旋律、紡がれる想い -藍月なくる1stライブを経て-


はじめに

2024年2月4日、市川市文化会館大ホールにて藍月なくる1stライブ"クラリムステラ"が行われました。今回、本ライブに参加した際の記憶を記録として、形あるものとして残すために書き起こします。不慣れで拙い文章かと思いますが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

今回、私が座った位置は1階前方下手の通路席でした。会場に着くまで、正直ステージからの距離感や座席レイアウトが不明で心が穏やかではありませんでしたが、結果的に良席に恵まれたと思います。

ステージは深海をイメージして青を基調に、貝や珊瑚のオブジェ、そして歌う際の高台は白で波のような意匠が施され、藍月なくるの世界観が表現されていました。このような舞台装置ってライブにおいて結構重要でして、演者の作りたい雰囲気を感じ取ることもできますし、歌の解像度を高める効果があるとも思っています。
期待と緊張が高まる中、いよいよ本編が始まります。

1.Azura Luno

思わず、んなるほどなぁ……!と唸ってしまった私。壮大なファンタジー感のある曲調がなくちゃの声とまぁよく合います。MCでも触れていましたが、この曲はなくちゃの自己紹介的なストーリー性の強い曲になっています。随所に"なくる"というフレーズが散りばめられており、言葉を紡いでいく宣言をしています。

"すべてのはじまりは、言葉だというだろう
思い伝え語り継ぐ それがなくるものかと"

また、それぞれのサビを抜き出してみます。

"Azura Luno わたしがこうしてここに立つとき
その物語よ産声よりも高く"

"Azura Luno わたしがそれを空に告るとき
その物語よ また積み重なる"

"満点の星空を従え 夜の淵まで歌い明かせ"

物語=歌・ライブ、満点の星空=オタク(ペンライトが星の形)、
夜の淵=終幕と捉えると、このステージに立ったなくちゃはオタクたちの前で最後まで歌い続ける、と宣言しているように解釈できます。
この曲を1stワンマン1曲目に持ってきたのは天晴れです。

2.CosmoDiver

これは私の曲。イントロ即起立。咆哮。多動。なこれ4で一番好きなのですが、ヘヴンリィとかトワイライトに枠取られると思っていたので非常に嬉しかったです。(ヘヴンリィもトワイライトももちろん大好きです。)
サビのドゥンドゥン!気持ち良すぎ問題。
あの瞬間、通路バミリ0ズレ前着座遮蔽物無しの多動目線ありでおそらく私の曲になりました。私の惑星に銀河渡って来てくれました。
そして、ここから私のジャンボリミッキーが始まるのです。

3.コトノハ

絶対に聞きたかった1曲。咆哮。クラリムステラというなくちゃのサークルができる前に出した、最初のなこれ収録曲。1stライブで披露してくれて本当にありがとう。感情で顔と四肢崩壊。着座指定でむしろ良かったかもしれないです。
作曲sky_deltaなんですけど、これはsky_delta枠じゃなくソロ枠でやると予想していたので解釈一致で嬉しかったです。確かにEndorfin.の1stアルバム「Horizon Note」にも収録されているんですけど、あくまでこれはなこれの曲なんですよね〜〜。
今回セトリが全体的に新しめの曲中心になっている中、古の中からこれを選んだのは天晴れというほかありません。神。

4.追想のラグナロク(Ver 藍月なくる)

もちろん来るよねの確定曲。オリジナル版よりもなくちゃverのしっとりアレンジの方が好きだったりします。

5.Oxydlate

咆哮。これをセトリに組み込むのはセンスしかありません。この高音でクソ難しい曲をCD音源で歌い、かつ息苦しさを随所で表現してるのバグです。崩れ座り込むようにしてから最後マイク越しに聞こえる息づかいがにゃちで好き……。着座でしたが椅子に穴開くかと思いました。

6.Horizon Note

咆哮、咆哮、そして咆哮。気づけば私の体はウキウキワオキツネザルに。歌う前の「Endorfin.といえばこの曲」という紹介で思わず斜め後ろにいた友人を見てお互い拳握りしめていました。私が藍月なくるを好きになったきっかけの運命の一曲。なくるてゃ、sky_delてゃ、この曲を生み出してくれてありがとう。到達。
Endorfin.らしさ全開の爽やかポップス。アルバムのジャケ写関係なく、この曲を聴いた時に、晴れ渡る空と水面がキラキラ光る海の情景が浮かぶんですけど、音が鼓膜から脳みそ通って視覚にまで到達するの快感すぎませんか?
まさに原点にして頂点。本当にありがとう。

7.花残り、蕾ひとつ

色シリーズから一曲は来ると予想してたところ、全曲強い緑からの選曲。これもザ・Endorfin.の爽やかさ。春の曲はいい曲しかないんですよ。
バチ多動楽しいんですけど、落ちサビで語りかけてくるような感じになるの気持ち良すぎて歌声を咀嚼していました。美味。

8.彗星のパラソル

お前、それだーーーーー!!!!!
天才の天才のド天才。マジでマジで大好きな曲。Endorfin.楽曲屈指の大名曲。大大大多動。聞きたいけどえんどる曲多いし、他の表題曲に枠取られるだろうなと思っていたので、あまりにも不意打ちすぎて防災警報みたいな声出ました。

"このまま何にもなれないままで 消えてしまうのがただ怖くて"

"何度も同じ夢を見るんだ 幼い日の
欲しいものって 好きなものってなんだっけ
いつしか水をあげなきゃ枯れてしまうなんて
単純なことさえ忘れてしまっていた"

"歪な一瞬の光を いつか放てるように"

爽やかで疾走感のあるメロディとは裏腹に、歌詞は自分が何者にもなれず、何者になりたかったのか、夢さえも忘れてしまったという暗い内容なのがめっちゃ刺さるんですよね〜〜。彗星のように一瞬でもいいからなりたい自分になって輝きたい。そんな一曲。マジで好きすぎるんですが……。sky_deltaのラスサビ前間奏生ピアノも気持良すぎましたね。ほんとセトリに入れてくれてありがとう。

9.Spica

彗星のパラソルでタコ多動して情緒壊れたところでこの曲。またしても咆哮。Spica自体大好きな曲なんですけど、彗星のパラソルからのこれはセトリ構成が天晴れすぎます。

"いつでもそこに見えたはずの瞬きを 砂の深くに仕舞い込んでいたんだ"

"あの日の空に置き忘れた願い事 一人ひとつ
それぞれの未来へ穂を伸ばす"

"忘れ物はこの胸の奥にずっと テレスコープじゃ写せない場所に
欠けたひとつ ピースをはめ込んで 見失ってた本当の僕に会いに行こう"

彗星のパラソルでは夢を見失い、何者かになりたいと願う「私」。
それがこの曲では、本当はその夢は見えない(自覚できない)ほど胸の奥深くにしまっているだけで失くしたわけではない。その"置き忘れた"夢を見つけだし、夢に向かって歩んでいこうといった希望を見出していく曲のように思えます。
この流れ、そしてえんどるパートが1stアルバムから始まって1stアルバムで締めるのは天才の所業です。

幕間.Indigrotto

衣装変えの時間必要だし、まぁこういう使われ方するのは致し方なしです。ただ、普通に質量さんでこの曲聴きたかったな……。

10.Evil Bubble

ここから闇&ダンスパート。
ゴシックドゥンドゥン最高〜〜〜!!!多動の末、多動。第2弾キービジュアルの衣装にチェンジしてダンス込みでの披露、さすがにオタク心を掌握しすぎています。ただ、タコ高まりしたのは確かなんですけどイマイチここ記憶ないんです……。どうして……。

11.Lilith

ジャズ調のアップテンポ多動ナンバー。咆哮。バチバチにタコ多動。大好きな曲です。Evil Bubbleからの流れが決まりすぎていました。衣装の後ろに付いているデカリボンをふりふり揺らすのゲロ可愛いすぎませんか。
なくちゃがダンスの練習めちゃくちゃ頑張ったんだってことが伝わって来て、私も負けじとジャンボリミッキーで応戦。勝敗は私の敗北。だってあなたエロすぎるんですもん……。R27指定です。

12.逆沙華

通称バラード詐称曲。
Bメロまで座って聴いた後、サビ前でのそりと立って体ゆらゆらからのサビ爆裂多動が楽しすぎる件。この曲で立たないのは曲を知らないか生まれたてのヤギかどっちか。初聴きならバラードと騙されるので致し方なし。ちゃんと聴きましょう。
この曲で多動していた人とはいいお酒が飲めそうです。

13.Killer neuron

闇パート最後に激重感情曲。ここで私は首が取れました。

14.FAKE IDOL

MC中に照明暗転。ここまでの闇のなくちゃから光(?)のアイドルなくちゃへ。曲の入りにこういう演出入れられるのオタクくん大好きです。
またしても咆哮。マジで永遠に多動していた気がします。オイオイするの楽しいですね。これは叫んだもの勝ち。
私が見ていたのは現実なのか夢なのか、本物ってなんなのでしょうね。偽物から始まった本物だってちゃんと存在すると思います。誰かにとっては偽物な姿であっても、他の誰かがその姿に向ける眼差しは本物だったりします。

15.コンティニュー!

破顔。満面の笑み。feat.系一曲は入ってくるかもしれないと思っていましたが、本当に来るとは。Lapix節全開のバチバチ多動キュートポップス。本ライブに誘ったオタクに直前になってこの曲ワンチャンやるかもと送っといて良かったです。
この曲がセトリ入りしたことで、今後警戒しなければいけない曲がグンと増えましたね。タスケテ。いいぞ。

16.わたしがわたしに至った10の理由

通称わた10。
初期のなくちゃ楽曲を彷彿とさせる電波曲。
セトリの流れが、オタクが作った妄想セトリすぎてこれ。キュート曲連発でマジで楽しい。マジで楽しい。楽しすぎてウキウキのワオワオ。セリフで10役演じてあの早口サビを可愛く歌えてしまえるのバグ。バグバグのワオワオ。私はCase1のツンデレとCase8のお姉さんとCase10の普通ちゃんが好きです。

17.これくらいで

MCで次が最後の曲と言われた時、こんなに時間が経つのが早いライブは初めてかもしれないと思いました。
マジで今日超楽しかったな〜!と思っていた矢先、「次の曲は私のオリジナル曲ではありません」と。

は???え???

(以下MCうろ覚えですがニュアンス的に)
「いや、私の曲なんですけどアルバムとかでは出していない曲で」

は???え???
嘘嘘マジで???(「Replica」か「クオリアの輪郭」だろ!やった〜!)

「挑戦的な試みなんですけど、最後に伝えたいことがあってこの曲を持って来ました」
「聴いてください。「これくらいで」」

世界が。世界が、ひっくり返る。膝が震えた。奥歯が割れそうになった。握りしめた拳が解けない。胸が締め付けられる。痛い。痛い。
気づけば私の体は通路を飛び出て2歩前へ。

この曲は「夢と色でできている」というエロゲのED曲なのですが、なくちゃのCDには収録されていませんし、サブスク配信もDL販売もありません。エロゲの制作会社ももう解散しています。
ゲームソングって扱いが難しく、版権などで歌える機会が限られていたりします。そうでない場合、例えば、その人にとっての代表曲だったり、ライブで盛り上がる曲などは頻繁に披露されたりもしますが。

私はこの曲が発表された時から大好きですし、エロゲのオタクや昔からなくちゃを知っている人には根強い人気のある曲だと思います。ですが、この曲が代表曲かと言われると少し違う気がしますし、ミドルバラードなので会場が沸いて盛り上がるのとも違う気がします。

では、なぜこの曲がセトリに入ったのか。しかも本編最後の曲という極めて重要な位置に。MCまで挟んで。
あくまでこの曲はゲームのために書かれた曲であり、その歌詞やメロディで表現しているものはゲームの内容に対してです。ですが、この会場でこの瞬間、この曲を最後に歌って伝えようとしたことは、私たちに向けてのものでした。

"もしも、例えばの話で
あの日 ここで会わなかったら
こんな今 考えもしないよね"

あの日=それぞれのオタクが藍月なくるを知った日。
もし藍月なくる(「私」)に出会わなければ、今ライブに来てる(来てくれている)はずなんてないんですよね。

"何でもない幸せが ただひっそり在ればいい"

"これくらいで これくらいで ずっといよう
幸せって さりげなく あったかいや"

なくちゃは以前から、お寿司で例えるならガリのような存在になりたいと言っています。この後のMCでも、誰かの一番じゃなくていいから、ただ忘れずにいて欲しいという旨を伝えていました。"これくらい"が幸せだと。
みんながこの場に居てくれて、「私」を忘れないでくれている。そんな暖かい幸せを「私」は感じている。まるでそう伝えているかのように。

"星屑みたいな 無数の未来から
見つけてくれてありがとう"

ここの歌詞がほんとに良すぎて……。ほんとに、ほんとに良くて……。
出会いは一期一会。「私」を見つけてくれて、「私」に出会ってくれてありがとう。そんなメッセージが込められていました。

私自身も、もし、エロゲや同人音楽が好きじゃなかったとしたら。もし、卒業した大学に入学していなかったら。もし、なくちゃの曲を耳にする機会がなかったとしたら……。
感謝を伝えるのは私の方です。ありがとう。

人前で泣くことに抵抗があると常々言っていたなくちゃが、感極まって思わず喉が詰まった時、私の感情は溢れました。
ライブ本編の最後にこの曲を歌ってくれてありがとう。
歌は言葉。言葉は想い。

〜アンコール〜

18.クラリムステラ

ちょっと話すねと時間を取ったアンコール後のMCで、夢とか好きなものとかがあまり無かったなくちゃが、「私が藍月なくるでいられるのはみんなが「私」を藍月なくると呼んでくれるから。」という旨を言っていて、率直に綺麗な言葉で感謝を伝えられて思わずうるっと来ました。
そんなMCの後、事前情報が全くない形での披露となった、本ライブのための新曲がこのクラリムステラ。歌詞に注目してくださいと言っていましたが、感情になっていた私が覚えているのは以下の2つだけです。(これもまたニュアンスとなります。)

"私が歌うのは私のためじゃない
私が歌うのはあなたのため"

"Replicaなんかじゃない"

本編最後のこれくらいでで今までの感謝を告げたなくちゃが、アンコールで伝えたのはこれからの決意だと思います。「私」は「私」を藍月なくるで居させてくれるオタクたちのためにこれからも歌い、そんな「私」の姿・想いは"Replica"(偽物)なんかじゃないよと。
この"Replica"という言葉、なくちゃがえんどる結成前に初めてsky_deltaとタッグを組んだ曲のタイトルでもあるんですよね。あの頃と今の対比という意味も込められているのかもしれません。

そして、クラリムステラという曲名。なくちゃが作ったサークルの名前であり、一度しかない1stライブである本ライブのタイトルであり、クラゲ・アクアリウム・ステラ(星)といったなくちゃが好きものを集めた造語。そんな思い入れのあるフレーズの曲を事前に公開しなかったのは、この会場に来てくれた、忘れずに「私」を藍月なくると呼び続けてくれる人たちに、まず最初に届けたかったからではないでしょうか。

おわりに

Azura Lunoで最後まで歌を届けることを誓ったなくちゃは、私をウキウキワオキツネザルやジャンボリミッキーにさせながら、最後に感謝とこれからのことを伝えてくれました。
藍月なくるの歌によって紡がれたこれらの想いは、私の心に届き、また間違いなくオタクたちの心にも届いたことでしょう。
最後に、藍月なくるさん。生まれてきてくれてありがとう。本当に、本当に最高で素敵なライブでした。あなたのオタクになって本当に良かったです。
では、次は藍月なくる 2ndライブにて。
皆様、ご健康に。

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