見出し画像

やっと会えた、ドライアイロン。

いつだって選択肢は無かった。アイロンは、縦に使うものも横に使うものにも、スチーム機能が付いていた。

長い間探していた。大型家電量販店ができたと聞けば、アイロン売場を確認しにいった。ただ暇なときにも新生活フェアや決算セールみたいなときにも。十数年はそうして過ごした。

アイロンは手に持つ道具だ。だから実物を持って、握り具合とか重さとかを知ってからウチに呼びたかった。未知のモノを記事だけ読んで通販で買うのは怖い。モデル着用の写真ではスタイリッシュだった服が、自分が着たらみっともなさに即返品したいシロモノだったりする。触れてみるまで分からない相性はある。

スチームアイロンしか店頭に無いのにドライアイロンを使いたい私はどうしたか? スチームアイロンに水を入れず噴霧無しの設定で使っていた。これで、だいたいドライアイロンでしょう。そう思って何代か妥協してきた。

面倒が降り積もるとか取り回しが好きじゃないとかはノー・プロブレムだった。妥協するとはそういうことだ。日々働いてくれれば、それなりに愛せてしまう。

先代のスチームアイロンに不規則な不具合が発生するようになった。メンテナンスできそうになかった。

近くの家電量販店や家電取扱コーナーを見に行く。やはり店頭にはスチーム系しかない。

ここで、疑問が膨らんだ。

店頭の現状はスチーム系1択だ。でも、ユーザーのニーズの現状もそうなのか? 多機能を愛するひとがいるように、シンプルな機能をもとめるひともいるのではないか? 電子レンジがあれば水は温められる。でもケトル的なものは悩まずに用意するじゃないですか。そんなふうに、ドライアイロンにも、絶対にニーズはあるんじゃないか?

道は、通販に繋がっていた。通販の素敵なところは情報量の多さだ。何だって素敵に見えてくる。比較できない。でも、それは、店頭で買ってきたスチームアイロンだって同じことだった。手に持ったとしても使い比べてきた訳じゃない。究極的に納得いくまで比較しなくても選んでたんだ。妥協の選択だから気安く決められたのは否めない。でもその1台でのべ数千枚はかけるんだから、それなりに吟味した筈だ。

最終的に、見た目で決めた。スッ、と鋭角的なデザイン。それがよかった。銀色と黒と灰色。無彩色の中にオレンジ色に点灯する三角形が1つだけあって見え隠れする。かけ面の先端の尖りかた。持ち手さえキュッとしたラインを描いている。これだ。たぶん結果的には、どんな機種だって付き合う期間のほとんどで、それなりに愛せる。でも、これはきっと、飽きない。

パナソニックのNI-A66-K [アイロン(ドライ専用タイプ)] に決めた。

画像1

アイロンをかける時に見たいのは、実はアイロンじゃない。かけられる服のほうだ。控えめな見た目は、手の延長のようで違和感がない。気を取られずに服のほうを見ていられる。あと、柔らかく光を反射するものがあると、場がキレイに見える。明日の誰かが身につけるものを整えるときの視界がなんとなくキレイ。そのことは気持ちを落ち着かせる。

amazonのレビューを読むと、使用感は個人差があるらしい。仕上がりも受け取り方はそれぞれだ。

画像2


個人的にはコンバクトなかけ面と先端のとがった形は良かった。すみずみまでアプローチできる。仕上りに関しても満足できた。素材と状態によっては霧吹き無しでもキレイになる。楽だ。

もしかしたら、今のアイロンはどれを使ってもそれなりに満足できるのかもしれない。それでも、このかけ面の形とレトロで大人っぽい外観は、家事の時間を底上げしてくれる。そんなふうに思う。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

文献または資料の購入に使わせていただきます。