月刊日本編集部 川内原発の安全性に重大な疑義あり!

 東日本大震災と福島第一原発事故から間もなく4年目を迎えます。大震災以降、稼働原発ゼロの状態が続いていましたが、原子力規制委員会の新基準に合格した九州電力の川内原発1、2号機が再稼働する見通しです。

 実は川内原発には、安全上の疑義があります。

 川内原発1、2号炉の建設に着工した昭和56年秋から59年冬にかけて、工事を担当した大成建設が原子炉建屋の建設で余った鉄筋8500トンを原発の地下に廃棄、埋設したのです。埋設工事を行った当事者が平成17年、経産省原子力安全・保安院に「8500トンの鉄筋を埋めた」と内部告発し、読売新聞は平成17年11月25日に社会面のトップ記事で詳細に報道しています。

 原子力規制委員会は川内原発1、2号炉の安全対策が新規制基準を満たしていると判断し、薩摩川内市長や市議会、鹿児島県知事や県議会が再稼働に同意しています。

 しかし、原子力規制委員会や地元自治体は内部告発にある鉄筋埋設の事実を十分に検証したのでしょうか。

 昨年行われた世論調査によれば、原発再稼働反対が56%(朝日新聞、日経新聞)、再稼働賛成が32%(朝日は28%)でした。注目すべきは、再稼働反対と回答した人のうち68%が電気料金値上げを受け入れる(日経)、と回答していることです。

 福島第一原発事故から大きな教訓を得た国民は、目先の経済的利益よりも、国土・身体の安全・安心がより大切だと考えるようになったのです。

 安倍総理! この内部告発の事実経過を確認し、川内原発の安全性に問題があるのか否かを徹底検証していただきたい。

 問題があるならば、勇気を奮って、川内原発の再稼働にストップをかけるべきです。

 平成17年11月25日付の読売新聞朝刊は「鹿児島・川内 原発地下に鉄骨廃棄 保安院に内部告発 建屋建設、余った8500トン」との見出しで、次のように報じています。

 〈九州電力川内原子力発電所の敷地内に「合計8500トンの不用な鉄筋を埋めた」との内部告発が、経済産業省原子力安全・保安院に寄せられていたことが24日、読売新聞の調べでわかった。保安院は内部告発をもとに様々な事態を想定し、施設や地盤の耐震強度などを算出した結果、「安全性に問題はない」との結論に達した模様だ。内部告発は具体的かつ詳細なものだが、大量の鉄筋埋設の事実関係については、十分な調査が行われておらず、今後の焦点になりそうだ。〉

 安倍総理はこの新聞報道をご記憶でしょうか。ご存じでなければ、当時の新聞を取り寄せて、確認していただきたい。この記事が事実であれば、即刻当時の保安院責任者を呼び、事の経緯を確認していただきたい。

 記事には〈保安院では、たとえ設計図にない8500トンの鉄筋が埋められ、それが酸化してサビが浮いたとしても原発の安全には影響しないとの結論に達した模様だ。〉と書かれています。

 当時、保安院は九電、大成建設、下請業者など関係者から詳細に事実関係を聴取し、徹底調査をしたのでしょうか。疑わしい限りです。

 読売の記事には実に驚くべき事実が書かれています。鉄筋の埋設場所とその方法、埋設した鉄筋の重量が、次のように詳細に記されているのです。

 〈主な埋設場所は1、2号機それぞれの①「原子炉建屋」の周辺②緊急炉心冷却装置(ECCS)の水源となる「燃料取替用水タンク」の下③使用済み燃料を収容する「燃料取扱建屋」の地下2~10メートル――など。いずれも高度な耐震設計が求められる施設の真下で、①には約3000トン、②には約4000トン、③には約500トンが埋められた。ごく一部だが、原子炉格納容器を支える充てんコンクリート内に埋めたものもあったという。〉

 では、どうしてこうした事態が生じたのでしょうか。記事は次のように報じています。

 〈内部告発によると、問題の鉄筋が埋められたのは81年秋から84年にかけて。建屋の建設に使われていた鉄筋が大幅に余ってしまったため、処理に困った大成建設の現場作業所の幹部らが相談し、掘り返した軟弱な地盤をコンクリートで埋め戻す際に、その中に廃棄することを決めたという。

 鉄筋は、注文してから建設現場に届くまでに2か月ほどかかる特注品で、九電が大成建設の報告をもとに一括注文していた。だが、1号機の着工当時、詳細図面の完成が遅れて必要量を正確に見積もれず、大成建設が九電に多めの使用量を報告。余った鉄筋が海岸沿いの資材置き場に野積みされ、激しくさび付いていったという。

 当時の経緯について、埋設作業に関与した工事関係者の一人は、「大成建設は、受け取った鉄筋の量に見合った作業費を(九電から)受け取っていて、鉄筋が余ったと言い出せば、水増し発注の責任を問われる可能性もあった。だから、ひそかに埋めようという話になった」と話している。〉

 当時、〈(保安院は)「安全性に問題はない」との結論に達した模様だ。〉と読売新聞は報じていますが、同時に専門家の話として次の記事も掲載しています。

 〈専門家によると、鉄筋の埋設作業が乱雑な場合には、ひび割れなどの恐れが出てくるほか、想定外の鉄筋の混入で、重要構造物に関する耐震強度の計算結果が狂ってくる恐れもある。〉

 読売新聞がこの内部告発を報じる前年の平成16年2月、私は内部告発者A氏から相談を受けた私の友人から、新聞報道と同じ話を詳細に聞き、埋設工事に携わった関係者の名前、および埋設場所の詳細な図面を見せられました。

 もし、これが事実なら重大事故につながると考えた私は、旧知の東京電力幹部に、川内原発と特定せず、「仮に大量の鉄筋を原子炉建屋の周辺に埋設した場合、一体どのようなことが考えられるのか」と聞いたのです。

 東京電力の幹部は次のように答えました。

 「仮に鉄筋の埋設が行われたことが事実であれば、我が国で稼働している原発すべてを止め、一斉に厳重な点検作業をしなければならない。国家的な重大問題だ。すべての原発を稼働停止するなら、我が国の電力供給を根底から揺るがし、産業界は勿論、国民生活に大きな影響を与えるだろう。

 しかし、原発の建設は、設計段階から工事に至るまで厳重な監理が義務付けられている。二重三重に監理されており、工事過程の監視も十分に行われている。手抜き工事など到底できるものではない」

 読売新聞幹部と担当記者は十分な裏付けと自信を以って、このスクープ記事を掲載したはずです。しかし、読売新聞の取材に応じた内部告発者はその後、身の危険を感じて住居を転々とし、メディアの取材には一切応じていません。

 安倍総理! 再度申し上げます。

 川内原発再稼働の前に、この内部告発の内容を徹底究明し、川内原発の安全性に影響があるのかないのかを徹底検証していただきたい。

 安全性に疑義があれば、勇気を奮って川内原発の再稼働にストップをかけるべきです。

(『月刊日本』2015年2月号より)

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