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ガンダムはジェットストリームアタックをいかに切り抜けたか?軍人になったホワイトベースのクルー達~機動戦士ガンダム 第24話「迫撃!トリプル・ドム」感想

「おふざけでない!」

キシリア「おふざけでない!まったく問題にならぬプランです!地球連邦軍の包囲の中からマ・クベはどれだけ貴重な資源を送り届けてくれたか、お忘れか?モビルアーマーの実用化もすべて」
ジオン将校「おそれながら、それでありましては軍の権威が」
キシリア「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。その上であなたの面子も立ててあげましょう。地球での白兵戦用のモビルスーツはシャア中佐にまわす手立てをつけなさい」
ジオン将校「しかし、今すぐという訳には」
キシリア「当たり前です。シャアがマッドアングラー隊に降りるまでに間に合えばよい。それにだ、各部隊に配属中の重モビルスーツで地球の戦闘に耐える物があるはずです、それをまわす事も考えるべきでしょう」
ジオン将校「あ、はあ」
キシリア「ドムをまわしましたか?三連星に」
ジオン将校「は、既にマ・クベと合流すべく衛星軌道より発進した頃でありましょう」
キシリア「それでよい、それで。すべて臨機応変にな」

今回はキシリアの叱責シーンから始まる。キシリアのセリフや将校達との会話からその怒りの原因を探ってみよう。

キシリアはマクベのもとに増援を送ることを考えている。しかし、部下の将校達が考えた増援プランは「まったく問題にならぬ」プランだった。

連邦軍のオデッサ作戦の情報はキシリアにも届いているはずである。資源に乏しいジオンが戦争を継続するには、オデッサ作戦を凌ぎ、マクベ採掘基地を守らなければならない。そのための増援部隊の計画である。

ところが部下の将校は「軍の権威」にこだわってマクベにまともな増援部隊を送ることに躊躇している。マクベに増援を送れば、その戦線が危ういと軍部内で噂され、キシリアの権威が失墜するとでも思っているのだろうか。

この将校達にはジオンのおかれた状況やオデッサ作戦の重要性が理解できていないようだ。

昇進のシャア

懐かしい名前がでてきた。ドズルの部下だったシャアがキシリアのもとで中佐に昇進している。

第12話「ジオンの脅威」でドズルが手放したシャアにキシリアの部下が接触するシーンがあった。

ガルマの死の責任を取らされ一度は失脚したシャア、ここ十数話ほど出番が全くなかったが、今後の活躍に期待である。

結局ドム何機?

ここで一つ疑問が残る。キシリアは「ドムをまわしましたか?」と言って、三連星とともにドムをマクベのもとに贈ろうとしている。

しかし、マクベのもとにはすでにドズルからランバ・ラルに届けるようにと言われていたドム3機がすでにあるはずである。

このドムはマクベが途中で握り潰し、結局ランバ・ラルのもとには届けられることはなかったわけだが、これとは別にさらにドム3機をおくろうということだろうか。

マチルダとアムロ

マチルダ「おはよう」
アムロ「え?あ、おはようございます、マチルダ中尉」
マチルダ「これは?」
アムロ「ガンダムのパワーアップパーツ用の備品です。結局修理は自分でやるようになりますから整理してたんです」
マチルダ「さすがですね」
アムロ「ど、どちらへ?」
マチルダ「ブリッジへ上がります」
アムロ「・・・ご案内します」
マチルダ「いいわ」
アムロ「い、いえ、これでも要領があるんです、近道の!」
マチルダ「じゃ」

視点が変わってホワイトベース。アムロとマチルダの会話から始まる。

アムロは「近道がある」というどうでもいいようなとってつけた理由で、マチルダをブリッジまで案内することを提案する。なんとかマチルダと一緒にいる時間を伸ばそうとしているのだ。

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鼻を触る仕草は心理学的には自分の動揺を隠したり、好意を悟られないようにしようとするものだ。

移動中もチラチラとマチルダのことを見ている。

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こうした平常時の何気ないやりとりを丁寧に描くことで、それが失われることの大きさ、戦争の無情さを描こうとしている。

カイ「あのマチルダさんってよう、俺好みってとこかな。きりっとしててやさしくてよう!マチルダさんみたいなの恋人だったら最高だよな」
マチルダ「手の方がお留守のようね」
カイ「えっ?・・・お、おはようございます、ちゅ、中尉!!」
マチルダ「素敵な恋人探してね」
カイ「ちゅ、中尉、あの、恥のかきついでであります!!のちほどご一緒に写真を撮らせていただきたく、お、お願い申し上げます!!」
マチルダ「ええいいわ。今すぐでもね」
カイ「は、光栄です!!」

カイもアムロ同様マチルダに好意をよせているようだ。このあたりの演出は昭和のアニメといった雰囲気が強い。

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「素敵な恋人探してね」というマチルダの返しが秀逸だ。大人の余裕、場慣れしている感が存分に伝わってくる。なお、マチルダの返しは「別に恋人を探せ」という趣旨なのでやんわりとお断りされたということである。

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よく見るとカイの失態を見たアムロが口元を押さえて笑いを堪えている。お前も人のこと言えないぞ。

カイの提案でマチルダと記念写真を撮ることとなった。アムロもしれっと混じっている。

アムロの体が右側にすこーし傾いているのも、少しでもマチルダの近くにいたいというアムロの無意識の現れである。

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それにしてもカメラのイメージが古臭い。それに12枚しかコピーできないというのも令和のデジタル時代を生きる我々にしてみれば考えられない設定である。

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その時代の人たちが未来をどのように想像していたのかを垣間見ることができるという点も昔のアニメを見る楽しみの一つだ。

「イヤッホゥーッ!」

ブライトのもとにマチルダを送り、部屋をあとにするアムロ。マチルダが絡むととたんにだらしない顔になるのがアムロの定石。

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今回もこの顔である。

アムロ「イヤッホゥーッ!」

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イヤッホゥーッ!

ルウム戦役

連邦士官「レビル将軍、空軍のパトロール隊がキャッチした報告書であります」
レビル「うむ。ジオンの戦艦ザンジバルが降りてきたと?」
エルラン「その件は、このビッグトレーからも確認しておりますが」
レビル「いや、問題はそのあとだ。黒い三連星が新型モビルスーツで来た。ルウム戦役の時に私を捕虜にした兵士達だ。手ごわいぞ、これは。オデッサ・デイの開始を早めるしかないな、エルラン」

「ルウム戦役」は第2話「ガンダム破壊命令」でパオロが言及していた。

パオロ「ルウム戦役で5隻の戦艦がシャア1人の為に撃破された。に、逃げろ。」(第2話

このパオロのセリフと今回のレビルのセリフからルウム戦役での連邦軍の壊滅状況が窺える。

この戦いで、シャア一人に戦艦5隻を沈められ、黒い三連星にレビルも捕らえられた。連邦軍の損害は甚大だ。よくここまで盛り返したものだ。

あわない人達

ガイア「アッハハハハ、まあ任せろ。シャアと我々とは訳が違うて。早速木馬と白いモビルスーツとやらを見せてもらおうか」
ガイア「ま、まあいい。オルテガ、マッシュ、行くぞ」
オルテガ「おう!」

「黒い三連星」のガイア、オルテガ、マッシュがドムを前にマクベとご対面である。

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ガイアが「任せろ!」とマクベの肩に手を乗せている。非常に馴れ馴れしい態度である。

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ガイア達は喋り方や立ち居振る舞いからして、ランバ・ラルと同じような「戦ばか」といった印象を受ける。ただし、ランバ・ラルのようなノーブルさは全くなく、粗野な印象だ。

マクベはランバ・ラルのことを嫌っていたとはいえないまでもあまり気にもしていなかった。

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しかし、なれなれしいガイアの手を払い除けている様からして、マクベは「コイツらとは馬が合わないな」と考えていることがはっきりみてとれる。

戦闘開始!

黒い三連星のドム3機がホワイトベースに向けて進軍を開始した。

「重モビルスーツ」というだけあってどっしりとしたフォルムで重厚感がある。しかも、これまでのモビルスーツとは違ってホバー推進をしており、見た目とは違って動きも機敏だ。

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ただ、縦一列に並んで進んでいるのだが、作画が少々残念なのでドムが4機いるようにも見えてしまう。

ブライト「何か?」
セイラ「敵です。モビルスーツ3機、2時の方向から進入してきます」
ブライト「迎撃体制、ミライ、頼む」
ミライ「はい」
ハヤト「操縦系が上に付いたのはいいけど、一人でうまくやれるかなあ?」
カイ「ようハヤト、大丈夫か?」
ハヤト「カイさんだって一人でやってるんでしょ、できますよ!」
カイ「ハハハハハッ!」

ハヤトのガンタンクと、カイのガンキャノンで迎撃体制を敷く。

マチルダが運んできたパワーアップパーツのおかげか、これまで移動と攻撃でパイロットが2人必要だったガンタンクは今回から1人で操縦できるように改造された。

セイラ出撃!

マーカー「第2監視網に入りました、動きが速いです」
ミライ「ガンダムはどうなっていて?」
セイラ「そ、それが、Gアーマーのチェック中です。それに、あたしに降りてこいって」
ミライ「誰が?」
セイラ「技術大佐のセキさんです。Gファイターに乗れということで」
ミライ「そんな。ジョブ・ジョンじゃいけないの?彼だってパイロットよ」
セイラ「モビルスーツの経験者ということです」
ミライ「そう。その席にはフラウ・ボゥにでも代わってもらいましょう」
ハヤト「ミライさん、オーバーホールしたエンジンです、慣らし運転を忘れないでください」
ミライ「了解」
セイラ「じゃフラウ・ボゥ、頼むわ。行きます」

接近するモビルスーツの動きが素早いことにホワイトベースも気づいた。急いで迎撃態勢をとらねばならない。

しかしガンダムの準備が遅れている。しかも、セイラがいきなり技術大佐のセキに呼ばれて新兵器Gファイターに搭乗することに。

ミライは「ジョブ・ジョンじゃいけないの?」という。前回、ラストで和解した二人、ブライトが戦線を離脱している状況でブリッジを協力してなんとかマクベの襲撃を切り抜けた戦友である。ミライはセイラがブリッジを離れることに不安を感じているのかもしれない。

なお、技術大佐のセキは、アムロの父親テム・レイ(大尉)と同様に特殊技能兵であろう。

特技兵(とくぎへい)・特殊技能兵(とくしゅぎのうへい)とは軍隊の兵士の中で何らかの特殊な技術や資格を習得している者を指す。(Wikipediaー特技兵

階級は大佐なのに中尉のマチルダの指揮下にあるのは、通常の階級とは別枠での登用だからであると思われる。

マチルダ「Gファイターのパイロットはどうしました?」
アムロ「来ました」
マチルダ「急いで!」
セイラ「は、はい(これ、Gファイターじゃない。たしかGアーマーって)大丈夫かしら?」
クルー「一度でもガンダムに乗ってりゃ簡単なもんですよ」
マチルダ「では、メカを信頼してね。ブリッジで見せてもらいます」
アムロ「は、はい。では。セイラさん、い、いいですか?」
セイラ「チェックが終わってないわ、もう少し待って」

さて、今回もガンダムパワーアップメカが登場する。その名はGアーマー。Gファイターとよく似ているが、左右にガンダムの盾が装着されている。

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前回、Gファイターはガンダムの危機を見事に救ったが、今回のGアーマーはどうか!?

飛べないホワイトベース

オムル「エンジンの出力がアップしません。これでは離陸しても・・・」
ミライ「専門家に見てもらう?」
オムル「は、はい」
ミライ「フラウ・ボゥ、マチルダ中尉とセキ大佐を至急呼んでちょうだい」
マチルダ「ホワイトベースどうした?なぜ離陸しないのか?」
ミライ「メインエンジンの出力が上がりません」
マチルダ「なに?大佐!」
ミライ「フラウ・ボゥ、アムロ、セイラのGアーマーは?」
フラウ「セイラさんが手間取ってます、ガンダムとのドッキング操作がわからないって」
マチルダ「構いません、アムロに任せて発進させな、あっ、大丈夫です、Gアーマーやらせなさい」
ミライ「はい、Gアーマー、アムロ、セイラ、発進です」
フラウ「はい、アムロ、セイラさん、発進願います」

敵モビルスーツの接近を把握し、離陸しようとするホワイトベース。マチルダ隊によってエンジンの修理がなされていたが、出力が上がらない。

敵はモビルスーツ3機なので空に逃げてしまえば追撃を免れることができるが、エンジン整備が間に合っていない。

このシーン、テキパキと指示をするマチルダの方をミライがチラッと見る。それに気づいたマチルダが指示をとりやめる。

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現状、ホワイトベースの艦長はミライだ。その頭を飛び越えてマチルダが指示している状況に一瞬ムッとしたのかもしれない。

セイラが技術大佐のセキに呼ばれてGアーマーに搭乗することとなったときも、ミライからはそのような指示は出ていない。マチルダ隊の方からの指示である。

こうしたことが繰り返されては自分の立場がない。こうした状況に不満を持つということはミライが艦長としての矜持を持ち始めているということだ。

第22話「マ・クベ包囲網を破れ!」の頃から考えるとミライの成長が著しい。

左?右?

カイ「左か?」

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「左か?」と言いながら右方向を見るカイ。この手のミスはもはやおなじみである。

Gアーマー出撃!

アムロ「セイラさん、左へ」
セイラ「えっ?あっ、ああっ!」
アムロ「セイラさん、Gアーマーの時はそちらの方がコントロールしやすいんです、頼みます。赤外線モニターいいですか?Gアーマーの主砲は僕が撃ちますから。どこだ、敵は?うしろか!急速反転」!
セイラ「り、了解」
アムロ「もっと一杯に引いてください」
セイラ「ぅ・・・ぅ・・・」
アムロ「もっと力一杯踏んで」
セイラ「・・・ううっ」
アムロ「遅かったか。まずいな、大きいだけ小回りが利かない。しかし、Gアーマーのビームキャノンのパワーならガンダムの三倍は持つんだ、なんとか。左90度旋回、ビームキャノン、照準に入ります」
セイラ「り、了解」
アムロ「そう、40度で入ってください。ようし、いけっ」

新兵器Gアーマーが出撃。前回のGファイターは「上にガンダムを乗せる」という大活躍を見せてくれたが、Gアーマーはどんな働きを見せてくれるのだろうか。

アムロがセイラに「左へ!」とか「急速反転!」とかいろいろ指示を出す。しかし、セイラはその指示についていけていない。新兵器とはいえ、アムロとセイラの操縦技術の差は歴然としている。

Gアーマーは上空を右往左往するだけで効果的な攻撃ができていない。これならガンダムで出た方がよかったのではないか?

アムロも「まずいな、大きいだけ小回りが利かない」とGアーマーの欠点を愚痴っている。

一応「Gアーマーのビームキャノンのパワーならガンダムの三倍は持つんだ」とGアーマーでの出撃理由を説明してくれてはいるが、とってつけたような説明ゼリフだ。

やはりガンダムで出た方がよかったのではないか?

敵モビルスーツ接近!

セキ「シンクロモーターそのものは問題ない。変じゃないか」
連邦兵「こちらも異常ありません」
セキ「調べなおせ」
マーカー「Gアーマー苦戦中です。ガンキャノン、ガンタンク後退してます」
ミライ「マチルダ中尉」
マチルダ「大丈夫、セキ大佐はやってくれます。フラウ・ボゥ、私のミデア機、いつでも出撃できるようにと伝えてください」
フラウ「はい!」

やはりエンジンが始動しないホワイトベース。まだ離陸はできそうにない。

ここで、現在の状況を確認してみよう。

まず、2時の方向から黒い三連星のドム3機が接近中である。

その接近を食い止めるために、陸からはハヤトがガンタンクで、カイがガンキャノンで出撃、空からはセイラとアムロが新兵器Gアーマーで出撃している。

その隙にホワイトベースは戦場からの離脱を狙う。しかし、ホワイトベースはエンジン出力が上がらず立ち往生。

ドム3機の機動力の前にガンタンク、ガンキャノンも足止めに苦戦しているどころか、ジリジリと後退。ホワイトベースに迫られつつある。Gアーマーは今のところなんの役にも立っていない。

3機のドムに取り付かれてしまえば、せっかく修理したホワイトベースがまた破壊されてしまう。

居ても立ってもいられなくなったのか、マチルダはフラウボウにミデアをいつでも出撃できるように準備するよう指示を出す。

ガンダム発進!

アムロ「だいぶ入られてしまいました。山陰に入ってください」
セイラ「ガンダムになるわけ?」
アムロ「はい」
セイラ「パーツのドッキング、できるかしら?」
アムロ「できますよ、セイラさんなら。・・・セイラさん、いつも僕にそう言ってくれました」
セイラ「お返しってことね。やってみるわ、アムロ」
アムロ「パターンG、オートマチック、セット。異常がありましたら、いえ、大丈夫!いけます!」
セイラ「4、3、2、1、0」
アムロ「大丈夫ですか?セイラさん」
セイラ「コンピューターが全部やってくれたわ。さ、アムロ、ホワイトベースへ急いで」
アムロ「了解!」

どうやら今回の新兵器Gアーマーはガンダムを格納した状態のGファイターのようだ。

かなりホワイトベースに接近されてしまった状況で、Gアーマーからガンダムが離脱するようだ。

…うーむ、であればやはり初めからGファイターとガンダムで出撃した方が良かったのではないかという気もしないでもないが、まぁこんな回もあるさ。

なお、このシーンではガンダムはうつ伏せ状態で格納されている。

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しかし、次のシーンでは仰向け状態になっている。

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単なる作画ミスであろう。まぁ、こんな回もあるさ。

砲撃を受けるホワイトベース

マチルダ「2、3番は圧力が上がりました。あとは駄目です、むしろ下がってます」
セキ「原因はわかりました、3分待ってください」
マチルダ「2分ですませてください。あっ」
ミライ「主砲、撃て。前部ミサイル水平発射!」
マチルダ「モビルスーツか」

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ついにホワイトベースにドムの攻撃が命中する。すかさずミライが主砲での反撃を指示。

ミライにとっては初めての主砲発射命令である。キリっとした口調にも初々しさがある。

ホワイトベースのエンジンは一部始動したものの、まだ全快ではない。

あと3分ほしいというセキと2分で済ませてくださいというマチルダのやりとりは戦争ものっぽくって好きだ。

アムロvs黒い三連星

アムロ「あそこか。これ以上やらせるか!」
ガイア「うっ、よけた。俺の狙いを」

ガンダムがドムに急襲を仕掛ける。そこをガイアのドムがガンダムに向けてミサイルを発射。

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空中でからだをねじるようにしながらギリギリでミサイルを回避するガンダム。カッコいい。

ミデア発進!

マチルダ「あと一息でホワイトベースは生き延びるというのに、こんな所でむざむざと傷つけられてたまるものか」

マチルダがミデア機に乗り込み発進する。独り言で「(ホワイトベースを)こんな所でむざむざと傷つけられてたまるものか」とつぶやく。

マチルダが自分の気持ちを吐露するのは珍しい。マチルダは行動も発言も常にクールで、職務にも忠実である。その分、本心が分かりにくい。

しかし、胸の奥には熱い想いを秘めているようだ。マチルダの人間性が丁寧に描かれる。

ジェットストリームアタック!

ガイア「あのパイロットめ、ただもんじゃないぞ。オルテガ、マッシュ、モビルスーツにジェットストリームアタックを掛けるぞ!」

ドム3機がガンダムにジェットストリームアタックを仕掛ける。

説明しよう!ジェットストリームアタックとは、縦一列に並んだ重モビルスーツ・ドム3機で敵に突撃し多段攻撃を仕掛ける、黒い三連星の必殺技であ~る!

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このジェットストリームアタックにガンダムが立ち向かうシーンはとにかくカッコいいのだが、文字と静止画ではそのカッコよさをすべて伝えることは不可能なので、ぜひアニメで見てほしい。

まず、1機目のドムがガンダムに接近、サーベルでガンダムに斬りかかるが、ガンダムはこれをかわす。

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続いて2機目、バズーカでガンダムを狙う。しかし、ガンダムは姿勢を下げ、ギリギリのところでかわす。ガンダムの頭の上をミサイルがすり抜ける。

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この流れ弾が先行した1機目のドムに当たってしまわないのかは少々気になってしまうが、そんなことを考えている暇はない。すぐ次に3機目のドムがバズーカを構えている。

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3機目のドムのバズーカ発射!

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これも姿勢を下げつつ、バルカンを撃ちながらかわすガンダム。

アムロがすごいのはこの体勢からビームサーベルで反撃しドムのバズーカを破壊したところである。

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初見のジェットストリームアタックを見切っただけでなく、反撃までしてしまうアムロの操縦技術、戦闘センスは抜群である。

ガイア「いけるぞ、もう一度ジェットストリームアタックだ」

しかし、黒い三連星もタダでは引き下がらない。もう一度ジェットストリームアタックを仕掛ける。

壊れた盾を前にドムの攻撃に備えるガンダム。背後にはマチルダのミデア機が接近してくるのが分かる。

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今度はガイアが少し工夫してきた。ドムの胸元のバッジのような部分が激しく発光。これは目くらまし攻撃ということでいいのか。

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その背後からドムがバズーカでガンダムを狙う。

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ここでガンダムは逃げるのではなく跳躍しながらドムに向かっていき、ガイアのドムの背中を踏んで体を支え、ミサイルをよける。サーカスみたいなアクロバティックな動きだ。

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ガイア「ああっ、俺を踏み台にした!?」

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ガイアもギャグみたいな表情である。

そのままビームサーベルを突き出しながら前方へ突進、ドムを突き刺す!

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ジェットストリームアタック破れたりと思ったのも束の間、3機目のドムがすぐそこ迫っている。しかもガンダムはドムを刺突した状態で防御体勢をとることができない。ガンダムピンチ!

そこにマチルダのミデア機がドムに体当たり攻撃!ガンダムの危機を救う。

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マチルダ「そのまま地面に叩き付けるんだ。あっ、ああっ!」

しかし、ミデアはドムに取り付かれてしまった。ドムのモノアイが不気味に光る。

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オルテガ「この野郎、あと一息ってところを!」

オルテガのダブルスレッジハンマーがミデアのコックピットを直撃。マチルダさーん!!

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ミデアの援護もあってこの間にガンダムはドム1機を撃破。

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ドム1機を失い、攻撃手段にも乏しい黒い三連星は撤退を決意。戦いは終わった。

オデッサ作戦開始!

レビル「いいニュースだ。ホワイトベースはジオンの黒い三連星を退けて戦線に復帰したよ」
レビル「マ・クベの基地を叩くオデッサ作戦、本日午前6時をもって開始する」

マチルダが壮絶な戦死を遂げた直後、「いいニュースだ」とのセリフが入る。視聴者がマチルダの死に悲痛な想いに駆られているところに「いいニュースだ」である。視聴者の心を揺さぶる演出だ。

レビルは部下であるマチルダの死の報告を受けているはずだ。それを意に介する様子もなくオデッサ作戦の開始を宣言する。

たしかにホワイトベースのエンジンの修理がうまくいき、黒い三連星の攻撃を退け、戦線に復帰することは「いいニュース」である。

それはそうなのだが、「部下の死を悼むレビル」というシーンを入れてもよさそうなものだ。

しかし、それはしない。

もともとレビルの作戦でホワイトベースはマクベ軍を後方から攻撃する役割を担っていたから、レビルとしてはホワイトベースの戦線復帰こそ関心事であり、一人の部下の死、それも補給部隊の兵士一人の死はレビルにとっては日常茶飯事で一喜一憂するような事柄でもないのだろう。

これはレビルが冷酷で非道な人間だということではない。戦争時における指揮官とはそういうものなのだ。こういう指揮官を描き戦争のリアルを描くことこそが「機動戦士ガンダム」なのである。

軍人になったホワイトベースのクルー達

ブライト「・・・ミデア輸送部隊、マチルダ隊の戦死者に対して哀悼の意を表し、全員敬礼!」
アムロ「(マチルダさん、マチルダさん、マチルダさん、マチルダさん、マチルダさん、マチルダさーん!マチルダさーん!)」

空を飛ぶホワイトベース。エンジンの修理も無事終了した。すっかり元気になったブライトの姿も見える。ホワイトベースはまさにマチルダ隊のおかげで完全復活を遂げたのだ。

ブライトの号令に合わせてホワイトベースのクルーが敬礼をする。クルー達全員がホワイトベースに整列し、敬礼する様は実に綺麗で壮観である。

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敬礼をするハロの表情もいつもよりキリっとしている。

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第4話「ルナツー脱出作戦」ではパオロの宇宙葬の様子が描かれていた。

このとき、ホワイトベースのクルー達は誰一人敬礼をしていなかった。ホワイトベースがルナツーに到着したときはクルーはほぼ全員が民間人であり軍人ではなかったから、誰も敬礼などするはずがない。

その意味で、今回全員そろって綺麗に敬礼をしているシーンは実に象徴的である。レビルのもと軍事行動として天下分け目のオデッサ作戦に出撃しようというクルー達は、すでに名実ともに立派な軍人である。

アムロはマチルダの死を受けて何を思うのか。ドムのジェットストリームアタックを受け危機に陥ったガンダムを救ってくれたのはミデアでありマチルダである。アムロはマチルダに生かされたのだ。

この点はリュウの特攻によって救われた第21話「激闘は憎しみ深く」と同じだ。

その時アムロはラストシーンで泣き崩れ、自責の念に苛まれながらも「戦争を終わらせるしかない!」と決意を新たにしている。

今回はどうか。うつむき気味に敬礼し目を閉じて心の中でマチルダの名前を呼び続ける。表情も変化はなく、涙も見えない。

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私には、マチルダとの想い出を胸に、オデッサ作戦へ向けて静かにボルテージを上げているように見えたがいかがだろうか。

第24話の感想

今回はマチルダの回である。

これまでのマチルダは、常に聡明で職務に忠実で、自分の感情を表に出すことなく、クールに行動する人物として描かれていた。そのためその内面までは必ずしも明らかでなかった。

前回、補給部隊としてガンダムのパワーアップパーツをなんとしてでもホワイトベースに届けようという意地を見せた。ここでマチルダの人となりの一端が垣間見られたが、それくらいだった。

今回はホワイトベース内でのアムロとの交流から、マチルダの考え方やホワイトベースにかける想いが丁寧に描かれていた。

アムロ「マチルダさん」
マチルダ「え?」
アムロ「なぜ補給部隊に入ったんですか?」
マチルダ「そうね。戦争という破壊の中でただひとつ、物を作っていく事ができるから、かしらね」
アムロ「物を作る」
マチルダ「戦いは破壊だけでも、人間ってそれだけでは生きていられないと私には思えたからよ」
マチルダ「あと一息でホワイトベースは生き延びるというのに、こんな所でむざむざと傷つけられてたまるものか」

こうしてマチルダという人物を丁寧に描くからこそ、その死が視聴者に衝撃を与えるのだ。私も受けた。

ドム3機のジェットストリームアタックとガンダムの攻防は圧巻の一言である。

おそらく実時間としてはほんの数秒の攻防を、スローモーションで様々な角度から描くことでアムロの抜群の戦闘センスを余すところなく表現している。

負けた黒い三連星が大したことなかったように見えてしまうのは、この手のヒーローものでは致し方ないかもしれない。

しかし、黒い三連星もルウム戦役でもレビルを捕虜にする大きな手柄を挙げた手練れのパイロットである。

シャアの「赤い彗星」と同様に「黒い三連星」という異名を持っているし、「黒」というパーソナルカラーも与えられている。戦場での実戦経験も豊富なはずだ。

しかも、このジェットストリームアタックはモビルスーツの操縦技術が優れているだけでなく、ガイア、オルテガ、マッシュの3人のパイロットの連携が完璧にとれていないと成立しない。下手なパイロットがやると最悪同士討ちになってしまう可能性もある。

アムロがすごすぎて霞んでしまうが、黒い三連星も手ごわい相手であることには間違いない。

次回はいよいよオデッサ作戦である。マクベの鉱山基地を叩き、一気に反転攻勢に出ようという連邦軍の起死回生の一大作戦だ。

果たしてレビルの作戦は成功するのか、そして、ホワイトベースの運命は!?

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