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自転車旅 第5話 『リリースアンドキャッチ』




・まさかの目覚め


5月31日


この日は珍しくぐっすり眠っていた。
疲れていたからだろう。


大体いつもは5時すぐに目が覚める。
が、この日は5時には目は覚めなかった。



・6時


「すいませーん」
という声で目が覚めた。


一体誰なんだ?と体を起こしながらテントを開ける。

すると、テントの外にはトランシーバーで何かを伝えてる一人の男性が。

まずい。すぐに状況を理解した。


警察だ。あと多分、通報された。

その予想は的中。怪しいと睨んだ住民が通報したらしい。
そんでもって、今回は予想してない2つの事象が通報という形に運んでしまった。


1つ目は、寝てる場所が小学生の集団登校の集合場所だったこと。

いやこれは予想してなかった。そりゃ通報されるわ。



2つ目は、川崎市登戸通り魔事件があったこと。

僕達が出発した次の日、28日。川崎市で通行人や登校中の小学生を襲った痛ましい事件があった。

その分、場所は違えど人々は怪しいものに敏感になっていて、通報された形である。(警官の方にも言われた)

これも予想はしてなかった。




まあそんなこんなで旅5日目にして早速通報された訳で。


事情や経緯を警官の方に話すと、状況を理解してくれたのか、有り難いことにその場で収まった。

署まで来てくださいとか、そういう風になるとおもってたので、良かった。


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当時の写真。


うん、まあまあ怪しい。


ていうかテントを勝手に張っていいかも分かってないので、非常に申し訳なかった。


この後集団登校の子供達が沢山来るから早くこの場を離れてね、と警官の方に言われ、解散。


テントを畳んだり準備を進めていると、ゾロゾロと子供達がやってきた。

ていうか来るの早くない?まだ7時すぎだけど......。


子供達に指を指され、主婦にザワつかれるのも嫌なので、早めに出発した。




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本日の朝飯。贅沢品。




8時半頃出発。
本日は名古屋に行きたいけど99%無理なのでその前ら辺まで行くことに。



・運命の出会い



午後10時。今日も今日とて漕ぎまくる。
浜松の方までいくと段々栄えていくのがチャリを漕いでて分かった。


そういえば、京都の方に行くには滋賀を通るわけだけど、滋賀にはある思い入れがある。


僕はアニメ「けいおん」が大好きなのだ。そして滋賀には「けいおん」の舞台となったいわゆる「聖地」がある。


それを思い出し絶対に行くことを決め、テンションMAXで漕いでる僕。
それに対し相棒は少し引いた様子でチャリを漕いでいたので、
「けいおん」の魅力、そして僕の大好きなりっちゃん(田井中律)の魅力を30分以上かけて話すと、思ってた40倍引かれてしまい、少し気まづかった。



途中、スーパーがあったので休憩する。

買ったのはコイツら。

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僕は、安く買えるときに買っておいて、小腹がすいたときに食べたりと、買い溜めする時が多い。


今回買った黒糖フークレエ。

カロリーが631とかなり多く、更に値段が140円と安く、初めて購入した。

1切れ食べた感想。


めちゃくちゃ美味い。


黒糖の程よい甘みと1切れで満足するようなその重み。なのに止まらない。美味い。その一言に尽きる。


彼女を知ってから、パンコーナーはモノクロに見えた。銀チョコロールもメロンパンも、十勝バタースティックも、彼女を前にしたらみんなただのパンに過ぎない。


「四月は君の嘘」に、こんな名言がある。


「あの日から 僕の世界は鍵盤でさえ カラフルになっていたんだ」


僕はこの逆。あの日からフークレエしかカラフルに見えなくなった。



僕は一気に彼女の魅力に取り憑かれた。



これは、運命の出会いである。そう感じずにはいられないほどに彼女との出会いは衝撃だった。
超ロングセラー。なぜ今まで彼見つけることができなかったのか。


だが、出会いとは、儚く切ないものである。
このスーパーを機に、フークレエを見かけることは少なくなった。見つけても170円と高いものばかり。

僕の青春はカロリーと一緒に消えていった。




・誘惑






・12時。

僕らはやっと浜松を抜け、浜名湖付近に到着していた。

昼ごはんさきほど軽く食べたので、充電がてら休憩するか、という話になり、近くにあったファミリーマートによる。

このファミリーマートの前には弁天島海浜公園という綺麗なスポットがあった。


ここで休憩するか、と一旦充電は置いといて公園の方に行く。

浜名湖の奥に鳥居があり、風も気持ちよく寝れそうだと思って周りを見渡すとソレはあった。


ハンバーガー屋だ。


ウソって言ってくれ。こんなとこに僕の大好きなハンバーガー屋があるなんてウソって言ってくれ。


ダメだダメだダメだ。ブラックホールがあるかのように吸い込まれていく。

一応値段を確認。うーん、いけなくもない値段。
ただ僕らの今の生活にしてはかなり高い方。


相棒に聞いてみると、相棒もかなり行きたそうで、ギリギリ粘っている状況だった。

カウントはツー&スリー。ただでさえハンバーガーという豪速球を持っているにも関わらず、景色という変化球も兼ね備えている。


ま、俺ら頑張ってるし、行かないで後悔するより行って後悔するか。

見逃し三振。

「バッターアウト」という声と共に、「いらっしゃいませー、2名様ですねーお席コチラでーす」という声が耳に入ってきた。




店内に入り、席に座る。周りを見渡すとカップルや女の子2人が多い。場違いや。。。。


頼んだハンバーガーがこちら。

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最高のプロポーション。菜々緒か栗原類。


確か黒豚チーズハンバーガー。

お味?ああ、完璧です。


ポテトがヤバい。なんか元から味がついてるのか、圧倒的美味さ。ハンバーガーも絶品。

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更に景色とコーラ。

相棒も渋い顔しとる。

ある程度の犠牲を払っただけはある。

お腹いっぱいになり、店を出る。


相棒曰く、この後吸ったタバコが死ぬほど美味くてハンバーガーの味を忘れてしまったらしい。

奈落に落ちてしまえ。




・静岡越え




・14時

ハンバーガーをたらふく食べて携帯を充電してから再び出発する。


途中、相棒のチャリのサドルが横に曲がってしまうという事件が起きてしまったため、自転車屋へ。

どうやったら横に曲がんだよ。




自転車屋に行くとお兄さんが優しい方ですぐ治してくれた。
ついでに自分の自転車も見てもらうと、
「このチャリでよくここまで来たね笑」と軽く自転車をバカにされた。

話によるとこの自転車は旅とかに使う自転車では無いらしい。

お兄さん、僕はこの自転車に愛着も何も無いので今すぐ良いチャリと交換して下さい。





・16時


ついに、静岡を抜け出し、愛知県に突入した。

静岡、長すぎた。

え、なんでそんな長いの?

抜け出すのにおよそ3日ほどかかった。

こんなことを言うのは静岡の方に申し訳ないが、静岡めちゃくちゃ嫌いになった。

いや、もちろん良いところも沢山ある。が、苦しい期間が長すぎてもう良い印象は無い。


さらば静岡、フォーエバー静岡。




・念願の




・17時過ぎ


ようやく豊橋市に到着。
そういえば、御殿場以降、そして友人Tの家以降風呂にも入ってなければ洗濯もしていない。

ということで、まず洗濯をすることに。



・18時30分


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洗濯中。


やることは無いのでDAZNで野球をみる。
充電はあまりないので、飛ばし飛ばしで見るが、数少ない至福の時間だ。



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やることが無くなって座ってタバコを吸う相棒。


もう、旅人じゃない。ホームレスである。


僕はこの旅のきっかけ作ってくれた先輩に進捗状況を報告していると、相棒はコインランドリーに来たおっちゃんと何やら話をしていた。


聞く話によると、キャンプ場のようなとこがあって、そこはめちゃくちゃ寝れるとの事!


軽く場所を聞き、温泉を入った後に行くことに。



・20時

携帯をコンビニで充電、夜飯。


・21時30分頃


近くの極楽湯(地元でもお世話になってます)がクーポンで600円になっていたので入る。


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テンションが上がる僕ら。これでも上がってます。


さあということで念願の風呂。

感想。

最高。

シャンプーが全く泡立たない。3回洗ってやっと泡立った。なんか感動した。


久々の風呂、気持ちよすぎて死ぬほど寝てた。

一説にいると、風呂の中で寝ることは気絶してることと一緒らしい。

気絶ってあんなに気持ち良いのか。(バカだ、バカがいる)



疲れた筋肉を回復させるためには温かいお湯に浸かり、冷たい水に浸かる。それを交互にやることによって筋肉が緩み、回復が進むとかなんとか。

それを1人で実践していると相棒も参戦してきたので、ついムキになって水風呂耐久合戦が始まる。

何分いたかは分からないが、めちゃくちゃしんどかったので和親条約を結んでドロー。


なんか余計疲れた。



施設の中に軽い休憩所があったのでそこで休憩。
相棒、大爆睡。よくそんなに寝れるな。

鬼滅の刃の禰豆子くらいずっと寝てる。




・午前2時



結局ずっと長居していると日付けが変わってしまった。

おっちゃんの言っていたキャンプ場?のようなところで寝る。

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キャンプ場感はゼロだが多分ここだろう。

就寝。風呂入って少し時間が経つと上がった体温が下がってきて寝やすくなるとか。

そのせいもあって、速攻寝た。


良くないスタートだったが、終わりよければすべてよし。
良い日でした。

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