喘息、アレルゲン免疫療法、抗体医薬など

今回は抗体医薬2報、アレルゲン免疫療法3報、気管支喘息5報、薬物アレルギー・過敏症1報、アトピー性皮膚炎2報、その他3報です。

<抗体医薬>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34447843/
54歳女性。デュピルマブの投与により全身性ステロイド依存から離脱できたアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の症例(三重中央医療センター)
World J Clin Cases. 2021 Aug 16

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34422489/
好酸球性食道炎に対してベンラリズマブによる治療に成功した症例の報告(米国)
Cureus. 2021 Jul 18

<アレルゲン免疫療法>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34429002/
局所アレルギー性鼻炎(LAR:皮膚プリックテストが陰性で吸入アレルゲンに対する血清中の特異的IgEが検出されないが,鼻アレルゲン誘発試験が陽性)で喘息を併発している成人への12ヶ月間のダニ舌下免疫療法(SLIT)の二重盲検プラセボ対照試験:SLIT群では症状スコアが改善し、1秒量が有意に増加した(ポーランド)
J Asthma. 2021 Aug 24

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34422846/
複数抗原感作のあるアレルギー性喘息に対するダニ舌下免疫療法(SLIT)のダニ単独感作喘息を対照とした効果の検証:ダニ感作喘息患者は他の抗原の感作有無にかかわらず、3年間のSLIT後に同様の有効性を示した。ただし3種以上の抗原感作を持つ患者では初期反応が遅かった(中国)
Front Med (Lausanne). 2021 Aug 5

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34429614/
成人イネ科花粉症に対するデュピルマブ併用皮下免疫療法(SCIT)の第2a相多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験:16週間のデュピルマブ併用はSCITの忍容性を改善する可能性があるが、SCIT単独と比較して抗原チャレンジ後の鼻症状を改善させることはなかった(米国)
J Asthma Allergy. 2021 Aug 16

<気管支喘息>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32867889/
内臓脂肪面積(VFA)と喘息の関連の前向き評価:VFA高値群の患者は高齢で、喘息罹患期間が長かった。喀痰中のIL-6とIL-8が高値で,FeNOと血中好酸球の割合が低かった。VFA高値群では増悪、予約外受診のリスクが有意に増加していた(中国)
Allergy Asthma Proc. 2020 Sep 1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34433366/
電子タバコが喘息の有病率に及ぼす影響についてのシステマティックレビュー:13件の横断研究を統合した結果、電子タバコの使用が喘息罹患と相関した(オーストラリア)
J Asthma. 2021 Aug 25

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33548259/
喘息のある青年は喘息を持たない同世代の若者と比較して、精神衛生指標のスコア(Mental Health Index-5)に違いはなかったが、4段階のリッカート尺度で健康状態を良好または優れていると認識している可能性が低かった(オランダ)
J Pediatr. 2021 Jun

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33837141/
COVID-19のパンデミックでは喘息の自己管理の影響が浮き彫りとなった。喘息患者がコントロールされていない喘息のリスクをどのように認識しているのかはこれまであまり研究されてこなかったが、健康意識を対象とした介入研究が必要である(英国)
Thorax. 2021 Sep

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34419535/
ダニ糞便ペレットの栄養膜に存在するDer p 37はダニアレルギー患者の3分の1のIgE抗体と反応し、特異的な好塩基球およびCD4+ T細胞の活性化を誘発し、喘息のリスク(OR=3.1)が高かった(オーストリア)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Aug 19

<薬物アレルギー・過敏症>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33914051/
ペニシリンアレルギーのある患者にセファロスポリンを使用しないようにという電子カルテのデフォルトアラートを削除することで、このような方へのセファロスポリン投与が増加した(米国)
JAMA Netw Open. 2021 Apr 1

<アトピー性皮膚炎>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34403658/
中等症・重症のアトピー性皮膚炎に対するupadacitinib(JAK阻害薬)+外用ステロイド(AD Up試験):upadacitinib 15mg or 30 mgはプラセボとの比較において52週目まで有効性が維持された。15mg群/30mg群で52週目にEASI-75を達成したの割合は50.8%/69.0%、viga-AD 0/1を達成した患者の割合は33.5%/45.2%、WP-NRS改善度4以上を達成した患者の割合は45.3%/57.5%であった。死亡例はなかった。15mg群/30mg群で52週目にEASI-75を達成したの割合は50.8%/69.0%、viga-AD 0/1を達成した患者の割合は33.5%/45.2%、WP-NRS改善度4以上を達成した患者の割合は45.3%/57.5%であった。死亡例はなかった。
(米国など)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Aug 14

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34411363/
アトピー性皮膚炎(AD)の原因遺伝子であるフィラグリン遺伝子(FLG)変異があるAD患者は表現型が異なり、早期に発症し、成人まで遷延し、重症度が高く、喘息やアレルギー感作のリスクが増加し、免疫抑制剤に対する反応が異なる(オランダ)
Clin Exp Allergy. 2021 Aug 19

<その他>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34411036/
アトピー性皮膚炎(AD)、食物アレルギー(FA)、アレルギー性鼻炎(AR)、喘息の発症に寄与する腸-皮膚軸に関わる免疫系とマイクロバイオームのメカニズムと腸-皮膚軸を利用した治療的介入についての総説。ADの存在下での経皮感作は、腸管や下気道にTh2アレルギー性炎症を誘発し、ARや喘息を発症する素因となる。プロバイオティクスはADの予防・治療に効果があるとされるが、他のアレルギー疾患との関係は不明。また、保湿剤の予防的使用のADに対する効果は一定していないが、ADや気道炎症の緩和に食生活の改善が有効であることを示す証拠がいくつかある。FAに対する皮膚免疫療法の検証には無作為化比較試験が必要である(シンガポール)
Curr Opin Gastroenterol. 2021 Aug 18

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34429814/
成人でのアレルギー性鼻炎(AR)と喘息の有病率・危険因子の調査:AR、喘息、喘息合併ARの有病率は13.9%、9.8%、2.9%。ARの20.6%が喘息を併発し、喘息の29.4%にARが併発。年齢が40歳以上であること、喘息の家族歴があること、中等度から重度のARであること、食物アレルギーがあること、真菌アレルギーがあることが、喘息とARの合併の独立した危険因子(中国)
World Allergy Organ J. 2021 Jun 25

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34453861/
14か国での小児アレルギー疾患の有病率の変化の調査:思春期では10年で-1.32%,小児では-0.44%であり、増加傾向ではなくなったが、その傾向が国によって大きく異なった(英国、ニュージーランド、台湾など)
Pediatr Allergy Immunol. 2021 Aug 28

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