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リミックスポイント2021年3月期決算について

 小田玄紀です

 本日、リミックスポイントの2021年3月期決算について開示を行いました。


 定量的な数値の話ももちろん大事だと思うのですが、より重要なこととしては定性的なところで、この2021年3月期を経て、リミックスポイントグループは再生・再建フェーズから収益拡大・成長フェーズへと移行することが出来たというところだと考えています。

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 まず、改めてですがリミックスポイントは規制緩和や法律改正など社会が変化するタイミングで生じる課題を事業を通じて解決する会社です。

 小売電力事業や暗号資産交換業、感染症対策など多角的に事業を展開していますが、これらは全て法律改正・規制緩和や社会が大きく変化した市場領域に対して積極的にチャレンジをしています。

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 なお、この4月1日から事業セグメントを一部変更しました。主な変更点でいうとエネルギー関連事業には従来、電力小売事業と省エネコンサルティング事業があったのですが、この省エネコンサルティング事業を切り出してエネルギー事業は電力小売事業に特化した部門になります。

 また、感染症対策関連事業と省エネコンサルティング事業を統合してレジリエンス事業としました。

 事業部門の名称が『レジリエンス事業部』になったことは、非常に大きな意義をもっています。ここで、それを語ると恐らくこれだけで長くなってしまうので、今日は割愛しますが、まさにこれからの日本社会に必要なのは真なる意味でのレジリエンス力です。

 100年に一度の災害が毎年のように来るようになり、防災・減災への対応は政府・自治体・企業においてこれまで以上に求められます。この点について、エネルギーの観点から、防災・減災の観点から、感染症対策の観点から総合的に対応が出来る企業は日本だけでなく世界でも稀有な存在です。

 事業を通じて社会の問題を解決するというリミックスポイントのミッションをまさに体現する事業名称であり、今後この事業の成長は社会問題の解決のためにも実現していきます。

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 また、これは従来は当社にとっては当たり前のこと過ぎたので、敢えて記載はしてこなかったのですが、リミックスポイントグループの組織体制を敢えて掲載させて頂きました。

 まず、経営体制と執行体制は既に分離をしており、事業及びコンプライアンスにおいて牽制が効く構造になっています。特に監査等委員である取締役の制度が導入された際にもすぐに採用し、従来から社外取締役が過半数以上の組織に数年前より移行していました。

 さらに、それぞれの事業部長が自主的かつ機動的に事業に取り組めるような事業部門制度を導入し、裁量権を持たせてスピーディに事業に取り組む体制を構築しています。

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 来月の定時株主総会における承認を前提としますが、2022年3月期においてもこうした経営と執行を分離した体制は継続していきます。社外取締役を過半数以上の体制で経営に臨んでまいります。

 どのようなメンバーかというのは先月リリースした内容をご確認ください。

 さて、前置きが長くなりましたが2021年3月期決算は以下のようになりました。

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 グループ連結として売上132億円、営業損益▲28.8億円です。

 この数字だけが一人歩きをしてしまうと、「またリミックス大赤字。。ワラントでしか存続できない会社・・・」といった評価がされてしまうと思いますので、今回の決算補足説明資料ではより数値のところを丁寧に説明させて頂くことにしました。

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 既に何度か会社のIRやプレスリリース、そして私自身のNoteでもお知らせをしてきましたが、昨年12月から今年1月にかけての日本卸電力取引所の価格高騰を受けて、電力仕入価格が異常高騰をしました。

 リミックスポイントの規模でも27億円近いインバランス料金の損失が発生しました。もちろん、この赤字も事業による赤字です。しかし、今冬の電気料金は「異常な高騰」とエネ庁も認める水準の高騰でした。この点を会計における経常性・反復性から除外して算出したものが上記の表になります。

 ご確認いただいて分かる通りに2021年3月期の第4四半期においては全ての事業セグメントにおいて黒字化が実現できています。

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 電力事業においても売上として26億円、営業損益で4億円の黒字化がインバランス料金を除外して計算すると出ていることになります。

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 さらにビットポイントも1~3月における月次収益状況を表示させて頂きました。

 同じ暗号資産交換業を行う他社が、非常に好調な決算をしているので、この数値でもちろん満足するつもりは一切ありませんが、昨年夏からの新システム稼働と市場環境の好転により確実な収益化が実現できています。

 3月にはTRX(トロン)の上場もありましたが、実際の取引開始日は3月17日でしたので、会計上は2週間分の影響しかありませんが、日本初の暗号資産上場を含めて新規暗号資産の取り扱いの価値は短期的な収益だけでなく、派生的な影響を含めて高いと考えていますので、これからも新規暗号資産の上場は積極的に行っていきます。

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 また、これは2021年3月期というよりは進行期の話にはなりますが、ビットポイントが5月10日付けで第一種金融商品取引業者として登録を受けました。

 国内ではまだ当社を含めて5社しか暗号資産交換業者で第一種金融商品取引業の登録を受けている企業はありません(2021年5月10日現在。楽天ウォレット、DMMビットコイン、GMOコイン、TAOTAO、ビットポイントジャパンの5社)。

 このことも1つの価値として、今後様々な価値あるサービスを提供していきます。

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 なお、第一種金融商品取引業者には自己資本規制比率の維持が求められます。昨年に発行した第三者割当による第13回新株予約権(行使価額修正条項付)は、まさにこの第一種金商業取得を目的としたものでした。

 今回、資金使途通りに登録を受けられたことを嬉しく思うと共に、これも多くの株主の方の支えがあったから実現できたと考えています。リミックスポイントの企業価値を高めていくのは、我々経営側や業務執行側だけでなく、株主の皆様一人一人の支えがあってです。そのことを実感できた今回の登録であり、改めて言わせてください。本当にありがとうございます。

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 さて、2021年3月期決算においては「インバランス料金を除外して算出したら利益が出ていた・・・」ということを言ってしまいましたが、当然経営においては結果が全てであり、今期以降どういう数値になるのかということが多くの方が最も気になる点だと思います。

 リミックスポイントが展開している事業領域の市場環境は大きく変化し、市場状況によって収益も変わってきます。その意味では金融系は予算を開示しない企業が多いです。

 予算を開示することのメリット/デメリットがあり、また、予算を開示しないことのメリット/デメリットがあります。これまでと変わらず、当社の市場領域は市場変動要因が強いのですが、それでも、現時点において収益成長フェーズに事業ステージが変わり、また、将来性について一定の予見性が高まったと判断したことから、今回は2022年度3月期の業績予想を開示するという結論に至りました。

 売上214.1億円、営業利益26億円になります。

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 事業セグメント別の業績予想は上記の通りです。既に2021年3月期の第4四半期においても全ての事業セグメントで黒字化(エネルギーについてはインバランス分を除外して算出)が出来ていますが、定量的な側面だけでなく定性的にも、中長期的に成長・発展していける事業・組織へとしていきます。

 予算作成にあたっては、可能な限り保守的な試算はしています。市場環境が良くなったら、より高い数字を目指せるかもしれないですし(むしろ目指さないといけないと思いますし)、また市場環境によっては逆のことも考えられます。

 まず、大事なことはこの数値を公なものとし、その実現・達成のために全ての事業部が心を1つにして動くことかと考えています。初期においては投資フェーズもあるので、単純にこの数値を4で割ったものが各四半期の数値ではありませんが、今回開示させて頂いた数値が現時点の業績予想としてご理解ください。

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 さて、それでは事業部別のポイントも説明をしていきます。まず、小売電力事業は日本卸電力取引所の価格が異常な高騰をしたことにより一時的に損益に影響を与えました。

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 今回27億円近い損失を抱えてしまいましたが、当社としても昨年12月から相対電源の調達など対応を行い、これでも損失額を大幅に抑制させてきました。

 また、従来より独自の燃料調整費制度を導入していたこともあり、今回の価格高騰分についてはその一部を将来的に回収することが可能になっています。

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 この資料がまさにその点の説明になります。しかし、今回のJEPX価格高騰はあまりに異常な高騰でした。従来の独自燃料調整費制度でさえも、そのまま適用をしてしまうと電力需要家に対して過度な負荷をかけてしまうことが懸念されました。

 そこで当社としては大きく2つのことを行いました。1つがファイナンスによる資金手当てです。もう1つは需要家保護を目的とした新料金プランのリリースです。

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 1つ目のファイナンスは第15回・第16回新株予約権(行使価額修正条項付)です。今回、インバランス料金が25億円程度と試算をしたために当該金額相当分の手当てをファイナンスを通じてさせて頂きました。

 11%の希薄化に繋がるものであり、株主の皆様には再び負荷をかけてしまうことになりましたが、それでも、今回のファイナンスを通じて需要家保護を徹底して行うことが出来れば、それを超える企業価値向上が出来ると信じ、このファイナンスをさせて頂きました。

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 なお、第三者割当増資による新株予約権(行使価額修正条項付)については、一部誤解をされている株主の方もいるようですので、改めて補足をさせて頂くと、発行時点で新株発行数は決まります(希薄化率は確定します)。

 なので、発行決議日より株価が下がったら行使価額(入金額)が減り、株価が上がったら行使価額(入金額)は増えます。

 つまり、希薄化はするものの基本的には株価が上がったらその分、会社のCashおよび純資産額は高くなり、企業価値向上に繋がります。この点を念のために補足させて頂きます。

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 さて、このファイナンスにより一時的なキャッシュフローへの対応には備え、また、需要家保護のための新料金プランをリリースしたことで、大半の需要家が契約継続を表明して頂くことが出来ました。この後にも説明をしますが、実は3月末時点では契約数も増加に繋がりました。

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 一般家庭を含めた低圧需要家は契約口数が1万口を超えました。

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 高圧需要家も契約kWで20万kWを超えて第4四半期でも契約数を増やすことが出来ました。改めて、顧客ファーストで取り組むことの重要性を感じました。

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 なお、当然にこうして契約が増えてくると、再びJEPX市場価格が高騰したらリスクがないかという懸念も生じると思います。この点についても当然に事業部として対応を既に行っています。

 電源構成比率を見直し、JEPXの割合を減らして相対電源やベースロード電源による調達、また、電力先物によるヘッジも既に行っています。こうした対応をとることで利益率は下がりますが、それでも事業成長を確実に実現できる電源構成で今期以降も展開をしていきます。

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 さらに、大切なことは環境価値です。RE100をはじめとして環境価値が高い電源構成がこれから求められてきます。リミックスでは再生可能エネルギー100%のRE-MAXプランと再エネ比率を10~90%まで自由に選択できるRE-MIXプランを用意しています。

 特に多くの企業がいきなりRE100ではなく段階的にしていきたいという考えをもっており、RE-MIXプランは好評です。今年はRE30%、来年はRE50%、2030年までにRE100%・・・といったように段階的に再エネ比率を高めていくことがこのプランでは可能です。

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 蓄電池もオリジナルブランドとして提供をしていきます。

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 蓄電池はこれから家庭用・産業用共に需要が高くなってくることが想定されます。リミックスバッテリーは高機能・高品質ながらも価格競争力が高い点が最大の特徴です。

 蓄電池を販売している会社から、「え、本当にその金額でいいんですか?」と驚かれる水準なので、これは今後保守運用を含めてしっかりと丁寧に事業化をしていきます。

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 防災・減災という観点でも、冒頭に述べたようにエネルギーレジリエンス・防災/減災・感染症レジリエンスといったように総合的な対策が出来る点が強みです。

 特にレジリエンスは災害発生時ではなく、平時からの備えが重要です。ワンストップでレジリエンス対応をできるのがリミックスポイントの価値になります。

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 感染症事業もこの1年で本当の多くの取組を実現してきました。1年前に感染症対策事業をはじめると発表した際には「リミックスがまた流行りにのって事業をはじめた」と感じた方もいると思いますが、本当にこの1年で感染症対策関連事業の皆さんが頑張ってくれました。

 こちらは昨年11月に開催したSTOP感染症トーキョーサミット2020の動画ですが、多くの方に総合的感染症対策の価値を感じて頂くことが出来ました。

 日本を感染症に強い国にしよう、新型コロナウイルスで困っている多くの人を我々の手で救っていこうという志を同じにする企業や政治家の方と関係を強化することが出来たのもこの1年の取組みの結果です。

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 リミックスポイントの感染症対策関連事業では、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」など総合的な感染症対策を科学的データのあるソリューションで補助金も活用して提供しています。引き続き、様々な商品も取り扱っていきますが、自社製品もリリースしました。

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 「すごい水」はその中でもこの商品をリミックスポイントで扱えていることに誇りをもてる製品です。様々なウイルスの不活化が証明されているMA-Tシステムを活用した消臭除菌剤ですが、これから多くのところで「すごい水」は使われていくと確信しています。

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 口内洗浄用に「SUGOMIZUマウスウォッシュ」もリリースしました。会食時や打ち合わせ時、イベント時など多くのシーンで使うことが出来ます。「すごい水」同様にMA-Tシステムを活用していますが、キシリトールも配合しており、より口の中に含んでも違和感のないつくりにこだわっています。

 当面はBtoBになりますが、今後はBtoC展開も考えていきます。上記からご購入できます。

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 さて、ビットポイントも収益化までは実現することが出来ました。ただ、まだまだスタートでしかありません。

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 顧客預かり資産の額や口座開設数など、まだまだ先行他社に比べると小さなものですが、それでも確実に改善をしていっています。ベースは整いつつありますので、しっかりと改善する点は改善し、またチャレンジする点はチャレンジをしていきます。

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 TRX(トロン)を取り扱えたことは1つ大きなことだと考えています。今後も「ビットポイントだからできる」というオリジナルの価値を1つ1つ増やしていくことで、多くの方に利用していただけるサービスを目指していきます。

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 実現できたことはまだごく一部であり、これから実現していくことの方が圧倒的に多いです。この右に書かれていることをしっかりと実現していくことで、他社のような決算結果になっていけると考えています。やるべきことは時間軸も意識しながら進めておりますので、ご期待ください。

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 また、まだ法的位置づけが不透明なところもありますが、ブロックチェーンや暗号資産領域は可能性が満ち溢れています。新しいチャレンジを恐れないのがリミックスポイントグループの強みです。この強みを今後はもっとビットポイントの方でも発揮していき、「あしたを、もっと、あたらしく。」していきます。

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 なお、子会社ジャービスで開発をしていた神楽坂の不動産物件も2021年3月末で売却が完了しました。これで旅行関連事業は正式に撤退します。もともとは民泊用に開発をしていた物件ですが、投資用レジデンスに切り替えて短期間で売却をすることが出来ました。

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 なお、あまり注目はされていませんが自動車関連事業もしっかりと安定的な結果を出しています。高級外国車を中心としたBtoB取引が中心になりますが、毎年35億円を超える売り上げを実現しています。

 今後、自動車業界も電気自動車やハイブリッド車など、社会が求める自動車の価値感も変わってくると思います。これらの変化に適切に対応し、自動車関連事業も引き続き進化をさせていきます。

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  なおSDGsという観点でも、これまでと変わらずに様々な取り組みを進めていきます。リミックスポイントは社会問題を事業を通して解決するというミッションのため、それぞれの事業領域がSDGsにもリンクをしていますが、直接的にリンクしない分野については、NPOや社会起業家への寄付を通じて支援を続けています。

 リミックスポイントの電気に切り替えて頂く、感染症関連の商品を買っていただく、ビットポイントを利用していただく。こうした1つ1つの行動がSDGsにも繋がっています。

 これまで以上に社会に必要とされる存在へと進化・成長をしていきます。

 特に今回の決算発表は大きな意味があると考えています。そのため、いつも以上に長くなってしまいました。なお、決算補足説明資料もいつも内容が多いという意見もあるため、今回はサマリー版も開示をさせて頂きました。

 まだまだ改善すべきところはたくさんあります。多くの人に支えられて、会社としても1つ1つ成長をしています。これからも暖かく、そして、時には厳しく、リミックスポイントグループをご支援いただけると幸いです。

 2021年5月14日 
 株式会社リミックスポイント
 代表取締役 小田玄紀

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