牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その2)
○白羽6羽の過酷な運命
5月下旬に公園にやってきた白羽6羽と灰羽5羽
コブハクチョウは子育ての時に排他性が強くなる。
昨年の8羽を育てた親は公園から他のハクチョウを追い払うくらい強かった。
だからこそ白羽と灰羽が共存などあり得ず、どちらかが排除される。
白羽の親と灰羽の親で縄張り争いをした結果、白羽の親が負けてしまい、オス親はいなくなってしまった。
メス親はそれでも頑張って育てようとするが、灰羽のオス親が妨害するため沼に入ることもままならず、船溜り入口の草叢の中に身を潜めるようになった。
沼に出るとすぐ灰羽の親に追われ、公園広場では他の群れに虐められるため、しだいに白羽親子はほとんど同じ場所に留まるようになっていた。
ここは上に樹木があるから空からは狙われにくいが、駐車場に近く、人間という敵が入りやすい場所である。
4羽
6月1日、一気に2羽減って4羽になっていた。
3羽
翌日にはさらに減った。
3羽になったところで、親もたまらずに場所変えをした。
群れが集まる展望台のほうに移る。
2羽
1羽
とうとう1羽になってしまった。
船溜り付近にいた時は人に盗まれた可能性が高いと考えられている。
このあと、(7月中)市によってこんな看板が立てられた。
展望台の近くは沼に逃げるのが容易なため、人間ではなく天敵だろうと考えられている。
灰羽の親や他の群れのハクチョウにいつも追い回されている白羽の雛は水の上なら逃げ足が速い。
2羽から最後の1羽になったときは、直接目撃した人はいなかったが、僅かの時間でいなくなったことがわかっている。
7月5日から9日までのある日、14時30分に沼にハクチョウを見に来た人はまだ2羽いたという。しかし16時に見にきた別な人は、1羽しかいなかったという。
白昼の1時間半、平日でもたいてい誰かがいる公園(15時頃に市に委託された餌やりの人が来る)で何が起きたかはわからないが、天敵に襲われた可能性は高い。その天敵が鳶やカラス、または外来種のカメなのかはわからない。
このハクチョウ達の故郷である皇居では、天敵としてカラスの他にスッポンの名が上がっていた(※)
○最後の1羽の生き残り方
白羽が1羽になった時点で親はいなくなってしまった。残された1羽は群れに溶け込む努力をした。
灰羽の親が展望台側の出口を塞いで群れが外に出れないとき、白羽が囮となって灰羽の親を誘き寄せ、その間に群れが沼に出て行った。このように地道に群れの役にたつことで、夏のうちには完全に群れの仲間と認められるようになる。
秋、冬、無事に育った唯一の生き残り、実に逞しい。
一方、灰羽5羽も無事育ったわけではない。
続く
※今は削除されたが、皇居東御苑などを管理する国民公園協会のHPにはかつて皇居のハクチョウの歴史のpdfがあった。その中に皇居でハクチョウが減った原因として天敵の存在が記されており、カラスやスッポンの名が挙げられていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?