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3組は“出し抜き合う”関係!? ナミダバシ×ネイチャーバーガー×衝撃デリバリー座談会


芸歴8年目以下の若手芸人による登竜門的な劇場、神保町よしもと漫才劇場。5月より新しいシステムが導入される中、前ネタランキングシステム「花鳥風月」の最上位「花」クラスに所属していたネイチャーバーガー(三浦リョースケ/笹本はやて)ナミダバシ(たくみ/太朗)衝撃デリバリー(和田ランダマイザ/杉本佳津山)に、3人の関係性、これまでの神保町、これからの神保町について語ってもらった。

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大人のバチバチが毎日行われる神保町マンゲキ

――神保町に漫才劇場ができて1年以上経ちましたが、いかがですか。


三浦リョースケ(以下、三浦) :ヨシモト∞ホールにいる頃、僕らはみんな、ランキングシステムの一番上に上がれなかったんです。けど、神保町の花鳥風月っていうランキングでは3組とも最上位の「花」クラスになることができました。先輩がいないので、みんな、コーナーとかだとだいぶ伸び伸びとしている感じもありますし。

太朗:僕ら若手はチャンスをもらった立場ですよね?

笹本はやて(以下、笹本) :∞ホールの頃は前に出られないことが多かったもんね。今は芸歴の近い人ばかりだからなのか、より仲良くなった感じもあるし。

三浦:仲が良すぎて、『さよなら花鳥風月ライブ』(注:ニューヨークのYouTubeチャンネルが発端となった、若手芸人によるいざこざを解決するライブ)で起こったような争いも起きるんですけどね(笑)。

笹本:絶対的な関係性が崩れてきたっていうか、∞ホールではなかったことだよね?

太朗:このくらいの実力なら倒せるって思ってる後輩がいるってことなんやろうなぁ。

笹本:メディアに出てるかどうかで言うと、神保町はぼる塾一強。シークエンスはやともさんも出てはいるけど、ほかはまだまだ。テレビに誰かが出たら嫉妬しちゃうし、そういう横並び状態もバチバチしてる理由なんだろうね。

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――となると、この3組もバチバチした関係性なんですか?

杉本佳津山(以下、杉本) :僕らはこの2組は意識してますね。特にネイチャーバーガーは同期ということもあってめちゃくちゃ意識してるんですけど、なかなか食い付けない。いつも1つか2つくらい先にいかれてますね。ナミダバシさんも∞ホールの頃は同じカテゴリーだったのに、神保町では先に「花」クラスへ行かれてちゃいましたし、「花」になって太朗のしゃべりがどんどん流暢になっていくのも......。

太朗:え、俺ですか!?

杉本:うん。自信がついたんじゃない? かなり流暢になった気がする。

三浦:僕らは衝撃デリバリーと同期ですし、この2組とは趣味も合う。そういう友達みたいな感覚を持ってる人に結果を出されるのは......。ちょっと手を抜いてる隙に、バーンと上にいかれたら嫌やなって思ってます。

笹本:マジでそう! 賞レース前になると、この2組のネタはめちゃくちゃ観ちゃいますね。

三浦:僕、たくみさんにめっちゃ聞きますもんね?『M-1』でやるんですかとか、何回戦のネタですかって。

たくみ:確かに聞かれるし、僕も聞くよね。

和田ランダマイザ(以下、和田):この3組は出し抜き合う距離感っていうか。俺ら、これで先に行ったぞ、みたいなことを互いにやり合ってるような気がします。

三浦:しかも報告し合うんじゃなくて、Twitterとかインスタでやり合ってるんです。

太朗:三浦さんのインスタの投稿、マジで腹立ちますもん。「今から仕事」ってゆりかもめの中での写真載せて......フジテレビで仕事やん。きもっ! インスタでマウント取るなよ!って思うんですよね。


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――(笑)。三浦さん、それは敢えてやってることなんですか?

三浦:もちろんですよ!

杉本:俺もあれ、腹立ったから、仕返しにゆりかもめの写真上げてやったわ!

たくみ:笹本くんなんて出し抜き合いがいきすぎて、喫煙所で『ENGEIグランドスラム』に出演決まったってウソついたこともあったよね?(笑)あれ、意味わからなかったわ~。

笹本:しかも、その場にいた純白パリジェンヌ・草間っていうヤツが広めちゃったんですよね。僕はちゃんと「ウソだよ」って何度も言ったんですけど、あいつ、「火のないところに煙は立たない」とか言い出して。

和田:煙出したのは、笹本だけどね(笑)。

笹本:そうなんだよ! だから、ウソだよって散々言ったのに......あいつは許さないです。

太朗:今はコロナで行けてないでしょうけど、三浦さんはどこにそんな金があんねんって思うくらい、後輩をメシに連れて行ってる。僕も何度かご馳走になってますけど、あれも出し抜いてる感じがあります。金持ちな熟女のパトロンでもいるんじゃないっすか?

和田:なるほどな。熟女に奢ってもらったものを、後輩へ還元してるのか。

三浦:本当だと思われたらどうすんだよ!(笑)出し抜くために、後輩へご馳走してるわけじゃないし、パトロンなんていないです!

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――(笑)。ナミダバシさんと衝撃デリバリーさんは今、この3組でリードしてるのはネイチャーバーガーだと思ってるわけですね。

太朗:僕ら2組は出し抜かれてる状態ですね。ネイチャーさんは、なんせお笑いだけで食えちゃってるから。

杉本:俺らもバイト辞めたいもんなぁ。

笹本:そう思ってくれてるなんて嬉しい。(ニヤリとしながら)あぁ、なちぃ! バイト辞めたいとか言ってたの、なちぃわ。

三浦:いやいや、俺らは強制的にバイトを辞めさせられただけだから(注:泥水すすり隊結成時に、プロデューサーのEXIT・兼近より6人全員、バイトを辞めることが条件となった)。

太朗:ネイチャーさんは名だたる先輩方から、『M-1』決勝に行けるんじゃないかって言われてますよね。たくみさんも「ネイチャーのネタ、面白すぎる」って言ってました。

笹本:たくみさん、言ってくれたの?

たくみ:うん、面白いと思ってるよ。

太朗:僕は正直、ネイチャーさんのネタの面白さがあんまりわからないんです。そんな僕までもが面白いって言い出したら、いよいよ決勝に行かれちゃうんで面白いと思わないようにしてます。

笹本:太朗は大宮で、それまで1回も喋ったことがなかった俺のとこまで来て、「マジで面白かったです」って言ってくれたじゃん!

太朗:いや、全然面白くない。僕は認めません!

和田:そうだよな。認めたら負けだよな?

太朗:人のことを面白いって言ってる場合じゃないです。絶対に笑わない。......こんな感じで、今さらNSCにいた頃と同じようなことをやってます。

三浦:NSCにいた頃はわけのわからんバチバチやったけど、今は自分以外に成果が出たら先に売れてしまうことに直結する。大人のバチバチが毎日、ライブごとに行われてる感じですね。
神保町メンバー以外にも面白い芸人はいっぱいいる。

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――5月から劇場のシステムが変わって、2ヶ月に1回、入れ替え戦が行われることになりましたが?

和田:俺らは「花」クラスにギリギリで入ったから、“戦いがなかった”っていう感覚を味わってないんですよ。

杉本:しんどかったよなぁ。ネイチャーは割と早い段階で「花」に入ったから、戦いからはかなり離れてたんだよね?

三浦:1年くらい、そういう機会はなかった。

たくみ:僕らはちょうど真ん中くらいで「花」に入ったから、少し離れていたし。

太朗:けど、そういう戦いの場はあったほうがありがたいなと思います。今後は一発勝負で決まるっていうのがちょっと怖いですね。昨日、駿河台(注:『Jimbochoファーストステージ』『Jimbochoネクストステージ』が東京・駿河台下スタジオにて開催)にMCで行って来たんですけど、劇場メンバーでもおかしくないなって思った面白い人はたくさんいました。

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――劇場メンバーやオーディション組を含めて、オススメしたい若手芸人はいますか?

たくみ:僕、いいですか? 『NSC大ライブ』で主席になった同期のブッタマリアがずっと休んでたんですけど、コンビ名をブッタマに変えて駿河台から復活するんです。

和田:ネタは最高に面白いですよね。

たくみ:そう。だから、すぐメンバー入りすると思います。

杉本:解散してまたコンビを組んだ芸人さんたちも楽しみですね。例えば、せみほたる・村田が組んだコンビ(ビジェイン)とか、いまさらジャンプ・山田さんが組んだコンビ(ミカボ)とか。元パンプキンショートケーキのりゅうたろうさんがシークエンスはやともさんとかとトリオ(ウォーリーズジャパン)になって帰ってくるのも楽しみです。

太朗:僕はYELLOWっていうコンビに注目してます。ネタ作ってる石塚審判は前に違うヤツとコンビを組んでたんですけど、僕ら同期でいちばんの天才だって言われてたんですよ。

たくみ:僕は太朗より2年先輩なんだけど、NSC在学中に『キングオブコント』1回戦観たとき、その子たちがダントツで面白かった。

笹本:えぇ、そうなんですね!

太朗:けど、解散して片割れは芸人を辞めちゃったんです。石塚が別のヤツとコンビを組んだのは知ってたんですけど、ウケてるところは観たことがなかったっていうか。以前までは、面白いけどまだ固まってない印象だったんです。けど、昨日の駿河台で観たら完成してました。片割れのフードファイターヤスエダっていう大食い芸人も面白いですよ。

三浦:若手だったら、天草っていうコンビが人気者になりそう。

杉本:天草、いいね! 面白いし、愛嬌があるし、楽屋にいると元気な気持ちになる。あいつら、かわいいんだよなぁ。

三浦:先輩もみんな、天草のことが好きやし、お客さんにも好かれている愛されキャラ。ネタ
もしっかりしてるし、これから劇場を支えてくれるんじゃないかなっていう気がします。

笹本:神保町へまだ来たことがないっていう人に勧めるなら、東京シャンデリアとかいいんじゃないですかね。ハラちゃんっていう子が元ジャニーズで、今、吉本坂46にも入ってるんです。

太朗:マジでいっぱいいますよ。これからも戦いは続きます。


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3組の目指すべきは賞レース

――それぞれ、今後の目標はありますか?

三浦:この3組だと、やっぱり賞レースですよね。『M-1』決勝にはもちろん行きたいですし。

たくみ :『ABCお笑いグランプリ』の決勝にも行きたいですね。

笹本:僕はテレビでラップしたいっていうのがいちばんの目標です。面白そうじゃないですか?

三浦 :......僕ら、今年の賞レースはダメかもしれないですね。太朗 ネイチャーさんは出し抜かんフリしてるだけでしょ。賞レースで出し抜くためには、神保町以外にも戦うべき敵がたくさんいますからね。それこそ、僕が一緒に住んでるオズワルド・畠中さんは『ABC~』も『M-1』も決勝に行ってる。ここを超えなきゃなんにも始まらないですよ。

杉本:オズワルドさんは1日9ステとかやってるでしょ? それ聞いたとき、俺らは1ヶ月で8ステしか出てなかった。ライブの出番をもっと増やさないと勝てるわけがないなと思ってた。けど、神保町ができて劇場の出番が増えてありがたかったなぁ。

三浦:確かにね。賞レースで決勝に行ってるのは、神保町だとオダウエダさん、そのこ、ぼる塾さん(注:『THE W 女芸人No.1決定戦』で決勝進出)。

太朗:昨年の『キングオブコント』だと、オフローズが準決勝まで行ってますよね。

三浦:『M-1』だと、令和ロマンが芸歴1年目のときにワイルドカードで準決勝まで行ってる。

太朗:僕の中で令和ロマンは王子っていうか。王家の血を引くものやなって思うくらいの......。

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――エリート感があるっていうことですね。

太朗:はい。やから、台頭していくのは仕方がないなと思ってます。僕らは農村からスタートしてるから。

杉本:俺らなんか、マジで4年前に農村から始まったしな?(注:農業住みます芸人として1年間、宮城県で活動していた)

三浦:それぞれ違う農村から上京してきた感じがあるっていうことか。

太朗:そうそう。いろんな農村から出てきた者同士の戦いでは負けられないですよね。もし衝撃さんとかネイチャーさんが先に決勝行ったら............マジで観てられへん。チャンネル変えますわ、絶対。

和田:けどまぁ、『M-1』で売れるのは究極の贅沢だよ? 俺はとにかくなんでもいいから売れたい。

笹本:確かにね。『M-1』決勝は出たいけど、固執しないように柔軟にやってはいかないとダメだもんね。売れる方法は、ほかにもあるかもしれないし。

和田:上を見たらバケモノみたいな人たちがいっぱいいますからね。そこに勝っていくには、いろんな人を出し抜いていかないと。

杉本:頑張って、俺らもバケモノだって言われるくらいにはなりたいね。

和田:え、この座談会、お前の発言で締めるの? 出し抜かれたわぁ~!


■ナミダバシ
NSC東京20期生、21期生。2016年に結成したたくみ(左)と太朗(右)のコンビ。
■ ネイチャーバーガー
NSC東京21期。年に結成した三浦リョースケ(左)と笹本はやて(右)のコンビ。

■ 衝撃デリバリー
NSC東京21期生。2016年に結成した和田ランダマイザ(左)と杉本 佳津山(右)のコンビ。


■神保町よしもと漫才劇場INFO

Jimbochoグランプリ 第一部
日程:2021年5月29日(土)11:45開場 12:00開演
会場:神保町よしもと漫才劇場
出演者:オダウエダ/湘南パイプキャッツ/世間知らズ/べんがるとら/なかむた/ブラゴーリ/KANAIWA/三匹/衝撃デリバリー/純白パリジェンヌ/そいそ~す/インテイク/サンタモニカ/小虎/ベストコンディションズ/今夜はブルース


Jimbochoグランプリ 第二部
日程:2021年5月29日(土)14:15開場 14:30開演
会場:神保町よしもと漫才劇場
出演者:赤嶺総理/11月のリサ/スーパーサイズ・ミー/放課後ハートビート/スマイラーズ/ブルーレディ/ラタタッタ/ネイチャーバーガー/ナイチンゲールダンス/軟水/マスターナンバー/アケガラス/花ちょうちん/ピザとオムライス/アカシア/ピンクドミサイル/はくたく


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ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希




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