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ジェルタイプの洗浄剤

排水溝などの洗浄に使う洗浄剤。
ドロドロとしたジェルタイプが多いので、調べてみました。
使用している方はご存知と思いますが、
どれも強いアルカリ性のもので、酸性のものと混ぜないよう注意書きがあります。

成分表から調べてみると、
どの洗浄剤にもアルキルアミンオキシドという界面活性剤が使用されています。
「なんかアミン臭がするなぁ」といつも思ってたんですが、この臭いなんですね。
どの製品もアルキルアミンオキシドによって粘性を付与しているようです。
もちろん、洗浄効果も見込んでいます。

アルキルアミンオキシドと言っても、アルキル鎖の長さは様々です。

図は一例として挙げました。特許などから、ほぼ図の通りの構造と推測されます(アルキル鎖はもっと長いと思います)。

問題は、なぜ粘性が出るのかという点です。

アルキルアミンオキシドは界面活性剤なのでミセルを作ります。
シャボン玉の記事でもミセルについて触れました。

調べていると、ミセルが集合して粘性が現れるという論文を見つけました。
下図のような仕組みです。

アルキルアミンオキシドを棒状に簡略化すると、図のようになります。
ミセルの外側はイオン性の部分、内側にアルキル鎖です。
外側のイオン性の部分をナトリウムイオン(陽イオン)が仲介してミセルをくっつけています。
これでミセルが弱く繋がったネットワークが出来ていると考えられます。
(ナトリウムイオンは、水酸化ナトリウム由来です)

なるほどと思いました。
ちなみに、ジェルとゲルは同じものです。
というのも、GELの正しい発音はジェルなんです。
ただ、日本ではジェルというと流動性のある粘稠(ねんちょう)性の液体を指す事が多いです。
ゲル(流動性の無い、液体を含んだ物質)とは区別して使っている傾向がありますね。

もう一つ、台所用の漂白剤も洗浄ジェルと同じ成分です。
しかし、漂白剤はドロドロしていません。
どうやら、使用しているアルキルアミンオキシドの量が少ないようです。
そのためか、アミン臭も抑えられています。

洗浄ジェルはドロドロなので、高濃度のままピンポイントで使えますね。
殺菌効果だけなら、漂白剤と変わらないと考えられます。

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