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石膏像図鑑@note ~はじめに~

こちらのnote上に、オンライン「石膏像図鑑」を構築してみようと思います。まず本について紹介させてください。

「石膏像図鑑」は、石膏像ドットコム(堀石膏制作)の代表である私、脇本壮二が2015年9月に自費出版した書籍です。自社運営の石膏像販売サイト「石膏像ドットコム」内、Amazonのマーケットプレイスで一部5,400円(税込・送料込み)で販売し、2018年末までに230冊以上の販売実績があります。電子書籍版は無く、これまでは紙ベースのみでの販売でした。

B5サイズ 383ページ オールカラー

基本的には、「石膏像ドットコム」を運営する堀石膏制作の製品カタログです。450種の製品ラインナップを網羅し、そのうち約200種の石膏像について、原作彫刻の収蔵美術館、作者、由来等の詳細な情報が記載されています。石膏像工房のカタログという側面もありますが、それぞれの石膏像についての詳しい解説は、日本国内で販売されるほぼ全ての石膏像についての「図鑑」として十分に機能するものと自負しています。


石膏像が日本に伝来してから約140年もの間、このような専門の解説書がつくられることはありませんでした。石膏像を使った美術教育の方法論、石膏デッサン技法に関する文章はたくさん存在していますが、石膏像それ自体についての解説書はほとんど存在しませんでした。唯一の例外として、2000年に出版された「恋する石膏像」(早坂優子著 視覚デザイン研究所)という良書がありましたが、こちらは美大入試問題の石膏像に絞った内容で、非常に限定された内容でした。


単なる石膏像職人の私が、ある日「石膏像図鑑」を作ろう!と思い立ったのには切実な動機があります。

それは「自分が欲しかったから」(笑)

この書籍に書いてある情報を最も必要としてたのは自分なんです。日々の石膏像の製作・販売の中で、お客様から寄せられる質問メールに返信するたびに、あ~~図鑑みたいなものがあったら便利なのに・・って。だから作りました。その辺の経緯は、昨年秋に公開したネットショップ立ち上げの物語を綴ったこの記事にも書いてあります。

こう言ってしまうと、すでに高額で書籍を購入してくださった皆様には申し訳ないのですが、石膏像図鑑に書かれている内容はあくまでシロウトの学者さんごっこです。私は、西洋美術史・西洋彫刻史の高等教育を受けていませんし、書籍内のオリジナル彫像に関する情報の多くは海外版のWikipediaに依存しています。学術の世界、出版に携わる方々なら、こんな乱暴な作業はしません。ちゃんと一次資料の出版物を精査し、世界中の美術館を巡って情報収集した上で本を作ると思います。でもそれはあまりに膨大な作業で、出版物としての期待値(石膏像に関する本を望んでいる人なんて、本当に僅かしかいないはず・・)を考えれば、到底実現不可能だと思うんです。

だからこそ私が作りました。単なる職人が作るからこそ許されるアバウトさが石膏像図鑑を成立させています。とりあえず一冊の書籍にまとめることが大切だと思って、デザインとかレイアウトとか全部妥協しまくって、情報を世に出すことを最優先にしました(原稿は全てWordで作ってます)。


でもこの本は凄いんです。日本で初めての知見に満ち溢れています。長年石膏像と向き合ってきた美術大学・美術予備校の先生方、美術の専門教育を受けてきた皆さんにとっても、知らなかった!の連続だと思います。

石膏像というのは本当に不思議なモノで、中学・高校の美術室に置いてある「白い人形」は皆さん目にしているはずなのに、その用途・存在意義について知っているのは美術部などのごく少数の人だけです。さらに美術に関心がある人でも、デッサンしている石膏像のオリジナル彫像の来歴、モデルとなっている神々・人物についての知識は十分ではないように思います。何だかよく分からない白い物体を一生懸命に描いて、自分の人生の一大事である大学入試に立ち向かって行く・・・。そんな状況を少しでも改善するお手伝いができたなら、この書籍を作った意味はあると思うんです。

画家とかデザイナーなど美術の専門教育を受けた皆さんはもちろん、石膏像にあまり関わって来なかった人にとっても面白いエピソード満載です。

例えば、


~ルネサンス期にフィレンツェで作られた彫像が、後にドイツの美術館に展示されていて第二次世界大戦の爆撃で破壊されてしまった。でも複製の石膏像が英国に残されていて、今ではその彫像の姿は石膏像でしか知ることができない~


こんなストーリーってワクワクしませんか?石膏像には面白い話がいっぱいあるんです。

ではでは、これから少しづつ石膏像図鑑の内容をアップして行きます。壮大な記事にすると読むのが辛くなると思うので、1つの記事に1品目づつ。できるだけシンプルな記事にします。書籍の石膏像図鑑に掲載されているものでも、情報収集が十分でなく来歴が不明瞭な品目については、ここでは省略します。

ランダムにアップした方が良いのか、古い年代から順々に辿った方がよいのか?迷うところですが、とりあえず美大受験でメジャーな石膏像達を少しご紹介して、徐々にマニアックな方へ進みましょうか。

時代的には、古代から近代に向かって西洋彫刻史を旅するような流れにしようと思ってます。

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そして、そして、こういう本を待ってたんだぁ~~~!なんて思っちゃったアナタ!書籍版いかがですか?。書店では一切販売されていません。高額で申し訳ないのですが、オンライン印刷で少部数で作成しているためほぼ実費+送料です。よろしくお願い致します。




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