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高吸水性樹脂とは?

ハイドロゲルは多量の水を含みますが、中でも吸水性の高い高吸水性樹脂は、短時間で自重の100倍以上の水を吸収します。その代表が、ポリアクリル酸ナトリウムです。主な用途の一つが紙おむつです。ポリアクリル酸ナトリウムゲルは、紙おむつを劇的に進化させました。
1980年頃まで、紙おむつは文字通りパルプを使った、分厚いものでした。しかし、ポリアクリル酸ナトリウムのシートを採用したことで、紙おむつは劇的に薄くなり、ごみの量を大きく減らしました。薄くても吸水力が高いため、それまでの紙おむつと同等以上の性能を持ち、瞬く間に多くの人の支持を得ました。ポリアクリル酸ナトリウムは、子育てや介護の負担を減少させたんですね。

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このポリアクリル酸ナトリウム、他にも色んな所に使われています。身近なものだと消臭剤ですね。透明なビーズタイプのものがそうです。高吸水性樹脂に、消臭剤と防腐剤を混合した水を吸収させています。効果がなくなるとゲルが収縮して小さくなるので、ひと目で交換時期が分かります。

また、その吸水性の高さから、砂漠の緑化や農作物の栽培にも使用されています。(この用途では、耐候性に優れたポリビニルアルコールの方が使われています。ポリアクリル酸ナトリウムほど吸水性はありませんが、紫外線などに強く丈夫です。)
ポリアクリル酸ナトリウムのゲルを培養土として使えば、透明なため、室内ではインテリアにもなります。

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更に、土嚢(どのう)としても使われています。普段は乾燥した状態のため、軽くて持ち運ぶのは楽ですが、一度水を吸うと大きく膨潤し、土嚢の役割を果たします。
そして、これはかなり大胆な発想ですが、台風にポリアクリル酸のような高吸水性樹脂の粒子を大量にばら撒けば、台風の勢いを弱めることも可能だとも言われています。ゲルを上手く使えば、水害や暴風雨による災害を防ぐことも可能かもしれません。

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