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「不登校」はおかしな言葉

 汐見稔幸さんが、『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』(河出書房新書、2021年)のなかで、「不登校」はおかしな言葉だと指摘している。この言葉によって、「本当は登校しなくてはいけないのに私は登校していないから、ダメな子なのかな」などと認識して、自分はダメな人間と思い込んでしまう。ネガティブなレッテル張りの機能があるというのである。

 汐見さんは、「自分で人生を見つけようとしている子」という意味で、「自己選択児」としたいと提案している。子どものポジティブな側面に目を向けようというのだ。

 と同時に、自己選択をしている子どもに社会的なサポートがあるかも問うている。子どもに還元するのではなく、教育の場に目を向けている。ただ、選択は一つしかない中で選択しているのか、多様な選択肢の中から選択しているのか。最も選択したいことが閉ざされていないかも考える必要がある。子どもが学校に行けなくなったり、行かなくなったりしたとき、事態を共有していくことばと、学校や家庭、地域が解決すべき問題を共有することばが求められている。

 

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