G20ユースサミット 分科会レポート~性差別と当事者意識~

Genesisのnote、記念すべき第1回は、6月23日に神戸市立外国語大学で行われた「G20ユースサミット」内のジェンダーセッションのレポートです!
今回は、Genesis学生代表の ななみん こと鈴木七海が登壇しました!

(左から)大阪市男女いきいき財団・岸上さん、Voice Up Japan・山本さん(ファシリテーター)、Genesis・ななみんさん、Speak Up Sophia&ちゃぶ台返し女子アクション・横井さん

今回のメインテーマ:女性の社会進出と性的同意・性暴力とのつながり

<はじめに:各団体の紹介>
#VoiceUpJapan
声を上げにくいことでも声を上げられる社会へ。Facebookを通して交流会を行ったり、デモ、講義などの活動を行う。刑法改正に向けての活動も。
#ちゃぶ台返し女子アクション
性的同意ハンドブックを作成し、2万部配布。
ビリーブキャンペーン(創価大)、Speak Up Sohia(上智)、シャベル(早稲田)、Tottoko Gender Movement(東大)など、大学生が主体となり、各大学の団体で活動も。
#Genesis  
私たちの団体ですね!性的同意ハンドブックや、性的同意を実際に取る様子を再現した動画を作成。定期的にワークショップも開催。
#大阪市男女いきいき財団  
研修の開催や、活動している人の情報を市民に届ける。日常の悩みの相談を受ける役割も。問題意識が普段ない人にも知ってもらうために活動。

ジェンダーや性暴力に関する取り組み携わるようになったきっかけは?

岸上さん:学生の時にウーマンズダイアリーを作成していた。
皆が描いた手帳を売っていて、巻末にはNPOなどの相談先も載っていた。
セックスワーク、HIVなどについて思うことを原稿に書いてもらい、毎週原稿について話し合い、チェックしていた。これが原点。
いろんな大学・分野の学生がいて、そのままアクティビストになった人もいた。
その中で性的同意の考えも出てきていた気がする。その流れがまた来た、スパイラル的な感じ。

ちゃぶ女 横井さん:2つの感情がきっかけ。
1.怒りの感情
Blackbox(伊藤詩織さんの性被害の告発本)を夜読んだときに、ショックで眠れなかった。
なぜ変えられないのか、なぜこのような事が日本で起こっているのか?怒りがわいた。
→変えないといけない、勇気をもって声をあげた人を支えないといけない
みんなが声を上げないといけない
2.エンパワーメントされた感情
性的同意の概念を知ったとき
いままでセクハラ被害を受けたときは、自分で自分を責めていた。
しかし、性的同意の概念を知ったことで、自分の身体が自分に戻ってきた感じがした。私の身体は私のものだと思えた。
もっとこの考えを広めて周りの人にエンパワーメントしていく必要がある。

山本さん:性的同意の考えはセックスだけに関わるのではなく、自分を大事にするという考え。これにより素直な関係を築くことができる。

当事者意識を持ってもらうには?

岸上さん:性差別や性暴力は伝わりにくい。というのも、性差別や性暴力が、全てそれぞれ個々の事象と勘違いしている人がいる。それゆえに当事者意識を持ってくれない人が多く、問題の根本が伝わらないから、解決に繋がらない。
例えばG20では、暴力に関する文言を入れるとき、国の背景による理由や経済団体からの反対がある。
意識と制度は両方から変えていく必要がある。

横井さん:出る杭は打たれるという風潮がある(ゆえに声を上げにくい)。これが、社会進出に関する問題の根底ではないか?
例えば、知り合いの慶応大学の学生は、活動に関してバッシングを受けて活動休止した。
ちゃぶ女では、申し込みフォームでヤリサーですか?と聞かれた。
性的同意について話すとエッチな話題と言われてしまう。揶揄される。

ななみんさん:当事者意識を持っていないって変だと思う。
性被害を受けたことないから当事者じゃないのか?
例えば、女子は頑張って勉強しなくていいと言われるのは差別だと思う。大学に行きたい女の子はその人が頑張って勉強すればいい、個人の問題だと言われるが、そういう問題ではない。
それに、女子は行動を制限されている。例えば、女性は夜遅くに一人で出歩いてはいけない、夜一人で歩いているときに足音が聞こえると恐怖心を感じる、など。 気づいていないだけでみんな当事者だ。

山本さん:私たちは、お互いエンパワーしていくべき。エンパワーメントは、英語の辞書の意味を訳すと、「自分が持っている力を引き出す」ということ。

私たちは何ができるのか?

横井さん:学生が大学を変えるには?について。
先日、上智大学でのシンポジウムで、学生から大学に
①性的同意に関するワークショップの義務化 ②セクハラアンケートを取る ③カウンセリングの充実
の3つを提言した。
しかし、大学側の姿勢はかなり強固なものであり、その後の回答も的を得ないもので、大人の不甲斐無さを感じた。
私たちは、決して目立つためにこの活動をやっているわけではない。内定を取り消されるかもしれないし、家族からの反対も受けた。
でも、誰もやってくれないからやっている
学生がリスクを冒してでもやらなきゃいけないからやっている。そのことを大学に理解してほしい。
今回、組織を変えるのは難しいと感じた。
しかし同時に、大学側の一部の人たち以外は同志であるということも分かった。今回のシンポジウムでは、参加者との一体感が生まれていた。
大学側が理解・協力をしてくれなくても、一人で変えることはできなくても、仲間で署名をしたりすれば変えていけるかもしれない。

ななみんさん:誰でも誰かを傷つけてしまう可能性がある。
「差別をしている」という事実を相手に伝えることは、差別しているわけではない。
その行為を批判しているだけで、その人の人格を否定しているわけではない。
私だって完璧ではない。
人とひとつひとつコミュニケーションをしていくだけで、少しずつ世界を変えられる。

岸上さん:社会を変えていくためには、戦略的に考えていくことも必要。
怒りの感情や強いメッセージよりも、受け入れやすい話題・フレーズもある。
直球を投げる力を鍛えると同時に、変化球を投げる力も鍛える必要がある。

山本さん:ひとりの人に伝えた時点でアクティビスト。
当事者意識を感じないとしても、苦しんでいる人はいる。
また、感情的だけでなく戦略的に考えてほしい。そのほうが人に伝わることがある。


<実際に分科会を聞いて…>

*最後に山本さんがさらっと言った、「ひとりの人に伝えた時点でアクティビスト」という言葉がぐっときた。
アクティビストの人たちだって全て完璧なわけではない、でも声をあげなければ何も始まらないから活動をしている。今アクティビストではない人たちだって、一人一人が当事者意識を持って、思ったことを少しずつ発信したり、共感した活動をサポートすれば、社会が変わる日がもっと早く訪れるのかも。てか、絶対そうなる。1人だけでできることは少ないけど、一人ひとりが持つ力は意外と大きい

*これ、性差別なのかな?とか、セクハラかわかんないけどこれやだな…と思った時に、自分を責めたりする必要はないし、そこで自分を責めてしまう人がいなくなるように性的同意の考え方をもっと多くの人に知ってほしい。理不尽な理由で苦しむ人がいない社会に早くしたい。

ていうか、皆個々に価値があるのに、それを認め合って生きていくだけなのに、なんでそれがうまくいかないんだろう!やだな!とりあえず今はアイス食べよ

*前で話す4人が、みんな自分の意見をはっきり述べていて、でも何かを攻撃するわけでもなくて、その姿がとてもかっこよかった!私ももっと確固たる意思をもって、かつ分かりやすく発信できるよう、もっと勉強します!!

今回のレポートは以上です!
今後もGenesisは論文の紹介や、イベントレポートなど、noteを定期的に更新していきます!次回もお楽しみに!


#sisterhoodjapan #性的同意 #sexualconsent #Genesis

文責:山田千聖