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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

新井紀子『生き抜くための数学入門』新曜社、2021年。

 数学は読めなかった。本書で言うと、「授業の前に」というはじめにと、番外編の「数学のための読解力」しか読めなかった。

 新井さんがリーディングスキルを大切にするのは、争いをなくためだ。同じ気持ちで同じ方向に進もうとしている人たちが集まっているときは、「とは」という定義や「なぜ」という理由は必要がない。暴力は避けたい。だけど、自分の主張も通したい。自分の大切なものをちゃんと自分で守りたい。そういう人に必要なのが、「とは」と「なぜ」の力なのです。

 本書は、「とは何ですか?」と「なぜ?」を自分に問いかける力をつける本です。

 確立のときは、「以外の」を引き算にして、「さらに」をかけ算にして、式にするように、数学は、解くべき問題を 、シンプルで、式に直すことができる文章に置き換えることが重要となる。

 高校卒業までの算数や数学の問題設定は、「または」「かつ」「以外の」「さらに」「のとき」を使えば、長くはなるけれど式にき換えられるやさしい文章に書き換えることができる。問題設定を読み解く力さえあれば、数学は怖くない。

 ただし、国語の読解力と数学の読解力は少し異なる。ジャンルによって求められる読解が違うのである。数学の教科書は、「または」「かつ」「以外の」「さらに」「のとき」に注目して読解するように、歴史では、「~を受け」「一方で」といった言葉に着目して読解することが重要だという。

 数学の問題を解くときに、「例題と同じように解く」のではなく、問題文をしっかり読解する。「または」「かつ」「以外の」「さらに」「のとき」以外の言葉が出てきたら、この5つのキーワードに置き換えて同じ意味の文にしてから、問題を解くようにする。

 答え合わせをするときも、答えの数字に着目するのではなく、式に着目します。式が間違っていたら、どうして間違った式を書いてしまったのかを分析する必要がある。間違った式の分析を繰り返していくうちに、数学の読解力は付いてくるからです。

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