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K-139 ダイアナ胸像

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石膏像サイズ: H.63×W.40×D.29cm(原作サイズ)
制作年代  : 1887年
収蔵美術館 : 仏トゥールーズ・オーギュスタン美術館他
作者    : アレクサンドル・ファルギエール(Alexandre Falguiere 1831-1900)

この作品は、古代ローマ神話上での月・狩りの女神ダイアナ(ギリシャ神話のアルテミスと同一視)の彫像です。差し上げた右手には矢を、左手には弓を持っています。

ファルギエールは、19世紀後半のフランスで新古典主義的指向とロマン主義との折衷を模索した“アカデミック美術”と呼ばれる一派に分類される彫刻家です。16世紀以来の美術アカデミーの伝統を継承した素晴らしい作品は、オルセー美術館をはじめ世界中の美術館に収蔵されていますが、保守的との意見もあり、革新的だったロダンの登場以降は徐々にその存在感は小さいものになってしまいました。

この二人の彫刻家が取り組んだバルザック記念像のエピソードは有名です。当初ロダンに依頼された仕事でしたが、完成したバルザック像のあまりに先進的な姿に、依頼主であった作家協会が受け取りを拒否、あらためてファルギエールが制作したものが正式に採用されたのです。しかし、その拒絶されたバルザック像がその後のロダンへの高い評価を象徴する作品となったのとは対照的に、ファルギエールの作品は多くの人々に親しまれる存在とはなりませんでした。この二人はお互いの創作には敬意を持っており、その後は互いの肖像彫刻を贈り合うなどして和解しました。

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トゥールーズ・オーギュスタン美術館収蔵 ダイアナ像 1887年 大理石
(写真はWikimedia commonsより)


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