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11年目のスタートはジャンルも数も盛りだくさん。2月のゲンロンカフェイベント情報

先日2月1日、ゲンロンカフェはついに開業10周年を迎えました!ここまでつづいてきたのも、ご出演いただいたみなさま、そして観客の皆さまのおかげです。
昨晩は東と上田による特別放送も行われました。実は改装中のゲンロンカフェ入り口から始まって、壁中のサインを振り返るいつもと違った番組になっています。まだご覧になっていないかたはぜひ。

シラスでの放送はこちらから!

そして、今日から次の10年に向けてスタートです。2月のゲンロンカフェのイベントは、カルチャーから音楽、焼き物、AI、哲学……とジャンルも、そして数も盛りだくさん。そんな今月の開催予定イベントをご紹介します。

※発売中のゲンロンカフェの会場観覧チケットはこちらからどうぞ!

2月3日(金) 19:00~
大井昌和×さやわか
「2023年期待のコンテンツを語り明かす! 超絶怒涛のサブカル大放談!──ゲンロンカフェ10周年もカルチャートークでおおいに盛り上げるぞ!」【ニッポンのマンガ #18】

2月最初のイベントはマンガ家の大井昌和さんと批評家のさやわかさんによる人気トークシリーズ第18弾!幅広いジャンルに精通するサブカルウォッチャーのおふたりが、2023年の期待のコンテンツをどこよりもアツく、ディープに語り尽くします。

昨年行われたイベントでは、マンガ、アニメ、映画、ゲーム、果てはラーメンに至るまで、縦横無尽のトークが展開。長くゲンロンカフェを応援し、登壇し続けてきたおふたりが、ゲンロンカフェのカルチャートークのこれまでをふり返り、今後の展望を語る場面もあるかも……?

今回も脱線、逸脱、迷走おかまいなしのフルスロットルで爆進すること間違いなし! どうぞお楽しみに!

会場観覧チケットはこちらから

なお、この日はただいま受講生を募集中の「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第6期」の説明会も開催予定。こちらは下記より無料でご覧いただけます。

2月4日(土) 19:00~
後藤護×荘子it×吉田雅史
「驚異と奇想の精神史──もうひとつの黒人音楽をめぐって」

※配信のみ(会場は無観客のイベントです)

2020年、世界中に広がった人種差別に対する抗議運動「ブラック・ライヴズ・マター(BLM)」。1964年に公民権法が成立して半世紀を経た現在でも、アメリカ黒人の壮絶な差別との闘いは続いています。そしてその反骨の精神は、とりわけ音楽の形で表現されてきたことはよく知られています。その特徴として、リズムやグルーブといった側面が注目されることが多いですが、黒人音楽の持つ本領と真価はそれにとどまりません。

「暗黒批評家」後藤護さんが2022年10月に刊行した『黒人音楽史──奇想の宇宙(中央公論新社)では、黒人霊歌からブルース、ジャズ、ファンク、ホラーコア、ヒップホップと続く黒人音楽を、さまざまな文献を参照しながら壮大な精神史としてひもといていきます。知性的な企みと超絶技巧、驚異と奇想にあふれた「もうひとつの黒人音楽史」は、刊行直後からおおきな話題を呼んでいます。

Dos Monosのラッパー/ビートメイカーであり鋭い批評言語を持つことでも知られる荘子itさん、ゲンロンから単行本『アンビバレント・ヒップホップ』の刊行が待たれる吉田雅史さんがお相手となり、本書をめぐって黒人音楽とその精神史を探るトークイベントを開催します。

黒人音楽の真髄とは? その裏側に連綿と続く精神とは? 黒人音楽がいざなう驚異と奇想の世界とは? ゲンロンカフェならではの濃密な議論に乞うご期待!

2月7日(火)19:00~
ロバート キャンベル×梅津庸一
「『焼き物』をよむ、みる、つくる──日本はうつわの王国だった」
 

日本の「焼き物」は、茶道をはじめとした伝統的な文化と深く結びついてきました。一方で私たちの日々の暮らしは、茶碗や湯呑み、植木鉢、タイルをはじめとする建材などさまざまな「焼き物」と密接につながっています。
そんな、身近だけれど長い歴史を持つ「焼き物」の世界に近年足を踏み入れ、密度の高い仕事を展開しているおふたりの対談を開催いたします。日本文学研究者のロバート キャンベルさんと美術家の梅津庸一さんです。

キャンベルさんは、2018年から2021年にかけて茶道専門誌『淡交』に連載された「ロバート キャンベルの名品に会いに行く」を通じ、国宝から現代作品まで50作を超えるうつわや茶道具のもとを訪れてきました。その実り豊かな出会いは、この冬刊行された単行本『よむうつわ──茶の湯の名品から手ほどく日本の文化』上下巻(淡交社)に、全点撮り下ろしの写真つきで収録されています。

2月18日までKanda & Oliveiraで上田勇児さんとともに開催中の「フェアトレード 現代アート産業と製陶業をめぐって」も話題の梅津さんは、絵画を中心に現代美術の世界で高く評価されてきました。ここ数年は日本六古窯のひとつに数えられる信楽に拠点を構え作陶に没頭し「人がものをつくるとはなにか」という根本的な問いに立ち返っています。信楽の製陶所と協力した作品制作やセルフ芸術祭の様相を呈した「窯業と芸術」などもおこない、その過程で自身の作品のみならず「焼き物」を結節点に「窯業」や「民藝運動」の再考を試みています。

元々は「焼き物」の世界のインサイダーではなかったにもかかわらず、その魅力に取り憑かれていったキャンベルさんと梅津さん。今回はおふたりの初対談です。「焼き物」を見る楽しみ・作る楽しみはどこにあるのか? 「焼き物の名品」とはいったい? そして、陶芸家と製陶業の未来は?「焼き物」の魅力と楽しみ方を余すところなく語り尽くす、充実の対話にご期待ください!

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2月10日(金) 19:00~
清水亮×さやわか×東浩紀
「生成系AIが変える世界──『作家』はどこにいくのか」

昨年(2022年)は、自然言語の記述から画像を生成するAIが話題を呼びました。8月に公開された Stable Diffusionをはじめ、MidjourneyDALL-E 2NovelAIと次々にフリーなサービスが現れて世界に衝撃を与え、同時に、成果物の著作権はどうなるのか、今後人間が描くイラストはどうなるのか、そもそもの学習画像の権利はどこにあるのかなど、さまざまな社会問題を提起しています。

ゲンロンカフェでは、プログラマーで実業家でギリア株式会社元代表の清水亮さんをお招きし、画像生成に限らず、文章生成や音楽生成などを含めた生成系AI(ジェネレイティブAI)の最前線についてお話をうかがいます。清水さんは昨年9月にAI作画サービス「Memeplex」をいちはやく公開するほか、AI画像のみを用いたマンガ作品を作成するなど、生成系AIをめぐって積極的な発信をおこなっています。

聞き手を務めるのは、物語評論家のさやわかさんと東浩紀。〈ひらめき☆マンガ教室〉の主任講師でもあるさやわかさんには、画像生成AIとクリエイター界隈に起こした波紋や反発についても簡単に紹介いただく予定です。

AI技術はどのような変革の最中にあるのか?AIは人間のクリエイティブな営みをどう変えていくのか?2023年はAIと人間にとってどのような年になるのか?クリエイターの方もプログラマーの方も、そして広くネットと社会の未来に関心ある方も、みなお見逃しなく!

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2月11日(土) 14:00~
古田徹也 聞き手=栁田詩織
【ゲンロン・セミナー 第1期 1000分で「遊び」学 #1】「遊びを哲学する──日常に息づく言語ゲーム」

ゲンロンカフェ10周年を記念して、新時代の教養講座として開講されるゲンロン・セミナー。第1期は「1000分で『遊び』学」をテーマに、各分野の専門家に講義をしていただきます。初回は、哲学・倫理学、特にウィトゲンシュタインがご専門の古田徹也さんです。

ウィトゲンシュタインによる有名な概念といえば「言語ゲーム」。言葉は私たちの生活や日常の文脈の中ではじめて意味をもつ、ということをゲームになぞらえて考察しました。

古田さんはウィトゲンシュタインの研究者である一方で、『いつもの言葉を哲学する』などの哲学コラムや、『はじめてのウィトゲンシュタイン』『不道徳的倫理学講義』といった一般向けの入門書も多数書かれています。

今回はウィトゲンシュタインについての本格的な講義だけでなく、私たちが日常的に行っている言語ゲーム的実践についてもお話しいただきます。
また「遊び」が思想史の中でどのように考えられてきたのか、これからのセミナー全体を見わたすヒントとなるような内容にも、講義の前半部で触れていただけるとのこと。また、聞き手を務める栁田さんによる「事前レポート」が本日公開になりました。こちらもぜひご一読ください。

観客のみなさんそれぞれの日常や活動につながる「遊び」について、哲学の視点から考えてみませんか?ゲンロン・セミナー、記念すべき初回講義です。お見逃しなく!

会場観覧(1日券)お申込みはこちらから。

お得な「ゲンロン・セミナー」通し券はこちらから。


2月15日(水) 19:00~
井上智洋 聞き手=落合龍雅
「反緊縮論と高圧経済論──お金のバラマキで日本経済は成長するか?」【夜の井上ゼミ #1】

気鋭の経済学者としてさまざまなメディアに登場し、SNSでも積極的な発信を続ける井上智洋さん。ゲンロンカフェでも、飯田泰之さんとの「飯田と井上の新・経済教養シリーズ」が人気企画としてご好評いただいています。

そんな井上さんによる新・経済講義シリーズがスタート! 「夜の井上ゼミ」と題して、経済学の基礎の基礎から日本経済の現状分析や展望など、たっぷりと講義をいただきます。

第1弾は「反緊縮論と高圧経済論──お金のバラマキで日本経済は成長するか?」がテーマ。聞き手を務めるのは、駒沢大学経済学部の井上ゼミに所属する落合龍雅さんです。
なぜ日本経済はこれだけ衰退したのか? 現在の日本はインフレそれともデフレ? 長期デフレ不況が続くとどうなるのか? なぜ貨幣量が重要なのか? さらに高圧経済論について、異次元緩和の効果とその限界、ケインズ主義の新たな展開など幅広くお話いただきます。

もちろん質疑応答の時間もたっぷりとあります。経済のいまを深掘りして知りたい方、イチから経済学を勉強し直したい方、ビジネスのために経済に対する教養を高めたい方など、どうぞお見逃しなく!

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2月22日(水) 19:00~
梶谷懐×與那覇潤×辻田真佐憲
「日本と世界は『中国化』したのか──制度、資本、権威主義」【『ゲンロン13』刊行記念】

混迷する情勢のなか、日本と世界はどこへと向かうのか──。世界のすべての国がやがては欧米型の近代社会に至るといった、ポスト冷戦期に希望をもって語られたモデルが失効したことは明らか。しかし、それでは欧米以外の地域は結局どうなるのでしょうか……?私たちは「近代社会」以外のモデルを、なにを材料に組み立ててゆけばよいのでしょうか。

12年前の2011年、「中国化」のキーワードで中世から現代にいたる日本と世界の政治史・経済史を描きなおし、一躍話題となったのが與那覇潤さんの『中国化する日本』(文春文庫)。ここで言う「中国化」とは、①市場と秩序の自由化・流動化、②政治権力の一元化・道徳化、で特徴づけられる方向に社会が向かうことを意味します。

いまこそ、あらためてこの観点からわれわれの社会の行く末を考えるべきときではないか……経済学者の梶谷懐さんは、自身のブログや『日本と中国、「脱近代の誘惑」』(太田出版)などで同書をたびたび取り上げてその試みを評価する一方、「中国的なるもの」とはなにかをさらに掘り下げ、議論を発展させるべきだと言います。
また、辻田真佐憲さんは、『ゲンロン13』所収の対談「令和の国体──歴史・天皇・安全保障」では、これからの日本の「国のかたち」をより主体的かつ具体的に考えていく必要性を説きました。

日本と世界のいまの姿は「中国化」の行き着いた先なのか。そもそも「中国的なるもの」とはなにか。そして、われわれはそこからどのような指針を見出せばよいのか。お三方の白熱の議論を、お楽しみに!

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2月24日(金) 19:00~
伊勢康平 聞き手=栁田詩織
「『東洋哲学』をつくりなおす──中国思想のミライ」【学問のミライ#1】

配信のみ(会場は無観客)のイベントです。

2月11日からスタートする「ゲンロン・セミナー」に合わせて開催されるのが、若手研究者を応援するシリーズ「学問のミライ」。各分野で活躍する若手研究者をお招きし、研究分野やその内容について存分に語っていただく配信限定イベントです。

第一弾のゲストは、中国の現代思想の研究者で、Webゲンロンの連載「料理と宇宙技芸」やユク・ホイ『中国における技術への問い』の翻訳でもおなじみの伊勢康平さんです。

中国思想というと、孔子や孟子など教科書上の偉人が思い浮かぶかもしれません。しかし、近現代の中国にも注目すべき思想が多くあるそうです。
伊勢さんは、西洋哲学と正面から格闘した20世紀の中国思想を研究されています。日本でいえば京都学派に匹敵するようなそれらの思想を読み解くことで、いまの中国そのものを捉え返すこともできるそう。今回は、ホイ氏以外の中国の思想家や、日本も含めた「東洋哲学」の思想傾向についてもご紹介いただきます。

……と紹介すると難しく聞こえるかもしれませんが、聞き手の栁田は中国については門外漢。当日は伊勢さんに、中国留学時の写真も交えながら楽しく、時にアツくお話を伺う予定です。
中国や思想に関心がある方はもちろん、よく知らないという方も、ぜひ若き中国思想の新鋭にご注目ください!

番組ページでは登壇する伊勢さんからのアツいメッセージも。ぜひ合わせてご覧ください。


そのほかのご案内

2月のゲンロンカフェではそれ以外にも、ゲンロン ひらめき☆マンガ教室のイベント2月18日(土)に実施されるほか、フランス文学者の鹿島茂さんによるシラスチャンネル「鹿島茂のN'importe Quoi!」の放送が2月14日(火)、28日(火)のそれぞれ19時から予定されています。

鹿島先生の講義は1年間実施してきたエマニュエル・トッドの講座を終え、28日からは新たな講義シリーズがスタートします!

11年目が始まったゲンロンカフェ。今後もさまざまなイベントが予定されています。ぜひ会場で、配信でお会いしましょう!

※発売中のゲンロンカフェの会場観覧チケットはこちらから

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