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NO,5  東京へ

夢を見る青年時代。
世の中を知らないがゆえの、大胆な行動。
現実を知って、少しずつ大人になっていく。


若い頃の自分の行動力に関心をする。
バンドメンバー3人で集まって、夜な夜な話し合う。
夢を語る中、自分は考えた。
こんな状態でやっていて、どうしたらプロの道にいけるのか?
名古屋でやっていては駄目だ。
上京しよう。と、普通は考えるのだが。。。


ある晩、とても良い考えを思いついたのだ。
デモテープを持って行って、レコード会社に売り込みに行こう。
なんとも、大胆な考えだ。しかし、若い僕らは実行した。
3人で時間をあわせて、ドラムの子が購入した中古のミッションのセレナ。
(ミッションのミニバン。今じゃ貴重)
その車に、ギターとアンプ、ベースとアンプ、スネアドラムとシンバル。
楽器と夢を詰め込んで、アポなしで東京に向かった。


当時、知っているレコード会社と言えば本当に大手しか知らない。
今のようにスマホなど無い時代。簡単に検索できない。
某有名なレコード会社の住所を3件ほど調べただけで、向かった。
とんでもない、馬鹿だったと思う。でも、なかんか実行できない。
わくわくしながら、なけなしのお金を持って東京に到着。
夜から走ったので、朝にはもうついていた。
若いので寝なくても大丈夫だった。


大手レコード会社なので、ビルだった。
今とは違い、インターホンのようなものを押した気がする。
(かなり記憶があいまいになっている)
インターホン越しに出てくるのは、女の人の声だ。
若すぎて、どんな役職なのかもわからない。
自分たちの曲を聴いてもらいたくて、デモテープを持ってきました。
自信満々で、声高らかに。
びっくりしたような声で、返答が来た。(今でも覚えている)
アポイントをおとりでしょうか?
ア、アポイントですか?(今考えると、そうなるだろう)
とってないですが、ぜひ聞いてください。
声高らかに。
ポストに入れておいてください。(今でも覚えている)
わかりました。ぜひ聞いてください。


今考えると、確実に取りにも行ってくれてないだろう。
違う知らない人がポストを開けてそのままゴミ箱行き。
しかし、若い頃の自分たちは楽しみに返事が来ると思っていた。


3件とも
同じ反応だった。
3件行った後、わかっていたと思う。
この対応は夢が無い事を。


しかし、こんな事では若かった自分達は負けなかった。
せっかく来たのだから、、、

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