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【作者に訊く】『SHOT』に懸ける想い(第3回) 劇団ケッペキ 眠れぬ瞼を跳ねる羊の晩夏公演

 すぐ朝が来る、そう思うほどに夜の長さが身に沁みるようになりました。劇団ケッペキ 眠れぬ瞼を跳ねる羊の晩夏公演 制作の神山卓也です。

 4回にわたってお届けするインタビュー。この記事はその3回目です。前回の記事は、以下からご覧いただけます。


ゲスト:増井怜史朗
取材・編集:神山卓也
写真:三木のあき


伝え方は悩ましい

——これまでの2回のインタビューでは、脚本家としての増井さんに注目していましたが、今回は演出家としての増井さんに注目したいと思います。まずは、演出をされる上で何か考えられていることはございますか?

増井:
稽古場では、あくまで「最終決定権」を持つ人間でありたいと思っています。

やはり脚本を書いているのが僕であるということからも、僕が与える役者への影響力って大きいんですよ。なので、演出が言うならそうしようという感じにはならないように、役者が考える余地を残したままプランを作っていきたいと思っています。

——そうなんですね。

増井:
それぞれの人に最も伝わりやすい形って、人によって違うと思っていて。なので、それぞれの役者にどうやって伝えればよいのかとか、そのために必要な語彙力であるとかは、すごく重要なことだと感じています。でも、役者の人たちも、僕のことを少しでも理解しようとしてくれるので、それに頼るというか助けられることもあります。

でも、伝え方って難しいですね。否定をしてしまうと、萎縮してしまうじゃないですか。例えば「なんか違うな」とか言われると、僕自身も役者をしていた時に委縮してしまっていたし、プランが狭まってしまうと感じていたんです。なので、自由にやってほしいなって思います。なので、かける言葉ってすごく考えますし、神経がすり減りますよね。

——すごく分かります。

増井:
稽古場ではニコニコしていますけど、すごく考えているんだよというか。それでいてもなお、「ちょっと言い方きついんですけど」とか言われたら、「あっ、ごめんなさい」ってなるんですけど。なので、伝え方については精一杯を尽くしています。

稽古場で「こんな感じに動いてみて」と言いながら実際に動いて見せることがあるんですけど、そういった時に「あっ、こんな動きもあるんだ」とかそういう気付きや選択肢が増えることに繋がってほしいなって思います。


各部署への印象

——次に、稽古と同時並行で、日々スタッフワークが行われているのですが、それぞれの部署に対して感じられていることなどはありますか?

増井:
舞台に関しては、今回一番力を入れています。僕が考えもしなかったプランを出してくれたり、技術を駆使して新たな案を提案してくれたりすると、「あーなるほどっ」ってなりますね。なので、舞台の会議が一番楽しかったですね。やはり可視化されるというのも、楽しさの要因です。

増井:
音響に関しては、僕自身がチーフをやったことのある部署であるので、こだわりを持っている部署だなと感じています。この前の会議で、一番演出の脳内とリンクしないといけない部署だという言葉を聞いて、確かにそうだなと感じました。いかに自分が考えていることや感じていることを共有するのかが、すごく大切だと思っていますね。今回のチーフは稽古場に遊びに来てくれたり積極的に関わってくれたりするので、嬉しいですね。音響を好きになってくれれば、より嬉しいなって思います。

増井:
照明に関しては、僕自身があまり知識がないので、チーフが出してくれたプランを少し修正する形になっているんですけど、その分、チーフ側でとても考えてくれているので、すごく助かっています。

増井:
衣装小道具に関しては、『風に向かって、道を辿って』の時にこだわり過ぎたので、今年はシンプルに忠実に再現したいなと思っています。衣装を着ると役者の印象がとても変わるので、楽しみだなっていうのと、やはり役者と一緒に衣装をお店に探しに行くことは一番楽しみです。

増井:
宣伝美術に関しては、スタッフの方々がとても心強いです。脚本に関してすごく詳細に聞いてくれるので、脚本のイメージを宣伝物に映し出せて、すごく幸せですね。絵も上手くて、安心します。

増井:
制作に関しては、宣伝って一番大切ですもんね。なかなか制作の企画として脚本のテーマに沿ったことを考えることだけではなく、X(旧twitter)の運営方針とかに脚本のテーマをいかに反映させるのかとかまで話せたことは、すごくうれしかったです。Xに作品の世界観が表れていて、すごく好きです。


 第3回の内容は以上となります。明日(10月3日)更新の第4回では、増井さんの人柄に注目する予定です。また、これまでの記事は、以下からご覧いただけます。本日はお読みいただきありがとうございました。

公演情報

眠れぬ瞼を跳ねる羊の晩夏公演『SHOT』
・日時:10月6日(金)18:30、7日(土)13:00/18:00、8日(日)13:00
・場所:京都市東山青少年活動センター
・料金:前売り800円、当日1,000円
・ご予約:https://www.quartet-online.net/ticket/shot
・お問い合わせ:shot.seisaku@gmail.com

 公演公式X(twitter)では、役者紹介やチーフ日記など、様々な情報を発信しております。ぜひご覧ください。

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