編集者になる その9

「転職する」というのは決まった。
じゃあ、具体的に何者になるのかって考えたとき、
「ライター」ではなく「編集者」だなと、最初から思っていた。

フリーになるつもりはなくて、
ライターの社員募集を行っている企業はほとんどないというのもあったけど、でも、僕はライターよりも編集者のほうが向いていると、
これはかなりハッキリと自覚していた。

これまでに人生を振り返ってみると
音楽ライターの世界に足を踏み入れたとき、
「僕はこの人たちほど音楽が好きではない」とちょっと絶望した。

大学の演劇映像専修にいたとき、映画に関しても同じように思った。

大学院に行ったとき、
アカデミックなことを専門的に論じる頭と根気は持っていないと知った。

ほぼ日の塾に通った時、
「僕はこんな風に世界を見て、言葉にできない!」と、
感受性の乏しさに、またちょっと絶望した。

文章を書くのは大好きだったけど、
どうしても人に伝えたい強い想いは、自分の中になかった。
(正確には、想いを伝えるためにあらゆることを突破しようとする覚悟みたいなものを持っていなかった)

でも、こうして生きてきたなかで知らされた身の程は、
一方で自分の強みにもなっているんじゃないかと気づいたのだ。

僕は映画や音楽について熱い語りを、すんなりと受け入れることができる。
ちょっと小難しい文章も、さくっと読むことができる。
感受性豊かに書かれたエッセイや、個人的なつぶやきを愛することができる。
僕の知らないことを知っている人を、たくさん知っている。
一般的にはバカにされるような有り余った情熱を、尊敬することができる。
「書く」という行為を、尊重することができる。

こうやって整理してみると、
いろんなライターの人と一緒に記事を作っていく編集者って、
我ながらめっちゃ適任なんじゃない?
と思った。
というか、もうこれしかないんじゃないか!
という気すらしてきた。

希望職種「編集者」
転職理由「編集者になるため」。
とてもシンプルで、だからこそ強いなと思った。
転職を始める前から上手くいくって、
謎の確信があったように思う。

というわけで、次回、やっと転職活動編です!

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