見出し画像

パリ・オペラ座の日々1993~1994:7月18日 グラン・パレ「デザイン展」、チュイルリーの移動遊園地


7月18日

昨日録音で夜更かししてしまって(G)は寝坊。午後はグラン・パレのデザイン展に行った。スウォッチの展示などあれこれ面白い。グラン・パレの鉄とガラスの巨大な空間にとても感動した。

その後徒歩でチュイルリー公園に行くと、移動遊園地がやって来ていて喜んで遊ぶ。コインゲームで25Fもはたいてバンビのぬいぐるみをゲット。大きな観覧車に乗る。仮設なのに大きくてものすごい速さで回転して、さらにカゴが簡易で超怖かった。冷や汗ダラダラ。でも夕暮れ時の夏の風邪が気持ち良い。

グラン・パレ「デザイン展」 100F
マック 50F
観覧車 30F
コインゲーム 25F
ジュース 10F


画像1


画像2

シャンゼリゼから少しセーヌ方向にある巨大な展示場グラン・パレで開催された「デザイン展 世紀の鏡(DESIGN miroir du siecle)」という展示に行きました。

展示の趣旨はあまり理解していなかったんですけど、おそらく20世紀の工業デザインを俯瞰するような、そんな展示だったんだと思います。入口壁面には、当時発売されてすぐのコンパクトカー「ルノー・トゥインゴ」が貼り付け(!)られていて、飛行機のタラップのような筒を通って入場する仕掛けでした。


画像3

内部には本当に様々な要素があったんですけど、あまりにもたくさんの物品が展示されていて、どういった面にフォーカスしたいのかよく分からない感じでした。この写真は当時大流行していたスウォッチのブースの前で。他には、この渡仏前に勤務していたオリベッティ社の製品などもあって懐かしんだり。

でも僕たちにとってこの日の目玉は、何よりもこの会場の建築物自体でした。

グラン・パレは、1900年のパリ万博のために建設されたもので、エッフェル塔と並んで鉄とガラスの時代を象徴する建築物です。


画像4

(中央がグランパレ、右奥がプチ・パレ、さらに奥にマドレーヌ寺院)

画像5


画像6

当時の技術の粋を結集して作られた巨大なドームは、現在の目で見てもとても素晴らしい空間です。デザイン展の展示物も面白いのですが、何よりもこのグラン・パレの鉄骨の意匠自体がすごく凝っていて美しくて関心しました。力強く内部を支えるための鉄骨ですが、ふと手元近くに目をやると細かい部分にまで装飾が施されていて、当時建設に携わった人々の熱意が伝わってきます。

画像7

ところがですね。。この後たいへんなことが起きました💦 
じつはこの展示期間中にすでに異変が起きていたようなのですが、後日この天井から鉄骨の一部が崩落する事故があり、11月にはグラン・パレの全面的な閉鎖・改修が決まりました。幸い人的な被害は起きなかったのですが、自分たちの頭の上に落ちてきたらと思うとゾッとしました。

(その当時に関してのWikipediaの記述)
The alert was given in June 1993 after the detachment of a riveting element from a height of almost thirty-five meters during an exhibition devoted to design.The Minister of Culture at the time, Jacques Toubon , made the decision to "temporarily" close the site in November of the same year due to the danger posed by the fall of new rivets on the public.

当時の文化大臣は”一時的閉鎖”としたようですが、結局この改修工事は大規模なものとなり、グラン・パレでの展示が再開されたのは12年後の2005年でした(それにしても長くかかりすぎ…笑)。ギリギリのタイミングで内部に入れたことはラッキーだったと考えることもできますが、まあ怖いですね。

画像8

(2002年頃の修復作業の様子。内部にネットがはられています)


グラン・パレを満喫したので、そのままチュイルリー公園の方へ歩いていくと、夏の移動遊園地がやって来ていました。せっかくなのでコインゲームで遊んだりしました。簡単な絶叫マシン的遊具もいくつか設置されていたのですが、観覧車が気持ちよさそうだということで乗ってみることに。

移動遊園地は、季節の良い時期を狙ってヨーロッパ各地を転々として営業するため、全部の施設がトラックで移動できるように作られています。この観覧車も夏の季節だけここで組み立てて、営業が終われば解体する仕様です。

簡易的な設備であることはなんとなく理解していたものの、いざ乗ってから恐怖に怯えることになりました。これスピードが異常に速いんです!仮設で貧弱そうな設備のわりに、東京で乗る観覧車の倍くらいのスピードでグルングルン回ります。しかもカゴも簡単なコーヒーカップみたいなつくりで激しく揺れたら外に放り出されそうな感じ。。係のお兄さんたちはみんなロマ的な雰囲気で、ノリが良くて楽しそうにスイッチオン!ごぉぉぉ~~~みたいに営業してました。

でも観覧車が最上部に差し掛かる瞬間に、夏の夕暮れ時のパリの街並みが見渡せます。空に吸い込まれそうな気持ち良さもあって、ああなんと幸せな時間を過ごしているんだろう…という思いもありました。でも怖い(笑)

画像9

(怖くて表情が… 隣のカゴを見れば分かるけど、ちょっと揺れたら落ちちゃいそうなカゴ。これは絶対ヤバかった。)

鉄骨が落下したり、観覧車がテキトーだったりと、海外生活はなかなかにサバイバルですね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?