【特別読み物vol.3】 新人団員が先輩にインタビュー・1 [植村純子]

4月6日(金)。劇団衛星に入団したばかりの新人団員、田中沙穂と森谷Aが、今回の公演について、劇団衛星のプロデューサーである、植村純子さんにインタビューをさせていただきました。       <文責:森谷A>

現在の心境や今後の展望− 

森谷:えーっと、そうですね。まず、あのー、5月に新作の公演がありまして、そして4月、ちょうど6日、今日、新人団員の加入が発表されて、まあ、この劇団衛星にとって、新しい、こう、なんていうんですかね、二つのイベント?が、まぁほぼほぼ同時にやってきたような形になるんですけど、それに対しての現在の心境であったりとかまぁ・・。
田中:(質問が)長くないですか?
森谷:ハハハハハハ!
植村:あとでいくらでも編集できるから。大丈夫!
森谷:今後の展望とか現在の心境を、お聞きできればな、と・・。
田中:新人団員とこういうことやっていきたいとか、ありますか?
植村:そうですね・・。今後の展望というのは、実は全くわからなくて。というか、劇団衛星では、昔から別に、ずっと、先のプランとか、こうなっていこうぜみたいなこととかが明確にあって、この20年やってきたわけでは全然ないんだよね。(旗揚げから今まで)変わらずにあるのは、多分、「プロとして演劇活動をする」ということだけです。そのために、最初は学生だったところからその目標に向けて進んでいって、今も、それを継続していくということは(プランとして)あるけれど。それ以外に、どういう風に何をやりたいかっていうのは、その都度、蓮行がこういうことやりたいとか、劇団員それぞれがやりたいと思ったことが形にされていく、というだけだったので。それこそ来年の公演の予定すら決めてないくらいの勢いで(やってきた)。演劇を続けて生活するっていうことぐらいしか目標はなかった。それは、今でもあんまり変わらず・・。ずっと演劇やって生活していきたいねってことぐらいしかないかなぁと思っています。
森谷:なるほど。
田中:現在の心境はいかかですか?(新作公演をやる、劇団員が入る、という2つのイベントが起こったことで)変化はありましたか?
植村:えーとね。劇団衛星が20周年を迎えたとき、その先、次の20年活動したら、私はもう還暦になってるわけなんですよ。ということを考えると、この次の20年はどう次世代につなぎ、どうクロージングしていくか、みたいなことなのかなぁというようなイメージを持ってた。そう言いながら、気づけば、(劇団衛星以外の仕事も)色んなことをやり始めたりもしてたんだけど(笑)。そして今回、劇団衛星にも新しい展開があり・・。人生どうなるかわかんないなぁっていう感じ。ああ・・また私は、辞められなくなったなぁっていうか・・。色んな人が(劇団に)入ってきたり出て行ったりするたびに思うんよ、「また辞められなくなった」って。

−劇団衛星の「らしさ」−

森谷:ありがとうございます。それじゃあ、2つ目の質問として。植村さんは、劇団しようよさんであったり、他の団体の制作としても色々ご活躍されていると思うんですけど。やっぱり外部の公演に参加して、外部の劇団と関わっていくなかで、劇団衛星の「らしさ」みたいなものがわかってくることがあるんじゃないかなと思うんですけど。
植村:この2年間、劇団衛星があんまり公演をやってなかった期間と、私が劇団しようよ(の制作)を始めてからの期間が一緒ぐらいになります。しようよ(の制作)を始めて、劇団衛星との違いっていうのはいっぱいあった。感覚的なものなので、具体的には言葉で説明しづらいのだけど・・。それは、個々の構成員の個性もあるし、これまでやってきたやり方だったりとかも違うし、劇団としてこういう公演を作りたいとか、この先こうなりたいっていう、ビジョンみたいなものの方向性も全然違うから。それによって(制作のやるべきことも違っていて)、私は20年もこの仕事してるのに、まだこんなにも初めての経験があるのか、みたいなことがいっぱいあって。またゼロから勉強してるような感覚だった。
そうして、今、劇団衛星の公演を改めて始めると・・。この2年間にそうして私自身も変わった部分があるし、それは劇団員個々にもあるだろうし。劇団衛星のやり方と他の劇団との違いというだけでなく、これまでの劇団衛星のやり方とも今、違う部分が出てきてると思うのだけど。・・最初、すごい戸惑いがあった。
田中:そうなんですか。
植村:劇団衛星では、今回の公演も、チーム全体で動けっていう形で進行しているじゃない?(※注:劇団衛星の公演では、劇団員・KAIKAのスタッフ・その他協力してくれるメンバーを全員、創作/広報/企画・・などのチームに分けて編成し、チームごとに進行してもらっている。)
全員に仕事を分担して・・ていうやり方自体は、2年前までの、劇団衛星がKAIKAでやっていた公演でも、同じようなやり方でやってはいるんだけど。そうやって(仕事を)振ったときに、みんなの自走する度合いが、良くも悪くもすごいなと思って・・。それが劇団衛星の特徴として、一番大きくあるように思う。
私もそんなにたくさんの劇団を知ってるわけではないし、劇団によっても様々だと思うのだけど。どっちかと言うと、(劇団員に対して)「お前ら何もやらねえな!」っていう不満がある、とかいう話をよく聞くんだけど。
(劇団衛星では、)今回、チーム分けして動かしたら、みんな好き勝手やり始めた。これやばい・・と思って(笑)。みんな言うこと聞かへんわって・・。船頭が多すぎる。とりあえず最終権限は全部私にください、全部私が責任とるから私に情報を集めてくださいって、わざわざ宣言しないといけない事態になった。劇団衛星は、(個々のメンバーが)自立して好き勝手しすぎだなって思ってます。
森谷:なるほど。
田中:個々のパワーが強いんですね。
植村:それぞれの問題意識の違いというか。ここが決まってないと不安って思うところが(メンバーごとに)それぞれあるけど、それを決めようとするねん。でも(プロデューサーとして)私は、そこはまだ決めないから!アバウトにしときたいから!みたいな。私はまだそこ決めなくて大丈夫だと思ってるところを(みんなが)勝手に決めていくから、いやちょっと待って・・て言うことが多い。
田中:ほわ〜。
森谷:うは〜あははは。ある意味、「らしさ」ってことですよね。
植村:みんな勝手だから。
森谷・田中:(笑う)
森谷:ありがとうございます。次、3問目ですね。

−公演に「物語性」を作ること−

森谷:今回の新作公演は、チケット販売や関連企画など、役者が芝居をする空間でないところにも面白さがあふれていそうですが、それらを準備するにあたり、プロデューサーとしてこだわった部分はありますか?
植村:もともと、チケットを買う時から、公演ありますっていう情報を目にした時から、お客さんにとってのお楽しみっていうのは始まっていて、それが公演が終わるまで続くっていうのが、劇団衛星がやりたいことです。なので、そういう「物語性」を作ること。舞台上で行われることだけじゃなくて、(そこまでの過程含めて)全部が作品である、というやり方で、劇団衛星の公演は、ずっとやってる。『ガリヴァー』に関しても、いつも通りのことをやっているにすぎないんですけど。
お茶会演劇だったらお茶会っぽいチラシを作ったり、当日の受付や客席への案内の仕方だったりもお茶会っぽくやろうとしたり。『(劇団衛星の)コックピット』の時は、アトラクション的にやろうとしたり。だからあの時は「公演」って呼ばなかったし。多分、今回も(公演当日の会場でも)「公演」とは呼ばずに、「学会」とか「セッション」とかって呼ぶんだろうけど。劇団衛星の公演では、受付のスタッフも、基本的に、受付中は台詞や演技の指定が入るからね。衣装を作ってもらうこともあるんだけど。『コックピット』の時はね、メイクさんにメイクまでしてもらった。
田中:え〜!
植村:ツアーだったので、KAIKAの公演ではメイクしてもらってて、その時にメイクさんに決めてもらった色のシャドウを持って、そのあとの旅を回ったりとかしてた。受付のためにメイクしてもらったのは、あの時だけやな・・。衣装作ってもらうことはまあまああるけど。今回は、学会だから、スーツでいいな・・、楽だね(笑)。
田中:植村さんも、受付で演技される時は(気の持ち方を)変えられるんですか?
植村:ある程度は、変えてるのかな・・。逆にキャラがなく受付するのってどうしてたやろうって・・(笑)。いつやったかな、何かの公演で、キャラ設定なく前説するの難しい!って、逆に思った。
田中:あ〜。それも劇団衛星の「らしさ」なのかもしれないですね。受付にも細かい設定があるっていうのは。
植村:多分。
森谷:おもしろいですね。
植村:私は、基本的に役者出身だから・・、というか別にまだ役者やめてないって言ったりもしてるんだけど(笑)。だから受付に役を与えられることに対して、全く抵抗がなくて・・。
森谷:例えば当日スタッフで外部から来た方も、ちょっと面食らってたりはするんですか?
植村:どうなんやろ。でもある程度こういう企画だからっていう説明はするからね。こういう服装で来て下さい、とか。
森谷:なるほど。ありがとうございます。

−学会員席と非学会員席−

森谷:では。今回の作品で気に入っている部分、あるいはキャラクターはありますか?
植村:うーん。今回の公演では、私は、劇団衛星(の公演)で初めて、稽古場に完全付きしてないので、作品の全体像をまだ知らないんですよ。これまでは、ほぼ全公演、私がリリッキング(※劇団衛星の作品は稽古場で口立てで創る。その台本を文字に起こす作業を植村がしていた。)してるから、(私は)誰よりも先に台本を持ってる人だったのね。蓮行も持ってないテキストのデータをまず私が持っている、という状態。それがね・・今ね、ないんよ! こんなに作品の内容を知らない劇団衛星の公演は、初めてで。それが今、すごい面白い・・。
森谷:面白いんですか!?
植村:多分、通し稽古を観るまで作品の全体像が見えないと思うんだけど、そんなことって、劇団衛星の作品でこれまでなかったし。
田中:今回は、西井さんがリリッキングされてますよね。
植村:今回の公演が決まったとき、私はスケジュール的になかなか稽古場に行けなさそうなことがわかっていて。私の予定に合わせて稽古スケジュールを組んでもらうのでは、創作が間に合わないなと思ったから、演出補の仕事を、西井さんにお願いしたの。だから、今回は、稽古場でのリリッキングは西井さんがやってくれてて、プロットの整理をファックさんがやってくれたりもしてるやん。そういう仕事は(これまで)私がやってたんだけど、今回はしてないから。だからまあ、ここが気に入ってるとか、そう言うのは、まだわからないです。
森谷:なるほど・・。
植村:まぁ、(私が)こだわってるのは、学会員席と非学会員席を作ったことかな。私は、演劇を観る時は、より積極的に作品に参加したほうが楽しめるはずだっていうのを思っていて。それは、それぞれの宣伝をお客さんが受け取った時からとかチケットを買う時からとか(その物語を)楽しんでもらいたいっていうこととも共通してるんだけど。ただ消費的に受け身で鑑賞するだけより、能動的になった方が楽しいはずだ、と。でも、参加させられるのがイヤだなって感じるお客さんがいることはもちろん分かってて。
「極秘会議」(※今回の公演の稽古を始める前、稽古と会議を兼ねたような時間を複数回、セミオープンで実施した。)の最初の頃に話してたのは、「一番ストレスなく参加させられる、参加のさせられ方、し方っていうのはなんだろう」と。それを実現したいっていうのが、今回の公演のコンセプトとして大きくある。そこが、私にとって、この公演をやろう、やりたいと思った最初のポイント。その部分は私がやりたいことだし、劇団衛星だからやることだって思っているので、そのチャレンジがどう成功するか失敗するかっていうところには、一番興味がある。
森谷:ああ・・。
植村:その一つの方法として、学会員席と非学会員席を分けて、最初から積極的に参加する席が決められて、それを了承しているお客さんと、参加しなくてもいいよっていうお客さんとがいて。その座席をお客さんに選んでもらえるっていう形にしている。
(極秘会議で話している時に考えていて、)客いじりされた時に嫌だなとか、対応に困っちゃうって思うのって、安全なはずの客席に座らされているところにいじられるからだと思った。(私の経験上、)最初から座席がフラットな状態で、いじられているところが(他のお客さんから)注目されない状態なら、ストレスがまだ少ない。つまり、客席に入ってこられるのは嫌かもしれないが、最初から舞台にあげられているお客さんは抵抗が少ないかもしれないな、と。
田中:今回の客席(学会員席)は、舞台と同じということですね。
植村:そう。舞台上に、最初から一緒にいるお客さんは、ストレスが少なく参加できるんちゃうかなって思ってる。それが、今回の作品で試したいこと。
森谷:ありがとうございます。
田中:稽古場に常にいる私たち(森谷・田中)からすると、お客さんには楽しんでもらえる舞台になっているんじゃないかと。
森谷:楽しんで・・もらいたいです。
(全員で笑う。)
田中:頑張りましょうね!
森谷:はい。では、次が最後の質問です。

−私の知り合いはみんな観に来て欲しい−

森谷:今回の新作公演を観ていただくにあたり、皆さまに一言お願いします。
植村:しばらく公演やっていなかったこともあるし。そうじゃなくても劇団衛星は、全国各地で公演をしたりしてて、もともと京都でそんなにたくさんの本数の公演をやる劇団ではないので、日々劇団衛星のメンバーと知り合って、一緒に仕事してるような人たちでも、劇団衛星の作品をまだ観たことがない人っていうのはたくさんいると思うんです。そういう人たちに「私たち実はこういうことやってるんです」っていう自己紹介を改めてしたいなぁ・・という風には思っている。もちろんまだ出会ったことのない人たちとも出会いたいんですけど、今私の知り合いで、京都にいる人は、みんな観に来て欲しいな。
それが今後、劇団衛星がどういう形、内容で続けていくかっていうのは全然分かんないんだけど、辞める気はないので、今後に繋がる公演にはなると思う。なので、それを見届けてもらいたいな、という風に思います。・・て。なんか、自分のことしか考えてないけどね(笑)。
森谷:いえいえ。それでは本日は.・・。
田中:ええ? すごい雑な締め・・。
森谷:いやあ、ここに座ると、緊張しちゃって・・。ねぇ・・。ああ、締めないと。本日は本当にありがとうございました。
田中:ありがとうございました!

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gekidaneisei

劇団衛星新作公演 特別読み物

劇団衛星新作公演『白くもなく、さほど巨大でもない塔を覗き込むガリヴァー』のSpecial企画。インタビューから潜入レポートまで。作品内容にまつわるようなそうでもないような読み物をお送りいたします。 http://www.eisei.info/gulliver/
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