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Mr.Rain

長崎という街は雨が多い年間を通して3日に一回は降る。

港町の高台にはいつも霞がかかっていた。

オランダ坂の石畳が雨に濡れてロマンチックだなんて旅行者ぐらいしか思わない。

俺はそんな雨の街で生まれた。

それも6月、一番雨の多い月だ

一週間降り続けることもよくあった

生まれた日も雨

入学式も雨

卒業式も雨

大事なデートも雨

入社式も雨

結婚式も雨

新婚旅行も雨

野外イベントも雨

そして離婚した日も雨

「ミスターレイン」いつしか俺のことを誰もがそう呼ぶようになった。

ふふふ、単なる皮肉交じりの雨男って意味さ

東京に出てきても同じようにミスターレインは健在だった

それは俺の誕生日の日だった

最愛の女、淑子が窓辺に立っていた

俺は後ろからその小さな身体を抱きしめた

少し力を入れるだけで折れそうな腰のライン

ほのかなリンスの香りが甘いときめきを誘った

豊かな乳房が抱きしめられた反動で揺れる

かき抱きたくなる衝動を抑えて首筋にキスをした

雨の降りしきる窓の外を眺めながら彼女は小さな吐息を吐いた

俺は彼女のパールのイヤリングに語りかけた

「どうした?」

彼女は首を小さく振って振り向いた

可愛い唇が何か言いたげに小さく開いた

俺はもういちど聞いた「どした?」

彼女は精一杯の勇気を振り絞って言った


「誕生日だね。。。。ハッピーバースデー梅雨」

あぁ俺はミスターレイン

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