えてるよ(笑)「今時の感覚ってこういう感じなのかな」って思って、我々が考えるよりもいいものを生み出してくれる気がして、特に若い層と関わる人事周りは任せようと思いましたね。「俺らの感覚って古いんじゃないか」と思いました。

羽根:
正直、俺らの感覚じゃ分からないと思いました(笑)パワーポイントの資料を使って清光くんがプレゼンしてくれましたが、雰囲気は伝わってきたんですよね、ドーンって。でもよく分からない。「使ってる言語が違う」と思いました。今までの自分が知っている言語は、使い古されたフレームワークを使って説得をするようなプレゼンで、でも清光くんはふわっと雰囲気を共有して、「いいね」という空気感になって物事を進めていく。「自分の伝えたいことをそのまま伝えるスタイルで、意外とうまくいくんだな」とそれを見ていて思いました。

ーこういった変化の前後で、どんなことを感じていましたか?

羽根:
これまでは、やっぱり明確な「正解」がありましたね。フラット型になる以前のマネジメントでも経営数字などはメンバーに公開されていて、昔から自律は求められていたんですよ。でも、ボードが答えを持っている前提があり、「自律像」が固定化されていたなぁと思います。昔は一度宣言すると、「お前、死んでもそれ達成するんだよな?」みたいなプレッシャーがありましたが、随分穏やかになりました(笑)自分たちが理解できないものも認めるという柔軟さ、正解はたくさんあっていいというおおらかさが生まれていったのだと思います。

柴田:
「ボードメンバーが全ての事象に置いて合理的に判断できるわけではない」という意識はだんだん共有されましたね。雰囲気がだいぶおおらかになりました。

5〜10年後のことを考えたら、フラット型への移行は「やった方がいい」と思いました。でも、目先のことを考えると「絶対混乱するだろうな」と。でもそれを「全部受け入れよう」と覚悟した瞬間がありました。だから「混乱してます」とメンバーから相談されても「当たり前じゃん」て(笑)その混乱を「楽しもう」と腹を決めていましたね。

ーボードの皆さんには、メンバーには見えない景色がたくさん見えているんですね...。

柴田:
そうでもないんじゃないかな〜(笑)同じじゃない?俺らに見える景色もあるけど、俺らに見えない景色をメンバーは見ていて、お互い様だなぁって思います。

〈いよいよ「高野山インターン」開催!何が学生の心を捉えたのか?〉

ー当日はどんなコンテンツを用意したのですか?

大嶋:
コンテンツの設計は清光くんが担当してくれました。採用系のイベントやインターンって、もともとの目的は「自社のことを知ってほしい」になるんですが、清光くんの設計はあくまで「参加者ファースト」で、参加者の気持ちが最優先されていた点が本当に素晴らしかったですね。

「参加者ファースト」を軸に据えつつ、コンテンツの内容に「会社についてを知ること」ができる内容が絶妙に組み込まれていて、さすがだと思いました。ぐいぐいとストレートに伝えるよりも、gCの空気感が自然と伝わるような細かい設計が随所に散りばめられていました。

当日のコンテンツ内容:
【1日目】
・代表西坂との対話(愛、幸せ、仏教、哲学など)

【2日目】
・自分のルーツを知るセッション
・コミュニケーション診断を通してチームワークを醸成するセッション
・ストレングスファインダー認定コーチによるコーチングセッション
・時代変化と組織形態の変化について
・「自分がgCの人事担当者だったら?」という視点で施策を企画するワーク

【3日目】
・前日のワークの続き
・ワークのアウトプット発表

2018年開催時のレポート記事:
http://www.gc-story.com/info/2018/10/-3-in.html
http://www.gc-story.com/info/2018/10/post-46.html

松本:
当日のコンテンツに対してはあまり不安はなかったのですが、初めてのことだったので準備が少し大変でしたね。「そもそも高野山の宿坊って企業のインターンを受け入れてくれるのか!?」みたいな疑問とか。

大嶋:
そうそう。事前調査もたくさんしたので、やたらとお寺の宗派に詳しくなりました(笑)

ー何が学生たちの心に響いたのだと思いますか?

松本:
「ただただ幸せについて考える」という空間が良かったのだと思います。夏〜秋にかけてインターンを設定する企業が多いと思いますが、その多くは2泊3日などの日程でびっちりワークの時間が取られていて、寝ずに考えた新規事業の資料を2日目の夜にひっくり返されるとか、とにかく大変なんですよね。そういった環境の中で「インターン疲れ」している学生に、「ただただ幸せについて考える」という環境で、温かい世界観や空気感が染み入るような機会になったんじゃないかな。

大嶋:
毎回ありがたいことに大反響で、初回開催時は参加者の半数以上が自主的にFacebookで感想をシェアしてくれたりと、満足度が高かったようで本当に嬉しかったです。

〈社長がその時考えていたこと〉

〈西坂 勇人〉
1971年大分県生まれ、宮城教育大学卒業。2005年サイベイト株式会社(現gCストーリー株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。全国4,300社の施工会社ネットワークとITを活用しチェーン本部、メーカー向けの看板・販促施工事業を開始。その後、介護事業、エネルギー事業、ヘルスサポート事業も展開。“成長と貢献”という考え方を軸に、幸せな組織づくりを探求。
「働きがいのある会社ランキング(Great Place to Work®)」の小規模部門(~99人)において、4年連続入賞。2018年度は、総合3位、女性部門1位を獲得。

まずは役員会で人事の松本が説明会での学生さん向けのプレゼンを、清光くんにアドバイスを受けて作り変えたパワーポイントを見せてもらったと思うのですが、「本質」って言葉がやたら多用されていて、何を言ってるか分からない。役員全員同じ印象だった気がします。

でもそれで、学生さんの説明会の反応が数倍に上がった話を聞きました。
「あーなるほど。こういうところに反応するんだな!」みたいな、納得も全くなくとにかく結果で示されました。清光くんが「せっかくgC面白いのに伝え方あんまり上手じゃないですよね」と言っていると聞いていたので、「これからは全部清光くんに聞こう」ってなって、しばらく役員会で議論が煮詰まると「清光くんに聞こう!」という冗談が流行っていたくらいです(笑)

高野山インターンについても、伊勢でなく延暦寺でなく関東でなく高野山。社内から出てきた案なら普通に合理性や理由を聞いて、却下になっていたと思いますが、「まぁ清光くんが言うんだから、よくわかんないけどそうなんでしょ」みたいな決まり方だったように思います(笑)

確かにボード層が、新しい時代の変化に自分達がついていけていないから、フラットにいろいろな視点をみていかなくてはいけないという目線合わせに重要なきっかけになったと思います。

取材・文・構成・編集・デザイン/蓮池 しのぶ 撮影/長田 和真 写真レタッチ/熊谷怜史

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きれいごとをしようじゃないか
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#組織改革リアルストーリー

2018年2月にマネージャー職を撤廃してフラット型組織に移行したgC。今も「gCにとってシアワセな組織の形ってなんだろう?」という問いを持ちながら試行錯誤しています。そんなリアルストーリーをお届けします。
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