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自分が書いた文章を客観的に読めますか?

一級建築士製図試験「計画の要点等」の勉強を進める際、必要とされるスキルの一つに「自分が書いた文章を客観的に読むこと」があります。

客観的に読むことが必要な理由

誰でも、自分が書いた文章を客観的に読めるわけではありません。なぜなら、文章を書いた時の思い入れ(書いた時の感情、思い込み、熱い思いなど)が先行し、冷静に読めないからです。

自分の文章を客観的に読むことは、製図試験採点者と同じ立場になって自分の解答を読む訓練です。採点者の気持ちになって解答を読むことは、自分の良い点、悪い点に気付くきっけかになります。

常に採点者側の気持ちを考えながら文章を書くと、何を書くべきかが見えるようになっていきます。また、自分の設計内容を確実に伝えられるようになります。

文章を推敲するときのポイント

1.自分が書いたことを忘れてから読む
文章を推敲する際には、自分が書いた内容を一度忘れてみることが有効です。自分の文章を忘れてしまえば、それは他人の文章を読んでいるのと同じになり、客観的に確認できます。

また、文章を書き終わった後すぐに確認するのではなく、時間を空けることも有効です。時間が経つと、書いた時の気持ちを忘れるため、客観視できるようになります。

夜中に勢いで書いてしまったラブレターを翌朝確認すると、恥ずかしくて全く読めた代物ではない、というような場合に似ているかもしれません。(今どき、ラブレターなんて書かないよ!って?)

2.質問に対して答えているかを確認
文章を読み直す前に、今一度、質問をじっくり読んでみてください。何を問われているのかを考えたうえで文章を読み直すと、自分が問いに的確に答えているかがよく分かります。

冷静に読み直してみると、質問に対して的外れな解答をしていることがよくあります。会話の場合では、質問に対する解答がずれていると、相手の表情でわかることが多いはずです。しかし、文章の場合では相手の反応はわかりませんので、自分が他人になるという客観視で確認するしかありません。

製図試験において的外れな解答をすることは、失点につながるので、最も避けなければなりません。

3.「目的語」を省略していないかを確認
自分の文章をチェックすると、意外と「目的語」を省略していることがよくあります。これは、思い込みが強く目的語があたりまえになってしまい、当然のことと省略してしまうからです。

目的語を省略した場合「何をどのような理由で、どうしたか」の「何」が不明となるため、試験の解答として不十分となってしまいます。

設問「計画した施設において、ゾーニングについて工夫したことは?」

解答(目的語なし)「歩行者が多い道路に面して配置し、集客に配慮した」
→何を配置したの?

思い込みが先行してしまってカフェについて記述しているにも関わらず、省略しています。本来なら、以下のように答えるべきです。

解答「歩行者が多い道路に面してカフェを配置し、集客に配慮した」

目的語を省略してしまうと、採点者は「どの室のことを言っているのだろう?」と感じ、解答者の設計意図が伝わらず点数を与えることはありません。

記述は図面と整合させることも重要ですが、記述を読んだだけで意味が通じなければなりません。どの室のことを述べているかを省略してしまっては、意味は通じません。

あなたの思い込みに合わせて採点者が図面から読み取り、この室のことを言っているのだろうと判断してくれること期待してはいけません。

同様に、自分では当たり前と思い込んでいる「理由」や「結果」などを省略し、解答になっていない場合もありますので気を付けましょう。

解答(理由なし)「歩行者が多い道路に面してカフェを配置した」
→なぜ、そこに配置したの?

解答(結果なし)「カフェは集客に配慮して配置した」
→どこに配置したの?

まとめ

「計画の要点等」の対策として、はじめに養うべきは「客観的に自分の文章を読む技術」です。これさえあれば、今後、迷うことなく書けるようになります。

しかし、この技術は一朝一夕に養える技術でありません。また、自分では気付きにくいことが多いため「身近な人に読んでもらう」という方法はいかがでしょう?

自分では気付かなかった意外な事実が見えてくるかもしれません。


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