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人力の限界を超えていくためにやっていること。AI(Einstein)の使い方

リバネスGeorgeです。弊社、ますます忙しさが増しています。そろそろ人力の限界が見えてきており、なんとかしないとなと思いながらやっているこのお話。

先日こんなリリースを投げました。

TECH PLANTERというのは、創業支援事業で、研究シーズの社会実装を協力に支援するためのプラットフォームです。ここに書いてあるように、本年は232件ものエントリーがあり、それらをチーム一丸となって読み込み、現時点での優劣をつけて上位を導き出すということをやっています。

同様の企画が、若手研究者を対象にしたリバネス研究費、中高生を対象にしたキャッスル研究費、マリンチャレンジなどなどが走っています。現状どんな企画が走っているのかは、弊社サービスのリバネスIDにログインすると見えますので、是非登録してみてください。面白いアイデアがあれば申請書もお待ちしています。

弊社が行っている活動に関連するのは主に以下の通りです

・研究者(大学職員/ポスドク/企業の研究所)
・大学学生(学士/修士/博士課程)/留学生
・学校職員(小中高校の先生がた)
・生徒(小中高生)
・パートナーの皆様(クライアント/町工場/関連会社等ビジネス関係)

そして、様々なサービスの中で受益者になる場合もあれば、アイデア等を出す側になる場合もあります。関係性は一方向ではなく、利用するサービスも一つのみではなく複数に渡るようになっています。

例えば、高校生がいたとします。最初は部活(生物部等を思い浮かべてください)の顧問の先生が、生徒の研究内容には予算が必要と考えて、キャッスル研究費を勧め、彼らは申請書を書きます。無事に研究費を獲得した生徒は研究を進め、年末に開催される中高生の学会サイエンスキャッスルに参加します。研究のサポートにはメンターとなる若手研究者をつけ、日々のブラッシュアップが行われます。若手研究者はリバネス研究費を獲得したり、年度末に行われる超異分野学会で交流を深めていきます。同じく超異分野学会には、意欲のある中高生がポスター発表を行う場合もあり、研究者のるつぼとなっています。ここには企業人の参加も多くあり、ネットワーキングを行います。思惑は多種多様ですが、どこかにいるであろうマッチする人との出会いを演出することができると非常に良い機会だろうと考えています。

イベントは大小あり、開催場所も様々です。日本のみではありませんし、国境や国籍もあまり関係ありません(現状日本人が多いですが、将来的にはバランスが変わってくるでしょう)

極端に言えば、関わっている全員が我々の全てのイベントに関心があるだろうと考えることもできる訳ですが、現実的にはそれは不可能です。人それぞれのタイミングがあり、幸運が重なって、機会となるのです。

これまでのリバネスでは、日本で開催する超異分野学会であれば、日本国内の大学所属になっている人をターゲットに、お誘いのメールをPardotで送りつけるという事から参加者募集を行っていましたが、これは少し乱暴なやり方だと言えます。先程書いたとおり、参加者はもはや大学内のみではなくなり、参加希望者は他にもいるだろうと考えられるのですが、このロジックをどうやって導き出せばよいだろうか、となるわけです。

PardotはいわゆるMA(Marketing Automation)ツールで、その中にはEngagement Studioという機能を持っています。ユーザーが行ったアクションを元に、条件分岐を設け、最適なアクションを提示するという機能です。例えば、キャンペーンメールを送るとします。メールを開封しなかったらこうする、開封した人が特定のリンクをクリックしたらこうする…みたいな形でアクションを組み立てていきます。これはわかりやすい使い方ですが、上述のようにターゲットを最初に決めてしまって、その中のアクションを作るだけになります。

一方で、起点をメール送信ではなく、特定のランディングページを踏んだ場合というようにすると、少し面白くなってきます。ターゲットがどの属性が入ってくるかわかりませんし、彼らにとっての最適解は何なのかについてたくさんの検討が必要になってくるからです。我々がやろうとしているのはこちらがわに近いのですが、いかんせん大変な作業です。企画が多岐にわたり、コンテンツ量も多く、企画の内容も日々変化があるという状況で、作り上げたロジックをメンテナンスし続けることを考えたら、私のガッツがいくらあっても足りないということに気付き、凝ったものを作るのはやめました。シンプルな必須なアクションのみに限定した運用になっています。ここが私達の人力の限界といえます。

そこで少し考え方を変えました。これまでに残された結果を分析する事で、未来を予測できないかというアプローチであり、それがAIの使い方に通じます。

リバネスでAIを使うにあたって非常に労力をかけてやってきたのは、これまでに関わってくれた人が、一体何に・いつ・どこで参加してくれたのかをデータ化する事です。できる限り存在するデータを洗い出し、Salesforce上に載る形でインポートを行いました。関連人数が12万人程度おり、それらの人たちが様々なデータを持つことになるので、総レコード数はどの程度になるのでしょう、今までやってきたことを考えると頭痛がするのでやめておこうと思います。(*2019年前半はかなり多くの時間をデータ整理に充てることになりました)

これをやることで何ができるのかというと、例えば"東京"で行う"超異分野学会"に参加したい人は誰だろうかというのをEinstein(Salesforceが提供する機械学習機能)を使って簡単にスコアリングすることができるようになります。今までは、そのイベントのみでしか評価できなかったのですが、過去のイベント参加履歴や各種申請状態、ウェブサイト訪問履歴、メール開封やクリック等のアクションといったもの全てを解析対象として利用し、スコアリングを行っていきます。

これまでは大学所属の1000名にメールを送るというアクションしかできなかったのが、現在存在しているリバネスID全ての中から、関心の高そうな人上位1000人にアクションすることが可能になるという未来がすぐそこまで来ています。

リバネスのSalesforce上では、Salescloud Einstein/Pardot Einsteinという2つの機能が稼働しており、日々のデータからスコアリングを行ってくれています。リバネスの会員情報は、カスタムオブジェクトとして作成されており、これを対象とした予測は別途作る必要があるのですが、上述の2つのデータもサンプルデータとして取り込む事で、予測精度をあげようというチャレンジを行っています。

実務でAIを使っていくためには

我々がやっているのは、日々変わりゆく蓄積情報を元に、最適なレコメンドをし続けたいという活動です。何かのデータを元に、結果を出すという形とは違います。サンプルとなるデータは日々更新され、取得できる情報も日々増えていきます。何が言いたいかというと、これらの活動はとにかく煩雑になりがちだということです。

Salesforceのプラットフォーム上にデータを展開しているのは、これらの煩雑になりがちな作業を、ある程度規格化し、データの更新作業もできる限り自動化することが比較的簡単にできるからです。AIを使うにあたって必要なのは、脳みその稼働時間です。作業時間ではありません。作業時間もうなぎのぼりに増えていったら、効果的に脳みそを使えるかというとどうでしょう。僕は怪しいと思っています。その分、人数を増やせば処理できるというのは力技的にはもちろんそうなのですが、それではコストが掛かりすぎます。仕組み(Salesforce)にお金をかけることで、人的リソースに頼らずに結果が出せる可能性があります。

終わりに

なんでそんな事書いたのかと言うと、Sandboxの再構築の待ち時間が暇だったからなのですが、無事に再構築が終わったのでこのへんで終わりたいと思います。Einstein 予測ビルダー/Einstein Analytics Plusを使った、予測結果の導き方についてはニーズがあればそのうち書きたいと思います。

さて、仕事に戻りますか。

noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。