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アンカーというお仕事


わたしの仕事は雑誌のアンカー。記者が取材してまとめたデータ原稿に資料なども盛り込んで、最終原稿を書く。記者が1人の時もあれば複数の時もある。

久しぶりにアンカーの仕事をいただいて、今週はせっせと原稿を書き、それを日記にしていたのだけれど、あ、仕事について話そうっていうお題にちょうどいいやと気づいて、日記を移して新規に立ち上げることにした。

データが来たのが1日。夕方、編集者と打ち合わせをし、2日に追加で聞いていただいていたコメントなどが入ってきつつ、原稿を書き始めた。
記者さんと直接話せたこと、写真のベタ焼きPDFを送ってもらえたのも、すごくありがたかった。
イメージ湧くよね。そもそも会っていない状態で書くってことが、かなり無理があるのかもしれない。
ただ、より俯瞰して書けるというメリットもある。できる限り対象者を立体的に書きたい。

時間がたっぷりあって、本当に助かった。
脳梗塞後初めての仕事なので、どのくらい集中力が続くのかわからず、毎日少しずつでもしっかり書いていこうと思っていた。
ということで、あとは日記形式で。

🔳4月3日
シリーズ人間は5章立て。昨日は疲れて1章がほぼほぼできたくらい。
でも、1章ができれば、できたも同然。頭の中で、章ごとのエピソードがまとまってくる。
今日は2章から3章って感じだけれど、どこで切るかは全部終わって考え直そう。半分は書いてしまいたい。

🔳4月4日
一日中仕事。
疲れたら仮眠。また、書いて仮眠。脳梗塞前から、それは同じ。時間がかかるのだ。かつては、書くのが早いのが、わたしの強みだったんだけど。

いつからだろう、一気に書けなくなったのは。

データ原稿なら一気に書けるけれど、アンカー仕事は、もっと丁寧に、あれこれ伏線も回収も考えながら、章立ての効果が生きるように書いている。

昨今は、記者がアンカーまでやるのが普通になっている。そもそもアンカー制度をとっていたのは、うちの雑誌くらいだったらしい。
記者はデータ原稿は書かずに、直接、アンカー原稿を書く感じだろう。
時間的には絶対、早くできる。令和はタイパが大事らしいから、当然の流れといえる。
記者がそのまま書いた方が臨場感が出るし、熱が伝わる場合もある。

丁寧に構成された完成度にこだわったページがなくなって良いのかと思うのは、もう私だけかもしれない。
編集者だって、もうそんなこと本気で考えていない気がする。丁寧さだの完成度の高さなんて、私のただの自己満足かもしれない。

それでも、私に仕事が来たんだから、できる限りこだわって、良いもの書くぞ!

🔳4月5日
今朝は、朝8時前から机に座った。
ほぼ、ほぼ5章までできているけれど、締めをどうしようか決まっていない。もう少し書き足してみるか、、。

かなり長くなっているので、大量に刈り込まなければならない。
これはなかなか手強かったな。
時間がたっぷりなんて油断しすぎたかも

午前中じゅう集中したら、なんだか口が回らなくなっていた。あれ?
唇も少し痺れている。
やばい、脳が疲れてる。

血糖値は100ぐらいでバッチリだったけれど、脳のために糖分を補給。
アイスクリームがなぜか半分しかない。
Kも食べてないと言い張る。わたしか?
痺れが治まらないから、おにぎりも食べた。
さらに仮眠して、起きて仕上げ。

終わったーー!!

最終的な満足感は、結局、編集からもらった電話で決まる。
電話の向こうの声が弾んでいたり、明るかったりするとホッとする。
今回はホッとできた。よかった。

電話嫌いな平成の編集者だったら、受け取りましたの連絡もメールで済ます。どんなにメールで褒めちぎられたとしても、電話のはずんだ声には敵わないのだけれど、電話嫌いで使わないから、そんな気持ちはわからないよね。

このあと、取材させていただいた方に確認のため原稿を送って、直される場合もある。それはでもしかたない。ご本人が納得できる記事を目指しているけれど、わたしはご本人に会っていないから、なんとも言えない。この点では記者が直接最終原稿を書いたほうが齟齬がなくて良いのかも。

だけど、記者が書く以上に齟齬のない物語にするのが、アンカー歴20年のわたしの矜持でもあるのだよん。
もちろん、それができるのは記者の完璧な取材とデータ原稿があってこそ。
結局は、チームワークの勝利なのです!




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