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コブハクチョウの70年

2023年は皇居のお濠にコブハクチョウが放たれてから70年が経つ。

コブハクチョウは本来ヨーロッパから中央アジアにいる

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/gaiyo/yokoso/hana.html

千代田区ホームページより区の花、区の木、区の鳥の紹介
皇居のお濠にコブハクチョウ24羽が放たれたのが、昭和28(1953)年12月26日となっている。(国立環境研究所は1952年としている)
日本で最初のコブハクチョウ棲息地となった。

しかし、コブハクチョウの繁殖には過酷な環境にあり、
コブハクチョウは次第に数を減らして一時期3羽に、その後牛久沼から2羽が寄贈されたものの

https://fng.or.jp/koukyo/2022/10/18/hakuchounokikyoubori/

国民公園協会HPより、2022年10月16日に1羽のハクチョウの死亡を発表。これで残りは4羽となった。

抱卵中のコブハクチョウ

コブハクチョウは元々日本にはいない鳥である。よく牛久沼で「このハクチョウはいつ渡りますか?」ときかれるが、観賞用に輸入されたので、渡りはしない。(北海道や青森などのコブハクチョウが霞ケ浦などに渡る例があるが少数である)

近年生物多様性の保持の観点から、外来種への風当たりが強くなっていることを鑑みて、今後は皇居のお濠へのコブハクチョウの移入を行わないとしており、残り4羽も高齢と見られることから、まもなく皇居のお濠からコブハクチョウが消滅しそうである。

皇居のお濠のコブハクチョウは風前の灯火だが、その後観光資源に彩りをあたえるために、各地の湖などに放されたコブハクチョウは、野性化したものが他の湖沼に移り棲むようになり、一部では問題化している。

牛久沼のコブハクチョウは皇居お濠のハクチョウたちの末裔である

さて、こちらは牛久沼。
繁殖に向かない皇居のお濠のかわりに、繁殖地の一つとしてコブハクチョウのつがいが皇居のお濠からやってきたのが1963年のことで、牛久沼のコブハクチョウもちょうど60年となった。(なおつがいと思われた2羽がどちらもメスと判明し、1973年に別なつがいと交換された)

しかし、2023年の牛久沼は鳥インフルエンザによるコブハクチョウの被害が相次ぎ、2月6日までコブハクチョウが集まる牛久沼水辺公園は閉鎖された。

例年、秋から冬にかけて周囲から集まり、約40羽ほどになった。

2021年11月公園内にたむろするコブハクチョウ

今年は公園に集まらないように対策をされたことで、2023年12月現在、水辺公園には10羽ほどしかいない。
なお、牛久沼に先立って鳥インフルエンザの被害がでた、水戸市の千波湖では他の施設等への移動や偽卵置き換えなどで、コブハクチョウやコクチョウを減らしている。

水戸千波湖のコクチョウ

ただし、千波湖や牛久沼は自治体の管理下にあるが、野性化したコブハクチョウは野鳥とみなされて、簡単に管理はできなくなる。

2023年10月には10羽ほどに減らされている

手賀沼は1973年に初めて確認されたあと、次第に増えていき、一時期150羽ほどに達したとされる。
野性化したコブハクチョウのため自治体の管理も難しいとされる。ボランティアを中心に農業被害を減らしコブハクチョウと共存できるよう努力をしている。

千葉県手賀沼(手賀川)のコブハクチョウ
ボランティアの方が農業被害をなくすために努力をしている


最近、手賀沼のコブハクチョウは個体数を減らしているようだが、その一方で棲息地は少しずつ増えている。

https://db3.bird-research.jp/news/202206-no2/
バードリサーチニュース、手賀沼のコブハクチョウの個体数の減少について書かれている

千葉県香取市の利根川にいるコブハクチョウ(2023年10月)

とはいえ、外来種だからといたずらに害鳥扱いせずに、人間とうまく共存できるように考えていくしかない。

今年でコブハクチョウが日本に姿を見せてから70年。
来年以降もより良い関係でいられるように。



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