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アニメ『葬送のフリーレン』は夢にまで見たエンディングの続きを体験させてくれる

※最終回から時間は経過していますが、多少なりとも『葬送のフリーレン』のネタバレを含むと思いますので、まっさらな状態で見たい方は回れ右してください。


マンガ、アニメ、ゲーム。
それらには冒険の終わり、エンディングが存在する。

エンディングを迎えるたびに人々はどのような感情になるのだろうか。
感動とか達成感とかなのだろうか。
自分の場合、エンディングを迎えるたびに「ああ、これでもう主人公たちの冒険や物語の続きが見られないんだ」という悲愴感、喪失感に苛まれる。
エンディングを迎えた瞬間、その世界と自分を繋いでいた時間は永遠に止まってしまう。
もう二度とその世界を見ることが出来ない、その世界との一生のお別れである。
この感覚がとてもつらく、苦手だったりする。
子供の頃はそんな感覚に耐えきれず、二次創作で“2”とか続編を構想してノートに書きなぐることで、その胸を締め付けるような感覚を薄めようとしていた。
大人になったからと言って克服できるものでもなく、未だに本当に好きな作品や面白そうな作品はその感覚が怖くて最後まで見られなかったりすることもある。

ゲーム好きならば知っているであろう『クロノ・トリガー』には『つよくてニューゲーム』が存在する。
ストーリーとしては同じ時間軸の繰り返しになるので、ある意味では同じ時間軸に閉じ込められた世界を何度も繰り返すことになるのだが、経験値や持ち物や維持されているだけでも、止まっていた時間が再び動き出したような気がして、上記のような喪失感が多少薄まっていたのを思い出す。

話は本題に戻して『葬送のフリーレン』である。
まず『葬送のフリーレン』の1話目のタイトルは『冒険の終わり』である。
大半の冒険でありがちな最終目的である“魔王討伐”を勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンの勇者パーティー4人が達成したところから始まる。
一般的な冒険譚で言えば1話目で既に最終回、エンディングなのである。
そこから時間をロールバックして冒険の軌跡を辿るというようなありがちな展開もなく、そのまま物語は勇者凱旋の祭りに移る。
冒険が終わり、思い出を語り合い、まさにエンディングにあるようなシーンである。
ちょうど流れた50年に一度の流星群を前に、50年後に再びみんなで流星群を見ようと約束し、解散して4人はそれぞれの道へと進んでいく。
一般的な冒険譚であればエンディングテーマが流れてスタッフロールが流れそうだが、『葬送のフリーレン』はまだまだ続く。

それから本当に50年が経過する。
ちなみに主人公のフリーレンは1000年は軽く生きる長命種のエルフであり、その50年という歳月をなんとアニメ尺の数分で表現してしまう、これもフリーレンにとっての時間的な感覚の演出なのかもしれない。
このくらいの感覚であれば「50年後にみんなで見よう」と気軽に言えるのも分かる。
そうして50年振りに勇者ヒンメルと再会する。
1話目で一般的なエンディングから50年の時が流れているというのも驚きであり、イケメンだったヒンメルは年老いになってしまっていた。
再び4人と再会し、無事に50年ぶりの流星を見届ける。
ここでもエンディングテーマが流れて終わってしまいそうだが、『葬送のフリーレン』は終わらない。

さらに時は進み、勇者ヒンメルは天寿を全うする。
そう、ついに一般的な冒険譚で主人公であろう勇者が天寿を全うしてしまうところまで時は進んでいく。
勇者ヒンメルとの別れを前に、フリーレンは人間の寿命が短いと知っていたにも関わらず、10年間の魔王討伐の旅で勇者ヒンメルについて何も知らず、何も知ろうとしなかったことについて後悔する。
そこでフリーレンは魔法収集の旅と人間を知る旅に出ることを決める。
勇者の人生を全て語ったのであれば今度こそエンディングだろう……というところからが『葬送のフリーレン』の冒険が始まるのである。

そこからまた時間が大幅に経過するのだが、そこからは既に『葬送のフリーレン』の冒険になるので割愛させていただく。
長々としたダイジェスト紹介になってしまったが、何が言いたいかと言えば、冒険のエンディングを迎えたあと……、

「戦友たちと会ってたら良いよね!」とか。
「勇者を受け継ぐ弟子とかいたりするのかな!」とか。
「勇者一行が旅して救った街とかどうなったか見たい!」とか。
「魔王軍の残党とかと戦ったりするのかな!」とか。

自分が子供の頃に悲愴感、喪失感に苛まれ、冒険の続きをノートにかきなぐったりして、夢にまで見たエンディングの続きを見ているような体験させてくれるのが『葬送のフリーレン』なのかなと感じている。
冒険を共にした戦友に会いに行き、弟子を取り、勇者一行が歩いてきた軌跡を辿り、残党と戦い、冒険の思い出を振り返る。
それらはまさに見ることが出来なかった永遠に止まってしまっていた冒険の続き、エンディングの続きなのである。



久しぶりに面白いと感じたアニメ『葬送のフリーレン』だが、先日ついに最終回を迎えてしまった。
ここでもまた時は止まってしまうのだが、今回はエンディングを迎えても喪失感というものがなかったように感じるのは、元々エンディングからの続きという感覚があったからなのか、それとも原作はまだまだ連載中であり、アニメのシーズン2が見られるかもしれないという余裕があるからなのか。
さて次に止まってしまった時間が動き出すのはいつになるのか、それが今は楽しみなのである。
今日はこの辺で。


ギアでした。゜ω゜)ノ


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