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M-432 ヘベ半面

石膏像サイズ: H.30×W.19×D.14cm
制作年代  : 1800-1805年
収蔵美術館 : ロシア・エルミタージュ美術館
作者    : アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova 1757-1822)

古代ギリシャ神話の登場人物で、「若さ」、「青春」を司る女神ヘベ(へーべー)の彫像です。オリジナル彫像の作者は、19世紀新古典主義を代表する彫刻家アントニオ・カノーヴァで、ロシア・サンクトペテルスブルグのエルミタージュ美術館に収蔵されているものが、石膏像の原形になったものと推定されます。

青春が神格化された女神であるヘべは、ゼウスとヘラの娘で、オリンポス山の神々の宴会における給仕係です。神々の若さをたもつための不死の霊薬であるネクタール(神酒)や、ムブロシアー(不死の効力がある神々の食べ物)を給仕して回り、宴会では舞踊を披露していました。トロイアの王子ガニュメデスが、ゼウスによって神々の給仕係に任命されたため、ヘべはその任を解かれましたが、やがて天上の神々の仲間入りをしたヘラクレスの妻となりました。美術作品でのヘべは、袖のないドレスを着た美しい乙女として表現されることが多く、酒杯と水差しを持ち、背中に翼を生やした姿で描かれることもあります。

※日本の画材業界では長らく「ギリシャ・ヴィーナス」の名称で流通していましたが、「ヘべ像」が正しい名称です。

ロシア・エルミタージュ美術館収蔵 カノーヴァ作 「ヘベ像」 1800-1805年 (写真はWikimedia commonsより)


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