【ティール組織検証】「昭和の価値観が揺れ動いた」組織改革リアルストーリー #1〈後編〉

ヒエラルキー型組織→フラット型組織に移行したリアルなストーリーを、当事者たちにインタビューしながら全10回の特集記事で発信しています。この記事は1回目の後編です。

【目次】
〈前編〉
・売上が下がる中、何をしてもうまくいかなかった
・昭和型の価値観が崩れた瞬間
 
〈後編〉←ココ
・gCのこれまでの組織のあり方「アメーバ経営」
・その時社長の西坂が考えていたこととは?
・組織コンサルティング専門家より一言
 (Enflow株式会社代表、一般社団法人自然経営研究会代表理事 山田 裕嗣さん)

▼前編はこちら▼

〈gCのこれまでの組織のあり方「アメーバ経営」〉

gCは「アメーバ経営」を導入し、もともと強いヒエラルキーの組織形態でした。実際にどのような仕組み、雰囲気だったのか、当時経営管理部にいた近藤香菜子さんに聞きました。

〈近藤香菜子〉
2012年新卒入社。経営管理部に配属され、アメーバ経営の浸透に従事。マネージャーとして経営会議の運営等も担当し、2018年には女性が自分らしく働けるよう応援するプロジェクト「racisa」の立ち上げに携わる。9月より産休・育児休業中。

近藤:
アメーバ経営(※)では、社員一人一人が経営者の視点を持てるような仕組みなんです。
3〜5人のアメーバグループに分かれて、それぞれに「アメーバリーダー」がいて、そのリーダーがいわば経営者。社内にいくつもの会社とその経営者がいるイメージですね。

※アメーバ経営:
フィロソフィ(理念)の浸透と独自の会計管理手法で経営する方法。現京セラ名誉会長・稲盛和夫が考案。企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、アメーバごとに「時間当たり採算=(売り上げ-経費)÷労働時間」を算出し、時間当たり採算の最大化を図る。(参考: https://bit.ly/2FLdgG7)

その大きなメリットは、売上や経営が人ゴト→自分ゴトになる、当事者意識が持てるようになるところ。

当時経営管理部だった私は、どうしたらみんなが数字を面白いと感じられるか、ゲーム感覚で楽しめるかを考え、実行していました。例えば、数字に興味を感じにくい1年目の社員の子達とアイディアを出し合ったり。

蓮池:
そうやって会社の売上や数字を「自分ゴト」にできる文化は、フラット型になった現在の体制を下支えしてますね。当時の雰囲気はどんな感じでしたか?

近藤:
そうですね。同じアメーバ経営下でも、2012年〜2016年にかけて雰囲気は大きく変わりました。2012年までは「社長が言ったことが絶対」みたいな雰囲気で、2014年くらいまでは経営会議は本当にピリピリしていて、リーダーはみんな詰められて、つぶれていく。「失敗をいかに隠すか」みたいなことに意識が集中してしまったりもしていました。

でも、2015年くらいに社長が「もうそういう時代じゃないから、詰めるのやめます」と宣言したんです。そして、まだまだ昭和型マネジメントが根強かった2016年に入社した新卒社員全員が、「これをすべき」みたいに上司先輩から強制されることに対して「嫌だ!」と真っ向から対立したんです(笑)昭和型で育てられた社員たちも、「今までのやり方ではいけない、何かを変える必要がある」と感じ始めた出来事でした。

私も2015年くらいから、経営管理部として「失敗を責めず一緒に対策を考える文化、成功を祝う文化」を根付かせようと行動しました。「売上上がりました!」という発表で「ヨッ!やったね!」と野次を飛ばしたり(笑)

蓮池:
わー!gCの「祝う文化」「野次を飛ばす文化(笑)」はそこから来ていたんですね!

近藤:
そうそう(笑)でも、アメーバ経営の限界も感じてました。大きなデメリットは、「全体意識が持てなくなる」ということ。もちろんそんなことを言う人はいなかったけれど、心のどこかで「自分のグループの売上が良ければいい」みたいな意識もあって、喧嘩になってしまったこともありましたね。「うちのグループが最高!」みたいな仲間意識によって視野が狭くなってしまったり。

蓮池:
デメリットもあったんですね。今振り返ってみて思うことはありますか?

近藤:
フラット型になって全体意識が育っているかはまだ分からないけれど、今思うのは「もう区切んなくていいじゃん?」って(笑)
アメーバって、自律のツールでもあるんです。数字を見るスキル、経営者の視点をもって自分のグループメンバーを幸せにすることって、今後何かに挑戦したいと思ったときにも生かせる力だと思うんです。社長は、そういう長期的な視点でみんなの幸せを願ってアメーバを導入してくれたと思っています。

でも、それが時代に合わなくなったり今の社員の幸せに結びつかなくなれば、どんどん変えていける。

社長、そして経営陣が、その時々の時流と社員の様子を見て、自らがあり方を変化させる。この会社のそういう部分を、一番尊敬しています。

〈その時社長の西坂が考えていたこととは?〉

〈西坂 勇人〉
1971年大分県生まれ、宮城教育大学卒業。2005年サイベイト株式会社(現gCストーリー株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。全国4,300社の施工会社ネットワークとITを活用しチェーン本部、メーカー向けの看板・販促施工事業を開始。その後、介護事業、エネルギー事業、ヘルスサポート事業も展開。“成長と貢献”という考え方を軸に、幸せな組織づくりを探求。
「働きがいのある会社ランキング(Great Place to Work®)」の小規模部門(~99人)において、4年連続入賞。2018年度は、総合3位、女性部門1位を獲得。

西坂:
稲盛さん(京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者、アメーバ経営考案者)をとても尊敬していたので、タバコを吸いながら灰皿を投げる経営会議スタイルに憧れてました(笑)

グラデーションのように価値観が徐々に変化していく感じ。

僕らは盛和塾で無茶苦茶怒られたりしていて、だけど怒って貰える有り難さにハートの芯を貫かれるような感じがあったんですよね。で、頑張れた。
社員の中にもそれで頑張れるメンバーもまだ多かった。
だから会社でもそういう空気だったのだけど、なんか変わってきたぞ。みたいな感じ。

怒られたくないらしい??
え?って役員で相談した記憶があります。だって僕達怒られて成長してきたし。

相手の成長を祈っていることに変わりはないんだけど、手法は変わる訳です。詰めても萎縮するだけで、意味がないって、全体としての方針転換点をそのタイミングで感じたんでしょうね。

ちなみに、思いきった変革をしてもうちの社員は絶対に変な方向には向かないという信頼が圧倒的なので、変革とかあまり気にせずやれてます。

〈組織コンサルティング専門家より一言〉

〈山田 裕嗣〉
Enflow株式会社代表 / 一般社団法人自然経営研究会代表理事
上智大学文学部心理学科卒業後、人材育成・組織開発を支援する株式会社セルムに入社。各種の研修企画、人材育成体系の構築などを手掛け、グリー株式会社のヒューマンリソース本部に転職。エンジニアを中心とした中途社員の採用を主に担当。その後、株式会社サイカにて代表取締役COOとして事業の立ち上げ、成長フェーズに合わせた組織設計、新規部門の立ち上げ等を幅広く担当した後、2017年12月EnFlow株式会社設立、代表取締役に就任。2018年に一般社団法人自然経営研究会を立ち上げ、新しい組織のあり方について探求している。

ティール組織の中で言われている組織の発達段階は「世界の捉え方」が変わること、もう少し詳しく言えば、「より複雑に世界を捉えるようになる」方向への変化だと言われています。
経営陣が「昭和時代の価値観だった」と語られているのは、まさに「世界の捉え方が変化したこと」を、自分たちらしい言葉で表現されているように感じます。

また、「世界の捉え方」は、急激に変化するのではなく、いくつかの転機(もしくは”事件”)を経ながら、「気付いてみれば昔とは違う」と後から自覚できる、そういった緩やかな変化という形を取ることの方が多いです。

gCストーリーという組織全体としても、社長の「詰めるの止めます」という宣言、新卒全員の真っ向からの対立、など、いくつかの象徴的な転機を経て、徐々に変わっていったその生々しさを感じました。

〈編集後記〉

経営層、社員、専門家...。さまざまな方々の視点から当時のお話を聞くことで、ストーリーがより立体的になっていくのが面白かったです。組織変革の事例として、少しでもお役に立てば嬉しいです^^
次回の記事もお楽しみに♪

取材・文・構成・編集/蓮池 しのぶ 撮影/熊谷 怜史、大野 拓、遊佐 裕

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#組織改革リアルストーリー

2018年2月にマネージャー職を撤廃してフラット型組織に移行したgC。今も「gCにとってシアワセな組織の形ってなんだろう?」という問いを持ちながら試行錯誤しています。そんなリアルストーリーをお届けします。
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