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死にたい をツイートする理由 (スクールカーストの始まり 中二の実体験より)

 みんなはどうして”死にたい”をネットに書き込むのだろう?
 一つはウラハラの感情で誰かに助けて欲しいから、その言葉を書き込む
 それは好きな人に「好き」と言えない気持ちに似ている。
もう一つはそうしないと直ぐに死んでしまうからではないだろうか?
ネットがなかった昔、私はノートへ”助けて”や”死にたい”と書き殴った。ノートと言っても、ここの”note"じゃない。ネットが無い時代なので、ふつーの紙でできたノート。
 ただ、”助けて”とノートに繰り返し書くのは、
ひたすら祈る気持ちとよく似ている。

他の人がどうかは、知らない。私の場合は無意味だとわかっていても、心の声を文字にしないと耐えられなかった。
 私が通っていた中学校は、一人欠けてもクラスは成り立つし、よくあるデスゲームで一人が脱落したら次にターゲットとなる子が出る。学生のときブームだった、『バトルロワイアル』と相似する。
 そして3年間周りを殺し続けるか、上手くポジションを取れた奴が勝者となる。会社も同じで、一人欠けたって成り立っていく。
 世の中では一人欠けたら、欠けたことに誰も気が付かない。
 今生きている人たちだけが正常なら、自殺を選んだ人たちが異常なんだろうか? 
 これが中二のとき、私が毎日考えていたこと・・・・・・。


<舞台>1990年代-後期 中二クラス替え直後

 春香という女の子が居た。小学校では一度も同じクラスになったことが無いし、私と接点はない。
 座席も離れているし、話し掛けられたこともないのでどんな性格の子かも知らない。ただ外見の特徴として、顔に目立つアトピーがあった。それが先天的だとか後天的だとか、治るとか治らないとかなったことがない私は知らないし、考えたことも無い。それは私だけじゃなくて、病気になってないのに病気のことを考える子どもはいない。春香さんはただ皮膚の表面がちょっと違うだけで、普通の女の子だ。
 そんな春香さんの周囲に、おかしな変化が起き始めた。
 座席の位置は男女別々の列で分かれていて、プリントを配るときは前から後ろへ順に回していく。小学校の頃から当たり前で、なんの変哲もないプリントを回すだけの作業。それなのに春香さんの後ろに座った斎藤が露骨に嫌な表情でプリントを受け取り、触れた部分をわざとらしく拭うようになった。いつそれが始まったかは、わからない。ただ数日後にはエスカレートして、そこに西田、郷田も加わるようになった。西田、郷田、斎藤はグループ化した三人組で、トイレに行くのも一緒、ご飯を食べるのも一緒という雰囲気だった。当然、斎藤が春香さんをばい菌扱いすれば、残りの二人も加わる。プリントの消毒ごっこが終わった後は、汚染されたプリントをグループ内で周し始める。
「きたねー! こっちもってくんなよ」
「ちょっと、春香菌がうつんだろ」
 エスカレートとした行動に、男子の諸井と細谷が加わった。細谷は同じクラスになったことはないが、低学年のとき一緒にサッカーをしたことがある。後、ツベルクリンの注射をしたときに泣いていたくらいだから強いほうではない。
 諸井は目つきは悪いけど、背の低い私よりも更に低くて強そうではない。
 そんな二人が女子に加わって、春香さんが手に触れたものをたらい回しにしていた。
 肌が悪いだけで、そんな風にされなきゃいけないことなのかな?
 目線のでは自分の鼻先で膨れた赤くて大きなニキビが、鬱陶しく視界に入る。いつの間にか胸や背中にも一つ、二つと増殖していてシャツに触れる度に化膿した部分が痛む。
 Yシャツの第二ボタンを開けて鎖骨下のそれを押し出すと、白い芯と赤い血が噴き出してシャツに小さい染みを作った。
 母さんに漂白してもらわないと、落ちないかも・・・・・・。
 なんだか微妙なクラスに、来てしまった。親しい子も別のクラスだし、ここで大丈夫かな・・・・・・・。
 嫌な予感は的中する。春香さんは1ヶ月しないうちに学校へ来なくなり、どうなったのかは知らない。ただその後のいじめターゲットとして、自分が選ばれるとは思ってもいなかった。
(中二初期-エピソード 終)

 20年前と今で学校は、社会は変わっただろうか? 私は今も生きている人たちのほうが特別に思えて、20年前の自分と同じことを考えている。
 相手の顔が見えないネット上で優しい言葉を探したり、心無いコメントで動揺したり、いい歳して今の若い子たちとやっていることは変わらない。

 投票へは行くけど私は左翼とか右翼とか、その他色々、細かい部分は理解していないし、パソコンで下手な文章を打つくらいしか能力がない。たまたまこの文章を読んだ”正義の味方”さん。あなたが政治家でも、先生でも、社長でも、芸能人でも、右でも左でもなんでもいいです。自己責任で突き放さず、苦しんでいる弱い立場の人たちを無能な私の代わりに救ってあげてくれないでしょうか?

山田 葉介 


あなたが「死にたい」と書き込む理由は、なんですか?

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へえー 1へぇ
12

山田 葉介

1990年代実体験を一週間テスト連載。スクールカースト形成前の小学生編 1話 https://note.mu/geekmogura/n/n75d2abc95872  連絡用Twitter https://twitter.com/Geekmogura

一人で勝手に死ぬ前、90年代とスクールカーストを語る

東京のような神奈川のような街で起こるノンフィクション
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