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蒟蒻のゲル化について

なぜ、蒟蒻はゲルになるのか?
従来説も含めて仮説が二転三転し、迷宮入りかと思ったこともありました。
いくつもの要因が絡み合っていて、実験結果を見るたびに首を傾げていました。
3年間の検証により、以下のようなことが分かりました。

グルコマンナンのアセチル基が突起となり、グルコマンナン分子の凝集を妨げていた。凝固剤でアルカリ性にすることでアセチル基が取れ、グルコマンナン分子が凝集して絡み合い、ゲル化する(水素結合と疎水性相互作用によって凝集)。

*水素結合はグルコマンナン分子の凝集を助けるのみで、ゲルのネットワーク形成には寄与しない。
分子の絡み合いによってゲルのネットワークが形成されている=だから熱水にも溶けないゲルになる。

また、蒟蒻芋に含まれているトリメチルアミンも阻害要因になっていた。アルカリ性になるとグルコマンナン分子の塊からトリメチルアミンが抜けていくことで、グルコマンナン分子が凝集し易くなる。

他にも細かい要因はありますが、まとめると以上のようになります。

このゲル化のメカニズムは、これまで行ってきた実験結果の全てを支持するもので、過去の研究例にも合致しています。

詳細は、以下のKindle本「蒟蒻の歴史と化学」の中で解説しています。


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