アスピリン減感作(脱感作)療法など。

最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。
今回は抗体医薬3報、アレルゲン免疫療法4報、食物アレルギー3報、薬物アレルギー・過敏症4報、気管支喘息7報、アレルギー性鼻炎3報、アトピー性皮膚炎3報、その他・基礎研究4報です。

<抗体医薬>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34530020/

鼻ポリープ合併慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)に対するオマリズマブの第3相無作為化プラセボ対照比較試験(POLYP 1、POLYP 2)の非盲検延長試験結果:オマリズマブ継続患者は、52週目までにさらなる症状改善が得られた。

J Allergy Clin Immunol. 2021 Sep 13

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34022014/

プレドニゾン依存性の喘息で、好酸球性と好中球性の混合気管支炎を伴う増悪を起こした58歳の女性:STAT3の新規病原性突然変異によって引き起こされる常染色体優性の高IgE症候群・IL-5依存性の好酸球増加症が見つかり抗IL-5抗体製剤の治療が奏功した(カナダ)

Chest. 2021 Apr

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34550555/

食物アレルギーに対して経口免疫療法(OIT)とオマリズマブを組み合わせた治療戦略:OIT単独と比較してQOLが改善する(フランス)

Clin Rev Allergy Immunol. 2021 Sep 22

<アレルゲン免疫療法>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34551124/

血清中のダニ特異的IgE、IgG2、IgG4を組み合わせることではアレルゲン免疫療法の継続・適応を決定するためのマーカーとして使用できる可能性がある(欧州)

Allergy. 2021 Sep 22

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32791163/

アレルゲン免疫療法(AIT)におけるIgE、IgG4、IgGのエピトープ認識は複雑である(スウェーデン)

J Allergy Clin Immunol. 2021 Mar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32890575/

ダニ舌下錠300IR(アシテア)はダニによるアレルギー性鼻炎に対して有効かつ安全な治療法(第III相国際共同二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験)

J Allergy Clin Immunol. 2021 Mar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33039478/

アレルゲン特異的免疫療法期間中のILC、単球、DCのモニタリングは、新しいバイオマーカー戦略として役立つかもしれない。

J Allergy Clin Immunol. 2021 May

<食物アレルギー>

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33217410/

2Sアルブミンへの感作を原因とする食物アレルギー(ピーナッツ、木の実、ゴマ、カシューナッツ、ピスタチオなど):2Sアルブミンは多様であるが、共通のジスルフィド結合したコアを持ち、物理化学的特性も似ている面がある(米国)

J Allergy Clin Immunol. 2021 Apr

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33965093/

保育園や学校での食物アレルギーの管理:学校内での使用を目的として、生徒に個人の注射器を用意させるのではなく、エピネフリンの自己注射器をストックしておくことを提案。地域の状況に合わせて推奨事項を調整(カナダ)

J Allergy Clin Immunol. 2021 May

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34586690/

英国アレルギー・臨床免疫学会(BSACI)の卵アレルギー患者管理についてのガイドライン:卵アレルギーは乳幼児期に発症することが多く、有病率は小児で約 2%、成人で約 0.1%

Clin Exp Allergy. 2021 Oct

<薬物アレルギー・過敏症>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34547440/

COVID-19 mRNAワクチンへの過敏反応のレビュー:1回目のワクチン投与で即時型の過敏症反応が確認された場合、抗ヒスタミン剤またはステロイド剤の前投薬により2回目接種が許容されうる(米国)

Ann Allergy Asthma Immunol. 2021 Sep 18

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33307116/

アスピリン増悪性呼吸器疾患(AERD)におけるアスピリンチャレンジ、アスピリン減感作、アスピリン維持療法についての包括的な検討。適切な候補者の特定、適応と禁忌、内科的および外科的な最適化戦略、プロトコル、減感作中の医学的管理、減感作後のアスピリン維持療法に関する推奨事項のレビュー(米国)

J Allergy Clin Immunol. 2021 Mar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32671928/

アスピリン増悪性呼吸器疾患(AERD)に対するアスピリン減感作療法において、臨床的に重大な消化管出血の発生率は0.92%であり、アナフィラキシーの発生率も0.92%(米国)

Int Forum Allergy Rhinol. 2021 Feb

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34587281/

薬物過敏症反応の分野におけるアレルギー学的な推奨事項のポジションペーパー:主な項目は、危険因子、病因、症状、皮膚テストの役割、in vitroテスト、薬剤誘発テストの適応と禁忌、化学療法剤にアレルギー反応を示す腫瘍性患者の減感作など

Allergy. 2021 Sep 29

<気管支喘息>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34547084/

活動性喘息の児童において,学校全体での総合害虫管理プログラムや教室でのHEPAフィルター清浄機の使用は,喘息の症状日数を有意に減少させなかった。ただしベースラインのアレルゲンレベルや喘息症状を考慮する必要がある(米国)

JAMA. 2021 Sep 7

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34563736/

重症好酸球性喘息への抗IL-5抗体の追加は、1秒量低下の抑制と関連していた。この観察結果の因果関係は、今後の前向き対照研究で確認が必要(ベルギー)

J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Sep 23

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34550855/

呼気一酸化窒素分画(FeNO)の日内変動は喘息治療の早期治療効果の予測に寄与する(福島県立医大)

J Asthma. 2021 Sep 22

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34550849/

ビデオによる直接観察療法(DOT)ベースの新しいデジタル喘息プログラムの実現可能性の評価:アドヒアランスの中央値は80%以上。543件の動画が投稿されたが、最も多かったのは「不十分な吸気」と「息止め」であった。参加日数が7日以上でビデオ本数が4本以上の16名の患者では、吸入器エラー率(エラーが1回以上発生したビデオの割合)の中央値が1週目から2週目にかけて減少した(73%対8%、p≦0.05)(米国)

J Asthma. 2021 Sep 22

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34556999/

人口を代表するWest Sweden Asthma Studyにおいて、重症喘息患者の有病率と臨床的特徴を評価:重症喘息の有病率は、成人無作為抽出標本では1.1%、喘息標本では9.5%(スウェーデン)

J Asthma Allergy. 2021 Sep 16

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34555527/

LAMA単剤療法を行ってICSと併用しない場合、喘息増悪のリスクが高まるため、ICSを併用せずにLAMAを処方してはならない(オランダ、ベルギー)

Pulm Pharmacol Ther. 2021 Sep 20

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34561293/

背景 喘息患者における短時間作用型β2作動薬(SABA)の処方とそれに関連する喘息関連の臨床転帰について5大陸24カ国のプライマリーヘルスデータを評価:国,医療環境,喘息の重症度にかかわらず,SABAの大量処方と不良な臨床転帰との関連が示された。

Eur Respir J. 2021 Sep 24

<アレルギー性鼻炎>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34567526/

アレルギー性鼻炎アプリMASK-airによる日々の症状モニタリングは、評価者間信頼性が高く、妥当性、信頼性、反応性が中程度であり、症状負荷の信頼性の高い測定法であることが示唆された。

Clin Transl Allergy. 2021 Sep 19

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34582944/

アレルギー疾患と社会的影響の観点からマウンテンシダーについてのレビュー:マウンテンスギは米国中南部の冬期のアレルギー性鼻結膜炎の主要原因。主要な治療戦略は、アレルゲンの回避、薬物療法、および皮下免疫療法の組み合わせ

Ann Allergy Asthma Immunol. 2021 Sep 25

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34569536/

アレルギー性鼻炎アプリMASK-airは高齢者(65歳以上)や教育水準が低い患者でも短時間のトレーニングで利用可能であり、治療へのコンプライアンスを改善した

Int Arch Allergy Immunol. 2021 Sep 22

<アトピー性皮膚炎>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34558075/

早期発症のアトピー性皮膚炎の重症化は小児期以降の吸入アレルゲン感作およびアレルギー性鼻炎と関連(デンマーク)

Allergy. 2021 Sep 24

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33109308/

アトピー性皮膚炎の重症度は抗原感作および好酸球増加の程度と相関。ダニ感作や好酸球の増加は、アトピー性皮膚炎の発症率の増加や重症度スコアの高さに関係していた(韓国)

Allergy Asthma Proc. 2020 Nov 1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33861780/

バングラデシュの農村部に住む5歳未満の子ども2242名を対象にした調査:重度のアトピー性皮膚炎は患児と家族のQOLに大きな影響を与える。医学的および心理社会的な治療が必要

PLoS One. 2021 Apr 16

<その他・基礎研究など>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34503983/

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)でのプレドニゾロン・イトラコナゾール併用療法とプレドニゾロン単剤療法の比較:最初のABPA増悪までの平均期間は両群間で差なし。併用群で1年後のABPA増悪を抑制する傾向あり(インド)

Eur Respir J. 2021 Sep 9

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34560105/

気道細菌の標準化された溶解液であるOM-85の経気道的投与によりマウスのアレルギー性喘息(卵白アルブミンモデルおよびアルテルナリアモデル)が抑制された。(米国)

J Allergy Clin Immunol. 2021 Sep 21

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33340608/

タイプ2炎症環境でのインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)の発現低下は、好酸球性副鼻腔炎・鼻茸の鼻上皮細胞におけるSOCS1の発現を低下させることでIL-13シグナルを増幅させる

J Allergy Clin Immunol. 2021 May

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34587616/

アルテルナリア曝露がマウス気道上皮に炎症反応を誘発し、防御機構を低下させるというRNA-Seq解析のデータ(昭和大学)

Int Arch Allergy Immunol. 2021 Sep 29

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