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Jリーグのマスコット文化

現在、Jリーグマスコット総選挙2022が開催されていることをご存知でしょうか。

2013年から毎年Jリーグの新シーズンが始まる前に開催されており、今年で10回目を数えます。

J1からJ3まで、それぞれのクラブのマスコットが出馬するイベントとして、Jリーグが音頭を取って実施していますが、この企画を考えた人は素晴らしいアイディアマンだと思います。

Jリーグマスコット総選挙

https://www.jleague.jp/sp/mascot/

Jリーグクラブそれぞれが主体となってキャンペーン活動をしないと順位は取れませんし、そこにはそれぞれのクラブのファン・サポーター・ステークホルダーの方々の投票がないといけません。

これによりJリーグ開幕に向けての機運を高めていくことができるだけでなく、自分が応援するマスコット/クラブが少しでも順位を上げられるよう、毎日投票するわけですし、周りを巻き込んでくれる方々も出てくるわけです。

そうやってJリーグやサッカーに全く関心がなかった方々も巻き込まれていく可能性があり、結果的に認知の輪が広がったり、新規ファンを獲得するきっかけにもなり得るのですから。

“総選挙”の魅力

「総選挙」といえばもちろん政治的なワードですが、この言葉を一躍ポピュラーワードにしたのはやはり「AKB総選挙」でしょう。

ファンがコミットする形で自分の推しアイドルを前に押し出そうとする、そのパワーはとてつもないですし、この仕組みを考えた秋元康氏はとんでもないアイディアマンです。

人間の心理をよく理解していますし、こうやって出てきた結果がその後にメディアのネタになり、それがマネタイズに繋がるという画すら描けていたのでしょう。

ただ初めてのことをトライするときにはどうなるかわからないからこそ、半信半疑だった人もきっといたことでしょう。

それでもこうやって大成功を収める結果になっているのは、発案者に確信があったり、それを実現するための仕掛けを関係者が色々と考えたんだろうなと想像しています。

そんなAKB総選挙からインスピレーションを得たのは想像に難しくないですが、Jリーグが始めたこの「Jリーグマスコット総選挙」もまた、よく考えられた面白い取り組みなのです。

長崎のヴィヴィくん

実は私はこの取り組みの意図や効果に関して、ちゃんと理解したのは昨シーズンのことです。

一昨シーズンの途中からV・ファーレン長崎に加入するために15年半過ごしたドイツから帰国したわけですが、それまではマスコット総選挙の存在はなんとなく知っていた程度で、正直アンテナは張っていなかったため、実態はちゃんと理解していませんでした。

そのシーズンのチャンピオンはV長崎のヴィヴィくんだったこともありますが、ヴィヴィくんというマスコットの存在感はそれはそれは偉大で、長崎に来てからマスコットへの価値観が大きく変わったことははっきり言えることです。

コロナ禍ゆえ、ファン・サポーターとの直接的な交流ができない時期であるため、実際にヴィヴィくんがファンらに囲まれるシーンを実際に見れたわけではないですが、それでも周りからの認知度やヴィヴィくんの存在価値がいかに長崎、そしてJリーグ全体にとって大きいものなのかを目の当たりにしてきました。

そしてそんな中でJリーグがこのマスコット文化を非常に重要視しており、また世界に誇れる唯一無二のカルチャーだと考えていることも知りました。

私は長崎にはトータルで1年しかいませんでしたが、ヴィヴィくんとはいろいろな思い出があります。

表敬訪問にも行きましたし、ホーム試合のたびに一生懸命仕事する姿も見てきました。

ヴィヴィくんは立ち振る舞いも含めてまさにマスコットの鏡的な存在であり、今も尊敬すべき存在だったりします。

↓退社報告に行ったとき、再会を約束してパシャリ

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もちろん今は水戸ホーリーホックの人間ですので、我らがホーリーくん推しですが、今でもヴィヴィくんは“2番目”に応援しています!

ホーリーくん、頑張ろう!

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マスコットとは

海外のクラブにもマスコットは存在します。

でも存在しないこともあるし、それがゆるキャラとも限りません。

ドイツの1.FCケルンはリアルの山羊ですし、オランダのフィテッセはリアルの鷹だったりします。

↓フィテッセの鷹

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実は私が12年所属していたフォルトゥナ・デュッセルドルフにはマスコットは存在していません。

正確には30年くらい前にはいたのですが、色々な背景がありなくなってしまいました。

↓かつて存在していたマスコット

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利権の問題などもありなくなったという話は聞きましたが、実はクラブは2010年代にこのマスコットを復活させようという動きをしたことがあります。

やはりマスコットはグッズを作ることもできるし、新しいシンボルにもなりますし、戦略的なマーケティングにおいては非常に重要な存在になり得ます。

しかしこの動きは、ファン・サポーターの声によって白紙となりました。

彼らの言い分はこう。

「自分たち(ずっと応援してきたファン・サポーター)はマスコットの存在がなくても応援をしてきたし、そこにアイデンティティがあるからこそ、苦しいとき歩みを共にしてきた。急にクラブ側(の新しい首脳陣)がマスコットを復活させてシンボリックな存在にしていきたいと言われても、簡単に受け入れられるものではない。ましてそれがビジネス的視点が背景にあるのだとしたら、それは間違った考えである。このクラブはみんなのものであり、思いつきでビジネスに利用することには賛同できない」

なんとも正論であり、これを聞いたときはグウの音も出ませんでした。

そして結局この話は白紙に戻ったのでした。

クラブが誰のものか、この本質に問いかける主張だったと思います。

マスコット総選挙2022

話が少し逸れましたが元に戻すと、今はJリーグマスコット総選挙2022の真っ只中。

ホーリーくんは過去9大会で最高位は24位(/39クラブ中、2016年)。

ただし当時の出馬マスコット数と比較すると、毎年戦いは熾烈化していっています。

2021年は34位でしたから、ホーリーくんの人気はまだまだです。

それでも今年はこれまで以上にこのマスコット総選挙にクラブを上げて取り組んでいます。

昨日あった中間発表ではナント19位という数字で、スタッフ一同驚いていますし、一方で色々な可能性を感じています。

ファン・サポーターに呼びかけるだけではなく、パートナー企業、ホームタウン行政、支援してくれているアーティストなど、こちらからも能動的に声掛けさせてもらってますが、有り難いことに皆さんが積極的に協力してくれています。

もちろん強制ではないですが、皆さんが巻き込まれていってくれている感覚はすごくあります。

そしてそれが中間発表とは言え、19位という数字に表れてきました。

このマスコット総選挙への取り組みは、しばらくファン・サポーターやパートナー企業、ホームタウンの多くの方々の共通テーマとして話されるはず。

我々にとってもアイスブレイクの話題として最適だと思います。


クラブが地域のプラットフォームになっていく。

この考え方や表現はすでにどこのクラブ関係者も理解しているでしょう。

でもこのマスコット総選挙もまた、そういう存在になり得るということを理解して取り組めているクラブはまだまだ多くないかもしれません。

私はそれを長崎で、ヴィヴィくんから学びましたし、それを水戸で体現していこうと奮闘しています。

中間発表まではおそらく応援してくださる皆さんご自身の票が中心です。

そしてここからは皆さんが巻き込んで下さった方々の数字が大きく影響してくるフェーズに入ります。

このマスコット総選挙をきっかけに、是非仲間をファミリーを増やしていただきたいです。

やってみるとハマったってこと、意外と経験あるはずですから、是非お友達やご家族を巻き込んでください。

コロナ禍だからこそ、オンライン上での人と人との繋がりや感情を共有する機会は大切だと思ってます。

是非、皆さんと一緒に今年のJリーグマスコット総選挙2022の結果を楽しみたいです。

応援依頼演説的なNoteになりますが、興味を持って下った方はよろしくお願いします。

2/4まで、対選本部長瀬田、頑張ります。


頑張るときはいつも今

瀬田元吾


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